(C)2023 CREATPS
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2024.7.12

混乱と驚きが交差する認知症×サスペンス「大いなる不在」試写会レビュー

ベルリン国際映画際に出品され、東京フィルメックス観客賞を受賞した『コンプリシティ/優しい共犯』(18)に続き、近浦啓監督の長編映画2作目となる『大いなる不在』が7/12(金)に公開。主演は森山未來、父親役を藤竜也が演じています。
本作では"父親の不在"をテーマに、認知症の要素が絡むことで、物語が複雑化していくストーリー。幼い頃に自分と母親を捨てた父親が警察に逮捕され、再会した時には認知症を患い、別人のように...。父親の再婚相手である義母も行方不明になっていたことから、父の失われた記憶と義母の行方を探し始めます。全ての謎が紐解かれた時、人生の深さに心が揺さぶられるサスペンス・ヒューマンドラマは必見!今回は、SASARU movie編集部が見どころやポイントを解説します。
 

「大いなる不在」のあらすじ


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主人公である俳優の遠山卓(森山未來)は、劇団のワークショップが終わる頃、幼い頃に自分と母を捨てた父の陽二(藤竜也)が、警察に捕まったと連絡を受けます。元大学教授の父は、重度の認知症と診断され、施設に保護されていました。妻の夕希(真木よう子)と共に父が住む北九州にある施設を訪れると、そこには別人のような父の姿が...。

職員から食べ物アレルギーや延命治療について質問をされるが、30年近く離れて暮らしてきたことから答えることができない。入院中と聞いていた義母・直美(原日出子)に連絡を取るため、父に義母の行方を尋ねるも「自殺をした」と言うのだ...。

父が暮らす家を訪れると室内は荒れ果て、いたるところに物忘れへの注意書きが貼られています。そして、義母の携帯電話も置かれたままに。義母はどこに行ったのか?

卓は直美の行方を探しながら、父の人生を辿り始めます。

真実を知った時、卓の父への思いはどのように変化するのか?

混乱と驚きが謎を深める認知症×サスペンス

映画のオープニングでは、閑静な住宅街に1台の車がゆっくりと走行する場面があり、車の影には複数の機動隊が隠れている物々しい雰囲気。これから何が起こるのかと驚くシーンです。
また、施設で再会した父は、場にそぐわないスーツを着込み、拉致をされて外国の施設に捕らわれていると話します。認知症ゆえの父の衝撃的な発言が卓と夕希を混乱させるスリリングな展開は必見。

さらに、父母の家に料理の宅配サービスの配達員が訪れるシーンでも、注文者は父でも母でもない知らない人物だということが判明。注文者はいったい誰なのか?深まる謎が徐々に明らかになり、観客の様々な感情を揺り動かしていきます。

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不在だった「父」の失われた記憶を探る旅


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義母の行方を探すため、父が持っていた義母の日記を読み始める卓。認知症を患い30年以上、疎遠だった父が、どのような人生を歩んできたのかを紐解いていきます。

義母の日記には父からの手紙が貼りつけられており、義母への想いが綴られた手紙を読んだ卓はどこか寂しかった子ども時代に納得感を覚えます。

施設で再会する前に一度、父を訪ねた際には、俳優になった卓の姿をテレビで見られる喜びを感じながらも決して表には出さず、皮肉な発言を繰り返す父にどこか冷めたような眼差しを向けていました。

卓にとって父は、幼いころから"不在"ではありましたが、父の中には卓の存在がしっかりと刻まれていました。子どもの頃に悲しい思いをさせてしまったことを後悔している様子には心を打たれるものがあります。皮肉屋で不器用ながら、過去の行いを謝罪する姿を見た卓は、長年"不在"だった父という存在を受け入れ始めます。知られざる父の過去を知り、記憶を再構築していくことで、葛藤や矛盾という誰もが抱える人間性が表現されていました。

『森山未來』ありきで描かれた脚本

脚本の開発段階では、森山未來との面識がなかったという近浦監督ですが、出演していた舞台に感激し、どうしても組みたいとの想いから出演をオファー。

監督は、森山未來と2人で卓という人物像を徹底的に議論したと語っています。卓がなぜ長年疎遠だった父の過去に興味を持ったのか…。愛情が希薄な父子関係にも関わらず、卓を動かしていたのは、人間に対する興味でした。俳優という設定も人間への興味という面で繋がっている職業です。父というよりも人間として父を知り、まるで台本のように父の手紙を読むシーンは森山未來ならではの演技。本質を見極めたような、どこか悲しげな表情を浮かべる演技に心を動かされます。

(C)2023 CREATPS

大いなる不在の基本情報


(C)2023 CREATPS

■受賞・出品
・第48回トロント国際映画祭
プラットフォーム・コンペティション部門正式出品作品

・第71回サン・セバスティアン国際映画祭
最優秀俳優賞受賞(藤竜也)/アテネオ・ギプスコアノ賞受賞

・第67回サンフランシスコ国際映画祭
グローバル・ビジョンアワード受賞

■作品情報
監督・脚本・編集:近浦啓 共同脚本:熊野桂太 プロデューサー:近浦啓 堀池みほ
出演:森山未來 真木よう子 原日出子/藤竜也
製作・制作プロダクション:クレイテプス 配給:ギャガ
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業) 独立行政法人日本芸術文化振興会
2023年/日本/カラー/アメリカンビスタ/5.1ch/133分
©2023 CREATPS

 

「大いなる不在」のあらすじ


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主人公である俳優の遠山卓(森山未來)は、劇団のワークショップが終わる頃、幼い頃に自分と母を捨てた父の陽二(藤竜也)が、警察に捕まったと連絡を受けます。元大学教授の父は、重度の認知症と診断され、施設に保護されていました。妻の夕希(真木よう子)と共に父が住む北九州にある施設を訪れると、そこには別人のような父の姿が...。

職員から食べ物アレルギーや延命治療について質問をされるが、30年近く離れて暮らしてきたことから答えることができない。入院中と聞いていた義母・直美(原日出子)に連絡を取るため、父に義母の行方を尋ねるも「自殺をした」と言うのだ...。

父が暮らす家を訪れると室内は荒れ果て、いたるところに物忘れへの注意書きが貼られています。そして、義母の携帯電話も置かれたままに。義母はどこに行ったのか?

卓は直美の行方を探しながら、父の人生を辿り始めます。

真実を知った時、卓の父への思いはどのように変化するのか?

混乱と驚きが謎を深める認知症×サスペンス


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映画のオープニングでは、閑静な住宅街に1台の車がゆっくりと走行する場面があり、車の影には複数の機動隊が隠れている物々しい雰囲気。これから何が起こるのかと驚くシーンです。
また、施設で再会した父は、場にそぐわないスーツを着込み、拉致をされて外国の施設に捕らわれていると話します。認知症ゆえの父の衝撃的な発言が卓と夕希を混乱させるスリリングな展開は必見。

さらに、父母の家に料理の宅配サービスの配達員が訪れるシーンでも、注文者は父でも母でもない知らない人物だということが判明。注文者はいったい誰なのか?深まる謎が徐々に明らかになり、観客の様々な感情を揺り動かしていきます。

不在だった「父」の失われた記憶を探る旅


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義母の行方を探すため、父が持っていた義母の日記を読み始める卓。認知症を患い30年以上、疎遠だった父が、どのような人生を歩んできたのかを紐解いていきます。

義母の日記には父からの手紙が貼りつけられており、義母への想いが綴られた手紙を読んだ卓はどこか寂しかった子ども時代に納得感を覚えます。

施設で再会する前に一度、父を訪ねた際には、俳優になった卓の姿をテレビで見られる喜びを感じながらも決して表には出さず、皮肉な発言を繰り返す父にどこか冷めたような眼差しを向けていました。

卓にとって父は、幼いころから"不在"ではありましたが、父の中には卓の存在がしっかりと刻まれていました。子どもの頃に悲しい思いをさせてしまったことを後悔している様子には心を打たれるものがあります。皮肉屋で不器用ながら、過去の行いを謝罪する姿を見た卓は、長年"不在"だった父という存在を受け入れ始めます。知られざる父の過去を知り、記憶を再構築していくことで、葛藤や矛盾という誰もが抱える人間性が表現されていました。

『森山未來』ありきで描かれた脚本


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脚本の開発段階では、森山未來との面識がなかったという近浦監督ですが、出演していた舞台に感激し、どうしても組みたいとの想いから出演をオファー。

監督は、森山未來と2人で卓という人物像を徹底的に議論したと語っています。卓がなぜ長年疎遠だった父の過去に興味を持ったのか…。愛情が希薄な父子関係にも関わらず、卓を動かしていたのは、人間に対する興味でした。俳優という設定も人間への興味という面で繋がっている職業です。父というよりも人間として父を知り、まるで台本のように父の手紙を読むシーンは森山未來ならではの演技。本質を見極めたような、どこか悲しげな表情を浮かべる演技に心を動かされます。

大いなる不在の基本情報


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■受賞・出品
・第48回トロント国際映画祭
プラットフォーム・コンペティション部門正式出品作品

・第71回サン・セバスティアン国際映画祭
最優秀俳優賞受賞(藤竜也)/アテネオ・ギプスコアノ賞受賞

・第67回サンフランシスコ国際映画祭
グローバル・ビジョンアワード受賞

■作品情報
監督・脚本・編集:近浦啓 共同脚本:熊野桂太 プロデューサー:近浦啓 堀池みほ
出演:森山未來 真木よう子 原日出子/藤竜也
製作・制作プロダクション:クレイテプス 配給:ギャガ
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業) 独立行政法人日本芸術文化振興会
2023年/日本/カラー/アメリカンビスタ/5.1ch/133分
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休日のスケジュールが決まっていない方、何を見ようか迷っている方など"ライトな映画ファン"に対して、映画館に出かけて、映画を楽しむことをおすすめします。SASARU movie編集部では、話題性の高い最新映画を中心にその情報や魅力を継続的に発信していきます。

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