「マチネの終わりに」「ある男」を生み出した平野啓一郎原作の小説「本心」が、主演・池松壮亮と石井裕也監督のタッグにより映画化。急逝した母親をAI技術で再生した青年が、加速度的に進化していく時代に迷いながらも"本心"を探ろうとする様を映し出します。
公開に先駆けて試写会に参加したSASARU movie編集部が映画の見どころをレビューします。
「本心」の気になるストーリー
映画を紐解くために注目したいキーワード
特に気になるキーワードは「自由死」「ヴァーチャル・フィギュア(VF)」「リアル・アバター」。
「自由死」は、自分の死のタイミングを決められる制度です。作中では合法であるものの、寿命による自然死とは違う無条件の安楽死であり、"自死"とも捉えられます。税金が優遇されたり見舞金が出たりと、メリットがある反面、ただ弱者を切り捨てる制度だと朔也が憤るシーンも。
最先端のAI(人工知能)、AR(添加現実)の技術を組み合わせ、仮想空間上に外見だけでなく会話もできるよう"人間"を再現する「ヴァーチャル・フィギュア(VF)」。朔也が母の本心を知りたいがため、藁にもすがる思いで頼った技術です。これまでのライフログ、メールのやり取り、写真、動画、ネットの検索履歴などの情報をAIが集約し生成される"人間"は、初めから完璧というわけではありません。日々対話を重ね、学習を続けさせることでより"再現されたその人"に近づいていきます。その過程で朔也は母が隠していた衝撃の過去を知ることに…。
キーワードのどれもが現時点で議論されていたり、似たようなサービスが思い浮かぶものばかりです。VFとの対話で使用されるゴーグルは、今年6月に発売された現実世界と仮想世界が相互に影響しあう技術 ・MR(複合現実)デバイスを意識して作ったそう。携帯電話やスマートフォンがいつのまにか社会に浸透していたように、どれもが「近い将来提供されてもおかしくないな」と感じさせるほどリアル。この映画は今生きている世界と地続きなのだと感じさせます。
9度目のタッグ!池松壮亮×石井裕也によるヒューマンミステリー
池松壮亮が演じる主人公の朔也は、たった1人の肉親である母親を亡くした上に1年近くも眠っていたことで、技術革新が進んだ時代に突然放り出されてしまいます。仕事はロボットに奪われ、知らない技術に新しい職業、出会う人々やAIの母に翻弄され続ける朔也。迷子のようになりながらも、母の本心を知りたい一心で懸命に日々を生きる様を、あえて地に足のつかない不安定な演技で見事に表現しています。
進化し続ける世界における人間の心と本質
『AI やテクノロジーに対して少しでも不安に思っている方々に捧げる 』と述べる石井監督。朔也と母・秋子によるじわりと胸を締めつけるラストシーンで、これから到来するであろう未来に想いを馳せてみてくださいね。
映画「本心」の基本情報
・出演:池松壮亮
三吉彩花、水上恒司、仲野太賀 / 田中 泯 綾野 剛 / 妻夫木 聡、田中裕子
・原作:平野啓一郎「本心」(文春文庫 / コルク)
・監督・脚本:石井裕也
・音楽:Inyoung Park 河野丈洋
・公式サイト:https://happinet-phantom.com/honshin/
「本心」の気になるストーリー
(C)2024映画『本心』製作委員会
映画を紐解くために注目したいキーワード
(C)2024映画『本心』製作委員会
特に気になるキーワードは「自由死」「ヴァーチャル・フィギュア(VF)」「リアル・アバター」。
「自由死」は、自分の死のタイミングを決められる制度です。作中では合法であるものの、寿命による自然死とは違う無条件の安楽死であり、"自死"とも捉えられます。税金が優遇されたり見舞金が出たりと、メリットがある反面、ただ弱者を切り捨てる制度だと朔也が憤るシーンも。
最先端のAI(人工知能)、AR(添加現実)の技術を組み合わせ、仮想空間上に外見だけでなく会話もできるよう"人間"を再現する「ヴァーチャル・フィギュア(VF)」。朔也が母の本心を知りたいがため、藁にもすがる思いで頼った技術です。これまでのライフログ、メールのやり取り、写真、動画、ネットの検索履歴などの情報をAIが集約し生成される"人間"は、初めから完璧というわけではありません。日々対話を重ね、学習を続けさせることでより"再現されたその人"に近づいていきます。その過程で朔也は母が隠していた衝撃の過去を知ることに…。
(C)2024映画『本心』製作委員会
キーワードのどれもが現時点で議論されていたり、似たようなサービスが思い浮かぶものばかりです。VFとの対話で使用されるゴーグルは、今年6月に発売された現実世界と仮想世界が相互に影響しあう技術 ・MR(複合現実)デバイスを意識して作ったそう。携帯電話やスマートフォンがいつのまにか社会に浸透していたように、どれもが「近い将来提供されてもおかしくないな」と感じさせるほどリアル。この映画は今生きている世界と地続きなのだと感じさせます。
9度目のタッグ!池松壮亮×石井裕也によるヒューマンミステリー
(C)2024映画『本心』製作委員会
池松壮亮が演じる主人公の朔也は、たった1人の肉親である母親を亡くした上に1年近くも眠っていたことで、技術革新が進んだ時代に突然放り出されてしまいます。仕事はロボットに奪われ、知らない技術に新しい職業、出会う人々やAIの母に翻弄され続ける朔也。迷子のようになりながらも、母の本心を知りたい一心で懸命に日々を生きる様を、あえて地に足のつかない不安定な演技で見事に表現しています。
(C)2024映画『本心』製作委員会
進化し続ける世界における人間の心と本質
(C)2024映画『本心』製作委員会
『AI やテクノロジーに対して少しでも不安に思っている方々に捧げる 』と述べる石井監督。朔也と母・秋子によるじわりと胸を締めつけるラストシーンで、これから到来するであろう未来に想いを馳せてみてくださいね。
映画「本心」の基本情報
(C)2024映画『本心』製作委員会
・出演:池松壮亮
三吉彩花、水上恒司、仲野太賀 / 田中 泯 綾野 剛 / 妻夫木 聡、田中裕子
・原作:平野啓一郎「本心」(文春文庫 / コルク)
・監督・脚本:石井裕也
・音楽:Inyoung Park 河野丈洋
・公式サイト:https://happinet-phantom.com/honshin/
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