(C)2024 映画「正体」製作委員会
(C)2024 映画「正体」製作委員会

2024.11.27

死刑囚が脱走!潜伏生活中に見えてくる彼の目的・思いとは?『正体』試写会レビュー

代表作に「正義の申し子」「震える天秤」など数々のヒット作品を生み出した染井為人のベストセラーサスペンス小説を、第43回日本アカデミー賞にて映画「新聞記者」(19)が最優秀作品賞含む6部門受賞した藤井道人を監督に映画化した『正体』。

日本中を震撼させた殺人事件の容疑者として逮捕され、死刑判決を受けた鏑木(横浜流星)の脱獄から始まる衝撃のストーリーとスリリングな展開が魅力の作品です。正体を変えて逃亡を続け、潜伏場所を点々とする中で、沙耶香(吉岡里帆)、和也(森本慎太郎)、舞(山田杏奈)と関わり、鏑木の過去や目的が徐々に明らかになっていきます。はたして、鏑木の真の目的とは一体何なのか?

試写会に参加した藤女子大学映画研究会の私たちが感じた映画『正体』の魅力をお伝えします!

思わず手に汗握る緊張感ある演出に注目


(C)2024 映画「正体」製作委員会

『正体』では緊張感を感じる様々な演出が施され、思わず息をのむシーンが満載です。鏑木が逃げるシーンの汗や生理的反応の細かな表現、必死に逃げる様子はもちろん、潜伏シーンの服装や特殊メイクなど環境に溶け込む逃走犯のリアルを演出。華麗なアクションシーンとは異なり、痛みを感じるような現実的な描写が、観ている者を物語の世界に引き込みます。

虚構と現実が交錯するスリリングな展開に息が詰まる

本作では、死刑囚脱獄に対する世論の変遷が、SNSというイマドキな方法で描写されています。これが鏑木の正体を疑いながら追う我々とリンクし、現実世界の事件と錯覚させる程の演出になっているのが見どころのひとつ。

名前、容姿、職業などを巧みに変え、複数の人物を装い逃亡を続ける様子は、観ているこちらまで混乱する程。また、潜伏期間中にも関わらず、職場の同僚である和也をと酒を酌み交わす様子や沙耶香との暖かい食卓など、度々映る食事シーンからは、鏑木が確かに生きていることを感じさせます。

 

(C)2024 映画「正体」製作委員会

逃走犯?関わる人々?様々な視点から楽しめる『正体』

『正体』は、視点が固定されていない映像作品の特性があり、社会に紛れ込みいつバレるのかと肝を冷やす脱獄犯の目線と、隣に居るのが凶悪な脱獄犯かもしれないという周りの人々の目線、双方の視点から緊張感を味わうことができます。死刑囚という暗い影を背負いながらも、誰かの心を温める優しさを持つ鏑木。彼の複雑な心の動きには共感せずにはいられません。そんな鏑木に翻弄されながらも、登場人物たちと共に彼の正体に迫っていく様子は、情報過多の時代に情報とどのように向き合うのか、自分の目で相手を知る大切さを感じさせてくれる物語です。

信じるとは?作中に点在する「信じる」というキーワード

「信じる、君を。信じる、この世界を。」というキャッチコピーにある通り、本作は「信じる」がキーワードになっています。逃亡生活で鏑木が出会った人物たち。彼らは鏑木が死刑囚であると知った際に、自分の見てきた鏑木とのギャップに悩むことになります。何が本当の鏑木なのか…、果たして彼らは最後に何を信じるのでしょうか。観ている我々にも、その選択が委ねられます。「信じる」が作中でどの様な役割を持つのか、ぜひ劇場で確かめてみてください!

(C)2024 映画「正体」製作委員会

『正体』の基本情報


(C)2024 映画「正体」製作委員会

■公開日:11月29日(金)
■原作:染井為人『正体』(光文社文庫)
■出演:横浜流星
吉岡里帆 森本慎太郎 山田杏奈
前田公輝 田島亮 遠藤雄弥 宮﨑優 森田甘路
西田尚美 山中崇 宇野祥平 駿河太郎 / 木野花 田中哲司 原日出子 松重豊
山田孝之
■主題歌:「太陽」ヨルシカ (Polydor Records)
■監督:藤井道人
■脚本:小寺和久、藤井道人
■音楽:大間々昂
■配給:松竹
■公式サイト: https://movies.shochiku.co.jp/shotai-movie

思わず手に汗握る緊張感ある演出に注目


(C)2024 映画「正体」製作委員会

『正体』では緊張感を感じる様々な演出が施され、思わず息をのむシーンが満載です。鏑木が逃げるシーンの汗や生理的反応の細かな表現、必死に逃げる様子はもちろん、潜伏シーンの服装や特殊メイクなど環境に溶け込む逃走犯のリアルを演出。華麗なアクションシーンとは異なり、痛みを感じるような現実的な描写が、観ている者を物語の世界に引き込みます。

虚構と現実が交錯するスリリングな展開に息が詰まる


(C)2024 映画「正体」製作委員会

本作では、死刑囚脱獄に対する世論の変遷が、SNSというイマドキな方法で描写されています。これが鏑木の正体を疑いながら追う我々とリンクし、現実世界の事件と錯覚させる程の演出になっているのが見どころのひとつ。

名前、容姿、職業などを巧みに変え、複数の人物を装い逃亡を続ける様子は、観ているこちらまで混乱する程。また、潜伏期間中にも関わらず、職場の同僚である和也をと酒を酌み交わす様子や沙耶香との暖かい食卓など、度々映る食事シーンからは、鏑木が確かに生きていることを感じさせます。

 

逃走犯?関わる人々?様々な視点から楽しめる『正体』

『正体』は、視点が固定されていない映像作品の特性があり、社会に紛れ込みいつバレるのかと肝を冷やす脱獄犯の目線と、隣に居るのが凶悪な脱獄犯かもしれないという周りの人々の目線、双方の視点から緊張感を味わうことができます。死刑囚という暗い影を背負いながらも、誰かの心を温める優しさを持つ鏑木。彼の複雑な心の動きには共感せずにはいられません。そんな鏑木に翻弄されながらも、登場人物たちと共に彼の正体に迫っていく様子は、情報過多の時代に情報とどのように向き合うのか、自分の目で相手を知る大切さを感じさせてくれる物語です。

信じるとは?作中に点在する「信じる」というキーワード


(C)2024 映画「正体」製作委員会

「信じる、君を。信じる、この世界を。」というキャッチコピーにある通り、本作は「信じる」がキーワードになっています。逃亡生活で鏑木が出会った人物たち。彼らは鏑木が死刑囚であると知った際に、自分の見てきた鏑木とのギャップに悩むことになります。何が本当の鏑木なのか…、果たして彼らは最後に何を信じるのでしょうか。観ている我々にも、その選択が委ねられます。「信じる」が作中でどの様な役割を持つのか、ぜひ劇場で確かめてみてください!

『正体』の基本情報


(C)2024 映画「正体」製作委員会

■公開日:11月29日(金)
■原作:染井為人『正体』(光文社文庫)
■出演:横浜流星
吉岡里帆 森本慎太郎 山田杏奈
前田公輝 田島亮 遠藤雄弥 宮﨑優 森田甘路
西田尚美 山中崇 宇野祥平 駿河太郎 / 木野花 田中哲司 原日出子 松重豊
山田孝之
■主題歌:「太陽」ヨルシカ (Polydor Records)
■監督:藤井道人
■脚本:小寺和久、藤井道人
■音楽:大間々昂
■配給:松竹
■公式サイト: https://movies.shochiku.co.jp/shotai-movie

藤女子大学の映画研究会です。活動は主に部室での映画鑑賞で、最新作は映画館でチェックしています。執筆は部長と副部長の二人体制です。部長はダリオ・アルジェント監督が好きで、お気に入りは『サスペリア2』です。副部長の映画の好きなジャンルは、ミステリーやサスペンスで、スパイ映画も好きです。弊学はUHBと協定を結んでおり、それをきっかけにライター活動を始めました。大学生の視点から皆様に映画の魅力をお伝えします。

point注目映画一覧(外部サイト)

Gladiator II

グラディエーターII 英雄を呼ぶ声

2024-11-15

ローマ帝国が栄華を誇った時代―。ローマを支配する暴君の圧政によって自由を奪われたルシアスは、グラディエーター(剣闘士)となり、コロセウム(円形闘技場)での闘いに身を投じていく。果たして、怒りに燃えるルシアスは帝国への復讐を果たすことができるのか。

Terrifier 3

テリファー 聖夜の悪夢

2024-11-29

シリーズ第3弾となる『テリファー 聖夜の悪夢』は、前作でアート・ザ・クラウンが大量惨殺事件を巻き起こしたマイルズ郡を舞台に、クリスマスに起きる新たな恐怖を描き出す。

Red One

レッド・ワン

2024-11-08

クリスマス・イブの前夜、コードネーム"レッド・ワン”のサンタクロースが誘拐された!クリスマスを取り戻すため、子供たちの笑顔のためなら何でもする心優しいサンタクロース護衛隊長・カラムは、世界一の追跡者にして賞金稼ぎのジャックと手を組み、サンタ救出に向けて世界中を飛び回ることに。しかし、彼らの前に立ちはだかる誘拐犯は、サンタの力を利用してある恐ろしい計画を企てていた―。果たして、二人はクリスマスまでにサンタクロースを救出できるのか!?

Trap

トラップ

2024-10-25

溺愛する娘ライリーのために、彼女が今夢中の世界的アーティスト、レディ・レイヴンが出演するアリーナライブのプラチナチケットを手に入れたクーパー。父親と会場に到着したライリーは、最高の席に大感激。遂にライブが幕を開け、3 万人の観客が熱狂に包まれる中、彼は異変に気付く。異常な数の監視カメラ、会場内外に続々と集結する警察…普通ではない。口の軽いスタッフから「ここだけの秘密」を聞き出すクーパー。指名手配中の切り裂き魔についてタレコミがあり、警察がライブというトラップを仕組んだという。だが、その世間を騒がす残虐な殺人鬼こそ——優しい父親にしか見えないクーパーだった!

Dream Scenario

ドリーム・シナリオ

2024-11-22

ごく普通の暮らしをしている大学教授のポール・マシューズ(ニコラス・ケイジ) 。ある日、何百万人という人々の夢の中に一斉にポールが現れた!夢の中のポールは、特段何をするわけでもないのだが、誰もがポールの顔を知っている状態となり、一躍超有名人に。しかし、ある日を境に夢の中の自分が悪事を働き始め、大炎上してしまう。果たして、男の運命は!?そして、夢の中のもう1人の自分の目的とはー!