
日本で初めて教師による児童へのいじめが認定された体罰事件を題材にした作品のルポルタージュである『でっちあげ~殺人教師と呼ばれた男』。三池崇史監督と綾野剛さんのタッグで手掛けられた今作。先月開催されたプレミアイベントにUHBアナウンサーの柴田平美が参加してきました!『いっとこ!みんテレ』で放送しきれなかった綾野剛さん、柴咲コウさん、亀梨和也さん、木村文乃さん、光石研さん、大倉孝二さん、迫田孝也さん、小林薫さん、北村一輝さん、三池崇史監督のインタビューの模様をお届けします。
綾野剛さん、柴咲コウさんが語る現場の雰囲気
綾野:三池監督は、現場で多くを語るタイプではなく、常に見守ってくださる方なんです。その中で、自分たちが表現するものをずっと受け止め続けてくださっているのですが、ある瞬間にふっと発するひと言が、自分のやっていることを“成立させる道筋”になります。言葉では説明しづらいのですが、自分のイメージとは異なる映り方をしているんです。もちろん、僕たちは、アングルに対してどういう表情を作ろうかとは基本考えないので、どんな表情で映っているかもちろん分からないんですけど、出来上がったものを見た時に、監督がなぜあの時に現場で「よしよし」とうなずいていたかがわかったんですよね。僕自身も「あ、こんな顔してたんだ、こんな表情があったんだ」と思いました。今までの僕やコウさんではない、新しい僕たちの顔を見つけてくれようとする。そういったところに多分、俳優はすごく救われていて大変感謝しています。

(C)2007 福田ますみ/新潮社 (C)2025「でっちあげ」製作委員会

(C)2007 福田ますみ/新潮社 (C)2025「でっちあげ」製作委員会
柴咲:役に引っ張られるような感覚はあまりなかったですし、綾野さんは本当にコミュニケーション力が素晴らしい方。よりシーンを良くするためにセッションをしてくださって、監督とも色々お話しをされていて、自然と私もうまく輪に入れたんです。私は考えすぎてしまって、聞けないところが意外とあるのですが、それを引き出してもらえたなと感じました。そういう意味では自由度も高くてとてもやりやすかったですね。
―――今のお話を聞いていかがですか?
綾野:いやいや、嬉しいです。僕はコウさんと念願の初共演なので、その喜びがすごくあって。現場に来た時も集中力の使い方やオンオフの切り替え方だけでなく、人として丁寧に生きているというのが、伝わってくるんですよね。生活は丁寧であるべきというところをすごく感じさせてもらえて、人としてもとても惹かれました。
亀梨和也さん、木村文乃さんが感じる自身の変化
亀梨:台本を読んだ段階から、完成した作品を観た今も、「これは他人事ではない」と感じています。それは、剛くん演じる薮下先生の立ち位置ももちろんそうですけど、周囲の登場人物のひとりとして、自分も無自覚に“加担”しているようなシチュエーションがもしかするとあるのかなと自問自答するような思いが多少なりともあります。それぞれの立場に正義がある一方で、時にそれが誰かを傷つけてしまう。「弱さを抱えた人間の怖さ」とでも言うべき感情が、自分の中にもあるかもしれないと感じました。

(C)2007 福田ますみ/新潮社 (C)2025「でっちあげ」製作委員会

(C)2007 福田ますみ/新潮社 (C)2025「でっちあげ」製作委員会
木村:「映画って、こうやって作り上げるものだった」ということを久々に体感した“ザ・映画の現場”という感じで、言われたことや台本に書かれたことをそのままやるのではなく、現場で感じた空気やみんなの気持ちをくみ取って、言動にしていくというのが映画の現場だったなと感じる撮影でした。
光石研さん、大倉孝二さん、迫田孝也さんの役作りについて
大倉:えっと黒く焼きました。
迫田:うそつけ!(笑)
大倉:これは俺の話じゃなかったですか?間違えました。
迫田:私は実際に焼きました。原作に出てくる実際のお父さんは、肌が黒いというので焼いてみたんですけど、現場行ったら光石さんの方が黒かったんですよね。
大倉:役作り殺しですね。
迫田:後輩殺しでしょ?
―――どうやって黒くしたんですか?
迫田:普通に日に当たることもしましたし、色素が沈着するようなジェルも使いました。肌に馴染んで小麦色に染まるような……まぁ長くなるのでこの辺で(笑)。でも、せっかく準備して臨んだにも関わらず現場では光石さんのほうが圧倒的に黒かったんですよね。
光石:基本的に赤ら顔なのですが、夏場のロケがあると紫外線を浴びて、いつも赤いんです。すみません。

(C)2007 福田ますみ/新潮社 (C)2025「でっちあげ」製作委員会

(C)2007 福田ますみ/新潮社 (C)2025「でっちあげ」製作委員会
大倉:頑張りました。(笑)
光石:役作りって難しいよね…。
迫田:一緒のシーンの時に、お2人の息の合いようというか、あれは長年の勘ですか?
光石・大倉:いやいやいやいや…
―――今も息ぴったりですね。(笑)
迫田:校長と教頭のシーンは、とてもシリアスなのに僕と柴咲さんは腹筋でずっと笑いをこらえている状況でした。
小林薫さん、北村一輝さん、三池崇史監督に聞いた共演者とのエピソード
監督:いや、もう立派な大人になられているんですけど、楽しかったです。10何年ぶりかなと、7年ぶり以前の時はほとんどセリフのない役だったんですけど、今回はもうしゃべりまくってます。非常にいい年の重ね方をしているなと感じました。
―――どういうところで感じましたか?
監督:(北村さんを指して)こういう感じにならずに済んでいるので良かったです。(笑)
北村:済んでるね。(笑)
監督:真面目に取り組むのは当然なんでしょうけど、チームを大切にして、スタッフも共演者と一緒に1つの映画を作っていくという熱を失わずにいるというか。それがどんどん増幅しているので、そこはすごいなと思いました。

(C)2007 福田ますみ/新潮社 (C)2025「でっちあげ」製作委員会

(C)2007 福田ますみ/新潮社 (C)2025「でっちあげ」製作委員会
小林:監督の話では助監督、チーフ監督をされているときに一度仕事をしたらしいんですけれども、「三池監督作品」としては今回初めてでした。あの崔洋一監督みたいに現場で怒鳴りまくる人なのかなとか(笑)いろいろ警戒したんですけれど、それぞれの役者の感情を汲み上げていく方で、芝居もすごく丁寧な演出をされて、僕の中では非常にアップデートできたかなと感じていますね。
―――北村さんにとっては、三池監督の作品はおなじみかと思いますが、どのような思いで今回作品に臨まれましたか?
北村:本当に僕は、三池作品というのは20代の中頃から、映画になる前からずっと三池さんの元で育っている部分があるので、故郷に帰ったような気持ちでした。毎回そうなんですけど、僕は一生懸命頑張っています。
映画『でっちあげ~殺人教師と呼ばれた男』の作品情報
出演:綾野剛、木村文乃、柴咲コウ、亀梨和也、木村文乃
光石研、大倉孝二、迫田孝也、小林薫、北村一輝
監督:三池崇史
原作:福田ますみ『でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相』
配給:東映
公式サイト:https://www.detchiagemovie.jp/

(C)2007 福田ますみ/新潮社 (C)2025「でっちあげ」製作委員会
綾野剛さん、柴咲コウさんが語る現場の雰囲気

(C)2007 福田ますみ/新潮社 (C)2025「でっちあげ」製作委員会
綾野:三池監督は、現場で多くを語るタイプではなく、常に見守ってくださる方なんです。その中で、自分たちが表現するものをずっと受け止め続けてくださっているのですが、ある瞬間にふっと発するひと言が、自分のやっていることを“成立させる道筋”になります。言葉では説明しづらいのですが、自分のイメージとは異なる映り方をしているんです。もちろん、僕たちは、アングルに対してどういう表情を作ろうかとは基本考えないので、どんな表情で映っているかもちろん分からないんですけど、出来上がったものを見た時に、監督がなぜあの時に現場で「よしよし」とうなずいていたかがわかったんですよね。僕自身も「あ、こんな顔してたんだ、こんな表情があったんだ」と思いました。今までの僕やコウさんではない、新しい僕たちの顔を見つけてくれようとする。そういったところに多分、俳優はすごく救われていて大変感謝しています。

(C)2007 福田ますみ/新潮社 (C)2025「でっちあげ」製作委員会
柴咲:役に引っ張られるような感覚はあまりなかったですし、綾野さんは本当にコミュニケーション力が素晴らしい方。よりシーンを良くするためにセッションをしてくださって、監督とも色々お話しをされていて、自然と私もうまく輪に入れたんです。私は考えすぎてしまって、聞けないところが意外とあるのですが、それを引き出してもらえたなと感じました。そういう意味では自由度も高くてとてもやりやすかったですね。
―――今のお話を聞いていかがですか?
綾野:いやいや、嬉しいです。僕はコウさんと念願の初共演なので、その喜びがすごくあって。現場に来た時も集中力の使い方やオンオフの切り替え方だけでなく、人として丁寧に生きているというのが、伝わってくるんですよね。生活は丁寧であるべきというところをすごく感じさせてもらえて、人としてもとても惹かれました。
亀梨和也さん、木村文乃さんが感じる自身の変化

(C)2007 福田ますみ/新潮社 (C)2025「でっちあげ」製作委員会
亀梨:台本を読んだ段階から、完成した作品を観た今も、「これは他人事ではない」と感じています。それは、剛くん演じる薮下先生の立ち位置ももちろんそうですけど、周囲の登場人物のひとりとして、自分も無自覚に“加担”しているようなシチュエーションがもしかするとあるのかなと自問自答するような思いが多少なりともあります。それぞれの立場に正義がある一方で、時にそれが誰かを傷つけてしまう。「弱さを抱えた人間の怖さ」とでも言うべき感情が、自分の中にもあるかもしれないと感じました。

(C)2007 福田ますみ/新潮社 (C)2025「でっちあげ」製作委員会
木村:「映画って、こうやって作り上げるものだった」ということを久々に体感した“ザ・映画の現場”という感じで、言われたことや台本に書かれたことをそのままやるのではなく、現場で感じた空気やみんなの気持ちをくみ取って、言動にしていくというのが映画の現場だったなと感じる撮影でした。
光石研さん、大倉孝二さん、迫田孝也さんの役作りについて

(C)2007 福田ますみ/新潮社 (C)2025「でっちあげ」製作委員会
大倉:えっと黒く焼きました。
迫田:うそつけ!(笑)
大倉:これは俺の話じゃなかったですか?間違えました。
迫田:私は実際に焼きました。原作に出てくる実際のお父さんは、肌が黒いというので焼いてみたんですけど、現場行ったら光石さんの方が黒かったんですよね。
大倉:役作り殺しですね。
迫田:後輩殺しでしょ?
―――どうやって黒くしたんですか?
迫田:普通に日に当たることもしましたし、色素が沈着するようなジェルも使いました。肌に馴染んで小麦色に染まるような……まぁ長くなるのでこの辺で(笑)。でも、せっかく準備して臨んだにも関わらず現場では光石さんのほうが圧倒的に黒かったんですよね。
光石:基本的に赤ら顔なのですが、夏場のロケがあると紫外線を浴びて、いつも赤いんです。すみません。

(C)2007 福田ますみ/新潮社 (C)2025「でっちあげ」製作委員会
大倉:頑張りました。(笑)
光石:役作りって難しいよね…。
迫田:一緒のシーンの時に、お2人の息の合いようというか、あれは長年の勘ですか?
光石・大倉:いやいやいやいや…
―――今も息ぴったりですね。(笑)
迫田:校長と教頭のシーンは、とてもシリアスなのに僕と柴咲さんは腹筋でずっと笑いをこらえている状況でした。
小林薫さん、北村一輝さん、三池崇史監督に聞いた共演者とのエピソード

(C)2007 福田ますみ/新潮社 (C)2025「でっちあげ」製作委員会
監督:いや、もう立派な大人になられているんですけど、楽しかったです。10何年ぶりかなと、7年ぶり以前の時はほとんどセリフのない役だったんですけど、今回はもうしゃべりまくってます。非常にいい年の重ね方をしているなと感じました。
―――どういうところで感じましたか?
監督:(北村さんを指して)こういう感じにならずに済んでいるので良かったです。(笑)
北村:済んでるね。(笑)
監督:真面目に取り組むのは当然なんでしょうけど、チームを大切にして、スタッフも共演者と一緒に1つの映画を作っていくという熱を失わずにいるというか。それがどんどん増幅しているので、そこはすごいなと思いました。

(C)2007 福田ますみ/新潮社 (C)2025「でっちあげ」製作委員会
小林:監督の話では助監督、チーフ監督をされているときに一度仕事をしたらしいんですけれども、「三池監督作品」としては今回初めてでした。あの崔洋一監督みたいに現場で怒鳴りまくる人なのかなとか(笑)いろいろ警戒したんですけれど、それぞれの役者の感情を汲み上げていく方で、芝居もすごく丁寧な演出をされて、僕の中では非常にアップデートできたかなと感じていますね。
―――北村さんにとっては、三池監督の作品はおなじみかと思いますが、どのような思いで今回作品に臨まれましたか?
北村:本当に僕は、三池作品というのは20代の中頃から、映画になる前からずっと三池さんの元で育っている部分があるので、故郷に帰ったような気持ちでした。毎回そうなんですけど、僕は一生懸命頑張っています。
映画『でっちあげ~殺人教師と呼ばれた男』の作品情報

(C)2007 福田ますみ/新潮社 (C)2025「でっちあげ」製作委員会
出演:綾野剛、木村文乃、柴咲コウ、亀梨和也、木村文乃
光石研、大倉孝二、迫田孝也、小林薫、北村一輝
監督:三池崇史
原作:福田ますみ『でっちあげ 福岡「殺人教師」事件の真相』
配給:東映
公式サイト:https://www.detchiagemovie.jp/
柴田平美
UHBアナウンサー
UHBアナウンサー。ねむろ観光大使。土曜の情報番組「いっとこ!」の映画コーナーを担当。私が初めて観た映画は『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』(2001)。故郷・根室に映画館がなかったため、観たい映画があると隣町の釧路まで行って観ていました。映画館では、一番後ろの真ん中で、ひとりで観るのが好き。ジャンルは、ラブ・ファンタジー・アクションを中心に、話題作をチェックしています。皆さんの心に残る映画を見つけるきっかけとなれますように。