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2025.9.23

響くのは爆音と信念の鼓動。大沢たかお主演『沈黙の艦隊 北極海大海戦』レビュー

Amazon MGMスタジオが手掛けたドラマ版『沈黙の艦隊 シーズン1~東京湾大海戦~』(2024年)は、国内視聴数の記録を塗り替えるほどの反響を呼びました。その続編、『沈黙の艦隊 北極海大海戦』が、9月26日(金)より劇場公開されます。

今回映像化されたのは、原作ファンにもおなじみの「北極海大海戦」と「やまと選挙」。氷に閉ざされた深海での神経戦と、国家の未来をめぐる白熱の政治劇が交錯する、シリーズ最大級の山場とも言えるエピソードです。

監督は前作に続き吉野耕平。骨太なテーマと重厚なアクション、そして静かに燃える人間模様を、スクリーンいっぱいに広げてみせました。

沈黙と爆音が交差する、“体感型”の緊張


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舞台は、北極海。分厚い氷の下で、潜水艦どうしが静かに睨み合う。敵の動きも、自分の息づかいも、すべては“音”で感じ取るしかない。

本作で特筆すべきは、やはりその音響演出です。氷がひび割れる音や、ソナーの反響に、まるで自分が艦内にいるかのような緊張が走ります。そこに魚雷の発射音や爆発音が一閃のごとく入り込んでくる瞬間は、思わず息を呑む迫力です。

海江田四郎を演じる大沢たかおの落ち着いた声色もまた、全体の緊張感に深く作用しているのは間違いありません。

さらに特筆すべきは鮮やかな映像美。CGで描かれた流氷の海やオーロラの描写は、ただの背景ではなく、物語の緊張と静けさを強調する存在になっています。オーロラのシーンに関しては、大沢たかお本人が実際に見た本物のオーロラを撮影した写真をもとに再現したというエピソードもあり、どこか祈りのような静謐さが漂います。

知略と信念の象徴――大沢たかお演じる海江田四郎

大沢たかおが演じる海江田は、「平和をつくる力」としての軍事力を真剣に模索する人物。感情的に走ることなく、状況を冷静に見極め、理性と信念で艦を導いていきます。

今回、「やまと」の性能を上回る米原潜「アレキサンダー」との対決でも、その知略と胆力が存分に発揮されます。地形を読み、状況を活かし、海江田は“勝利”とは何かを問いかけてきます。

ただ敵を倒すことではない、信念を貫くこと。そこにこそ本作の核心があります。

もうひとつの戦場――政治の舞台裏にも緊張が走る


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潜水艦の中だけが戦場ではありません。日本の首相官邸、そして国民を巻き込んだ「やまと選挙」。

津田健次郎演じる大滝淳のエネルギーあふれる演技、風吹ジュンや笹野高史が見せる芯の通った佇まいが、政治の現場に深みとリアリティを与えています。演技合戦としても、見応えは十分。

党首たちが集う討論会のシーンは特に印象的です。それぞれが“国家の未来”をどう捉え、どう語るか。その言葉に、観客はただのフィクションでは済まされない問いを突きつけられることになります。

今だからこそ響く、問いかけ

本作が描くのは、架空の戦争でも、空想の未来でもない。“今”に通じる現実です。

核兵器、同盟、主権、選挙。現代の日本が抱えるさまざまな問題が、フィクションの中で静かに、しかし確実に揺さぶられていきます。

「理想を貫くか、現実に妥協するか」。このテーマは、きっと多くの観客の心にひっかかるはずです。

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劇場でこそ味わえる、思想とスリルの融合


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『沈黙の艦隊 北極海大海戦』は、いわゆる戦争映画でもなければ、ただの政治劇でもありません。音、映像、言葉、人――すべてを通じて観客の“思考”に働きかけてくる、稀有な1本です。

平和とは何か。武力とは何か。国家とは。信念とは。
その問いを、劇場の暗闇で深く受け取ってほしい。

この映画が発する“沈黙”の意味を、スクリーン越しに感じ取ってみてください。

映画『沈黙の艦隊 北極海大海戦』の基本情報

■出演:大沢たかお、
    上戸彩、津田健次郎
    中村蒼、松岡広大、前原滉、渡邊圭祐
    風吹ジュン
    Torean Thomas
    Brian Garcia
    Dominic Power
    Rick Amsbury、岡本多緒、酒向芳
    夏川結衣、笹野高史
    江口洋介

■監督:吉野耕平

■脚本:高井 光(※髙井 光さんの「高」は正式には「ハシゴの高」)

■音楽:池 頼広

■原作:かわぐちかいじ「沈黙の艦隊」(講談社「モーニング」)

■主題歌:Ado「風と私の物語」作詞・作曲:宮本浩次 編曲:まふまふ

■配給:東宝

■公開日:2025年9月26日(金)

■公式サイト:https://silent-service.jp/

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沈黙と爆音が交差する、“体感型”の緊張


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舞台は、北極海。分厚い氷の下で、潜水艦どうしが静かに睨み合う。敵の動きも、自分の息づかいも、すべては“音”で感じ取るしかない。

本作で特筆すべきは、やはりその音響演出です。氷がひび割れる音や、ソナーの反響に、まるで自分が艦内にいるかのような緊張が走ります。そこに魚雷の発射音や爆発音が一閃のごとく入り込んでくる瞬間は、思わず息を呑む迫力です。

海江田四郎を演じる大沢たかおの落ち着いた声色もまた、全体の緊張感に深く作用しているのは間違いありません。

さらに特筆すべきは鮮やかな映像美。CGで描かれた流氷の海やオーロラの描写は、ただの背景ではなく、物語の緊張と静けさを強調する存在になっています。オーロラのシーンに関しては、大沢たかお本人が実際に見た本物のオーロラを撮影した写真をもとに再現したというエピソードもあり、どこか祈りのような静謐さが漂います。

知略と信念の象徴――大沢たかお演じる海江田四郎

大沢たかおが演じる海江田は、「平和をつくる力」としての軍事力を真剣に模索する人物。感情的に走ることなく、状況を冷静に見極め、理性と信念で艦を導いていきます。

今回、「やまと」の性能を上回る米原潜「アレキサンダー」との対決でも、その知略と胆力が存分に発揮されます。地形を読み、状況を活かし、海江田は“勝利”とは何かを問いかけてきます。

ただ敵を倒すことではない、信念を貫くこと。そこにこそ本作の核心があります。

もうひとつの戦場――政治の舞台裏にも緊張が走る


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潜水艦の中だけが戦場ではありません。日本の首相官邸、そして国民を巻き込んだ「やまと選挙」。

津田健次郎演じる大滝淳のエネルギーあふれる演技、風吹ジュンや笹野高史が見せる芯の通った佇まいが、政治の現場に深みとリアリティを与えています。演技合戦としても、見応えは十分。

党首たちが集う討論会のシーンは特に印象的です。それぞれが“国家の未来”をどう捉え、どう語るか。その言葉に、観客はただのフィクションでは済まされない問いを突きつけられることになります。

今だからこそ響く、問いかけ


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本作が描くのは、架空の戦争でも、空想の未来でもない。“今”に通じる現実です。

核兵器、同盟、主権、選挙。現代の日本が抱えるさまざまな問題が、フィクションの中で静かに、しかし確実に揺さぶられていきます。

「理想を貫くか、現実に妥協するか」。このテーマは、きっと多くの観客の心にひっかかるはずです。

劇場でこそ味わえる、思想とスリルの融合


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『沈黙の艦隊 北極海大海戦』は、いわゆる戦争映画でもなければ、ただの政治劇でもありません。音、映像、言葉、人――すべてを通じて観客の“思考”に働きかけてくる、稀有な1本です。

平和とは何か。武力とは何か。国家とは。信念とは。
その問いを、劇場の暗闇で深く受け取ってほしい。

この映画が発する“沈黙”の意味を、スクリーン越しに感じ取ってみてください。

映画『沈黙の艦隊 北極海大海戦』の基本情報


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■出演:大沢たかお、
    上戸彩、津田健次郎
    中村蒼、松岡広大、前原滉、渡邊圭祐
    風吹ジュン
    Torean Thomas
    Brian Garcia
    Dominic Power
    Rick Amsbury、岡本多緒、酒向芳
    夏川結衣、笹野高史
    江口洋介

■監督:吉野耕平

■脚本:高井 光(※髙井 光さんの「高」は正式には「ハシゴの高」)

■音楽:池 頼広

■原作:かわぐちかいじ「沈黙の艦隊」(講談社「モーニング」)

■主題歌:Ado「風と私の物語」作詞・作曲:宮本浩次 編曲:まふまふ

■配給:東宝

■公開日:2025年9月26日(金)

■公式サイト:https://silent-service.jp/

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