(C)瀬尾まいこ/2024 「夜明けのすべて」製作委員会
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2025.3.14

作品賞など優秀賞3受賞!松村北斗、上白石萌音出演、三宅唱監督『夜明けのすべて』 札幌再上映は16日迄

公開前から国内外で評価され、先日はキネマ旬報日本映画ベスト・テン第1位など4冠に輝いた映画『夜明けのすべて』(24)。現在、サツゲキ(札幌)で第48回日本アカデミー賞 優秀賞受賞記念でリバイバル上映中です。SASARU movieでは、リスナーからアーカイブ化の声が多かった2024年2月1日(木)放送「キャプテン・ポップコーン」にゲスト出演した道産子・三宅唱監督のインタビュー記事を振り返り掲載します。
 

今回は、道産子・三宅唱監督の登場です!

三宅唱監督は、1984年、北海道札幌市東区生まれ。
2017 年公開した函館が舞台の『きみの鳥はうたえる』が翌年の第9 回キネマ旬報ベスト・テンで第3位に選ばれ、2022年公開『ケイコ 目を澄ませて』では国内で多くの映画賞を受賞。最新作は、『夜明けのすべて』です。


矢武:早速、最新作についてお聞きしたいのですが、『夜明けのすべて』という映画はどのような映画なんですか?


 

(C)瀬尾まいこ/2024 「夜明けのすべて」製作委員会


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三宅:2人の男女が出てきます。松村北斗さんが演じる山添孝俊と上白石萌音さん演じる藤沢美紗という2人が映画の中で出会います。
普通、映画の中で男女が出会うと恋愛するのかなという風に思い込んでしまうのですが、この映画そうではないです。
2人ともそれぞれ事情を抱えていて、松村北斗さんが演じた役はパニック障害を抱えていて、上白石さんの役はPMS(月経前症候群)を抱えていて、なかなか大変な日々を送っている。
でも、そんな2人が出会うことで、恋愛でもなく、だからといって友情というわけでもなく、同じ会社で働く2人が共に助け合いながら少しずつ一歩一歩前に進んでいくという映画です。

矢武:本当に好きな映画で、ゆっくり丁寧に観たいなと思う映画でしたね。
優しい温度感、おっしゃられたように、恋愛で最後は終わるのかなと思っていたら...付き合ったりとか恋愛になる雰囲気でもなく、かといって本当に友情でもなく、社会の映画でしたよね。
三宅:そうかもしれないですね。
街を歩いてると本当に色々な人がいるなと思いますし、当たり前すぎて気が付かないこともたくさんあるので、そのひとつひとつに気が付いていくような、そういう時間が流れていればいいなと思って作りました。

矢武:演出されている中で、デリケートな内容もあったと思うのですが、意識したことや気が付いたことはあるのですか?

三宅:2つあって、ひとつはパニック障害もPMSも人によって症状や原因がバラバラなので、本当に色々なパターンがあるんだよということは大事にしたいなと思いました。
もうひとつは、特にパニック障害の方で過呼吸の状態を演じなければならないということです。俳優というのは真面目ですし、真剣ですから熱意を込めてしまうんですよね。それが少し危ないなと思ったんですね。
演じる俳優が、もしそれで本当に体に異変がきたしてしまうと、誰も幸せにならないので自分の役割としては、それに然るべきセーブをかける、安全な状態で演じてもらうために医療監修の方も現場に来てもらったりしました。僕も俳優たちも周りのスタッフも、この映画で扱う題材が世の中で実際にどのような苦しみがあるのかを知った上できちんとやろうというのがありましたね。

 

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矢武:2人が働いている会社の方たちも映画の中の話ですけど、従業員のことをきちんと理解してる様子で描かれててすごいいい会社ですよね。参考にした会社とかあったんですか?

三宅:そうなんですよね、あれ、いい会社なんですよ。
具体的にはないですけど、小説の中にまずそういうすごく温かいというか、今本当こういう会社があってほしいなという世界が描かれていたのが大きくて、それからいろんなところを探していきましたね。

普段生きてると、自分より若い友人なんかが働き始めた会社が様々な理由で「辛い」という話をよく耳にしていました。

反面教師に「何が問題なの」と聞くと、会社によって制度の問題や単純に「もう嫌だ」という理由などあるわけですけど、そういうのを聞いていく上で「じゃあ、こんな会社があったらいいよね」というのをひとつひとつ具体的に描いていきました。

矢武:僕もお仕事で道内の中小企業さんと関わることが多いですが、中小企業というだけで、規模などを理由に変な偏見とか持たれる方多いじゃないですか。でも、いい会社は規模などに関わらず、本当にいい会社ですからね。逆に経営者の方には、『夜明けのすべて』を観て、こういう社内環境にしたら、いい会社になるんだなっていうのを知ってもらえるキッカケになるといいな、と思いました。

三宅:ですよね、全くそうだと思います。実際この映画の中で「こんな会社はないよ」って思う方もいるかもしれないですけど・・・僕の感覚だと多分あります。きっといい場所はあります。

 
矢武:主演のお2人は現場でどのような感じだったのですか。

三宅:2人とも1度、朝ドラで共演している経験があるので、本当に信頼関係があって、すごく仕事としてもやりやすいですし、本当に映画をどんどん豊かにしてくれたと思いますね。

矢武:上白石さんは新しいキャラクターだなと思いましたね。今までに観たことのない、上白石さん。

三宅:そうかもしれないですね。
やはり、今まで観たものをなぞるのも面白くないですし、本当にすごくチャレンジしてくれたなと思います。

矢武:松村さんもハマった役だなと思います。

三宅:彼自身のすごく繊細で真面目な部分や真剣な部分が本当にいい意味で作用していたなというふうに思いますね。

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今回は、道産子・三宅唱監督の登場です!

三宅唱監督は、1984年、北海道札幌市東区生まれ。
2017 年公開した函館が舞台の『きみの鳥はうたえる』が翌年の第9 回キネマ旬報ベスト・テンで第3位に選ばれ、2022年公開『ケイコ 目を澄ませて』では国内で多くの映画賞を受賞。最新作は、『夜明けのすべて』です。


矢武:早速、最新作についてお聞きしたいのですが、『夜明けのすべて』という映画はどのような映画なんですか?


 

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三宅:2人の男女が出てきます。松村北斗さんが演じる山添孝俊と上白石萌音さん演じる藤沢美紗という2人が映画の中で出会います。
普通、映画の中で男女が出会うと恋愛するのかなという風に思い込んでしまうのですが、この映画そうではないです。
2人ともそれぞれ事情を抱えていて、松村北斗さんが演じた役はパニック障害を抱えていて、上白石さんの役はPMS(月経前症候群)を抱えていて、なかなか大変な日々を送っている。
でも、そんな2人が出会うことで、恋愛でもなく、だからといって友情というわけでもなく、同じ会社で働く2人が共に助け合いながら少しずつ一歩一歩前に進んでいくという映画です。

矢武:本当に好きな映画で、ゆっくり丁寧に観たいなと思う映画でしたね。
優しい温度感、おっしゃられたように、恋愛で最後は終わるのかなと思っていたら...付き合ったりとか恋愛になる雰囲気でもなく、かといって本当に友情でもなく、社会の映画でしたよね。

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三宅:そうかもしれないですね。
街を歩いてると本当に色々な人がいるなと思いますし、当たり前すぎて気が付かないこともたくさんあるので、そのひとつひとつに気が付いていくような、そういう時間が流れていればいいなと思って作りました。

矢武:演出されている中で、デリケートな内容もあったと思うのですが、意識したことや気が付いたことはあるのですか?

三宅:2つあって、ひとつはパニック障害もPMSも人によって症状や原因がバラバラなので、本当に色々なパターンがあるんだよということは大事にしたいなと思いました。
もうひとつは、特にパニック障害の方で過呼吸の状態を演じなければならないということです。俳優というのは真面目ですし、真剣ですから熱意を込めてしまうんですよね。それが少し危ないなと思ったんですね。
演じる俳優が、もしそれで本当に体に異変がきたしてしまうと、誰も幸せにならないので自分の役割としては、それに然るべきセーブをかける、安全な状態で演じてもらうために医療監修の方も現場に来てもらったりしました。僕も俳優たちも周りのスタッフも、この映画で扱う題材が世の中で実際にどのような苦しみがあるのかを知った上できちんとやろうというのがありましたね。

 

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矢武:2人が働いている会社の方たちも映画の中の話ですけど、従業員のことをきちんと理解してる様子で描かれててすごいいい会社ですよね。参考にした会社とかあったんですか?

三宅:そうなんですよね、あれ、いい会社なんですよ。
具体的にはないですけど、小説の中にまずそういうすごく温かいというか、今本当こういう会社があってほしいなという世界が描かれていたのが大きくて、それからいろんなところを探していきましたね。

普段生きてると、自分より若い友人なんかが働き始めた会社が様々な理由で「辛い」という話をよく耳にしていました。

反面教師に「何が問題なの」と聞くと、会社によって制度の問題や単純に「もう嫌だ」という理由などあるわけですけど、そういうのを聞いていく上で「じゃあ、こんな会社があったらいいよね」というのをひとつひとつ具体的に描いていきました。

矢武:僕もお仕事で道内の中小企業さんと関わることが多いですが、中小企業というだけで、規模などを理由に変な偏見とか持たれる方多いじゃないですか。でも、いい会社は規模などに関わらず、本当にいい会社ですからね。逆に経営者の方には、『夜明けのすべて』を観て、こういう社内環境にしたら、いい会社になるんだなっていうのを知ってもらえるキッカケになるといいな、と思いました。

三宅:ですよね、全くそうだと思います。実際この映画の中で「こんな会社はないよ」って思う方もいるかもしれないですけど・・・僕の感覚だと多分あります。きっといい場所はあります。

 

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矢武:主演のお2人は現場でどのような感じだったのですか。

三宅:2人とも1度、朝ドラで共演している経験があるので、本当に信頼関係があって、すごく仕事としてもやりやすいですし、本当に映画をどんどん豊かにしてくれたと思いますね。

矢武:上白石さんは新しいキャラクターだなと思いましたね。今までに観たことのない、上白石さん。

三宅:そうかもしれないですね。
やはり、今まで観たものをなぞるのも面白くないですし、本当にすごくチャレンジしてくれたなと思います。

矢武:松村さんもハマった役だなと思います。

三宅:彼自身のすごく繊細で真面目な部分や真剣な部分が本当にいい意味で作用していたなというふうに思いますね。

キャプテン・ポップコーン

映画専門ラジオ番組

キャプテン・ポップコーンは、エフエムノースウェーブで毎週木曜日深夜1時半から放送するラジオ番組です。北海道・札幌で映画のお仕事に従事する「まちのえいが屋さん・矢武企画」が気になった映画の情報、映画に関係したまちの情報、そして、映画がもっと近くなるようなお話をお届けします。映画がはじける、映画で踊る夜、きょうも映画と、コミュニケーションしていきましょう!

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