2026年3月13日(金)公開の劇場アニメ映画『パリに咲くエトワール』は、1912年のパリを舞台に、画家を夢見る少女・フジコと、彼女と共にパリでバレエダンサーを目指す千鶴が、夢と現実のあいだで揺れながら成長していく過程を描いた物語です。
監督を務めるのは、『ONE PIECE FILM RED』などで知られる谷口悟朗。壮大なエンターテインメントを描いてきたその手腕が、本作では静かで繊細な物語表現へと向けられています。
キャラクター原案は、『魔女の宅急便』をはじめ数々の名作を手がけてきた近藤勝也。柔らかく温もりのある人物描写が、少女たちの感情の揺らぎを丁寧にすくい取ります。
美しい街並みと繊細な感情表現に包まれながら描かれるのは、それでも前へ進もうとする少女たちのたしかな輝きです。
近藤勝也のやわらかなタッチが息づく、温もりあるパリの街並みと暮らしの気配
(C)「パリに咲くエトワール」製作委員会
線がやわらかく、自然な発色で描かれるパリの街並みには、どこか『魔女の宅急便』を思わせる生活の気配があります。パンの香りや、アパルトマンの住人が作る手作りジャムのような、ささやかな営みの温度が画面の隅々に宿っている。石畳の道や窓辺の光景からは、誰かがそこに暮らしているたしかな手触りが伝わってくるようでした。
指先に宿る感情──少女の成長を映すダンスの瞬間
(C)「パリに咲くエトワール」製作委員会
モーションキャプチャで生まれた、リアルで繊細なバレエ表現
(C)「パリに咲くエトワール」製作委員会
本作のバレエが生き生きと感じられるのは、そうした細部にまで想像力と観察の目が行き届いているからだろうと思います。
夢を追う2人の少女、支え合う関係に見える揺らぎ
また、フジコが暮らすアパルトマンの住人や、夢に協力してくれる人々など、少女たちを見守り支える周囲の温かさも印象的です。誰かに信じてもらえることが、どれほど大きな力になるのかを改めて感じさせられました。
(C)「パリに咲くエトワール」製作委員会
理想と現実のあいだで揺れるすべての人へ、本作が送る静かなエール
(C)「パリに咲くエトワール」製作委員会
私自身、編集者として多くの作品にふれる中で、「正解」がわからなくなり、手が止まってしまう瞬間があります。優れた表現を知れば知るほど、自分の未熟さばかりが浮かび上がってしまう。千鶴が前進するほど、フジコの迷いがより鮮明に見えてくる構図は、表現の現場に身を置く者が抱える停滞と静かな恐れを思い起こさせました。
千鶴の上昇とフジコの揺らぎをそっと並べながら、「進むこと」と「立ち止まること」の両方を肯定する視線が、本作には流れているように感じます。理想と現実のあいだで立ち止まったことのあるすべての人へ、本作は静かなエールを送っているように思いました。
映画『パリに咲くエトワール』基本情報
■出演(声の出演):當真あみ、嵐莉菜
早乙女太一、門脇麦、尾上松也、角田晃広、津田健次郎
榊原良子、大塚明夫
■原作:谷口悟朗・BNF・ARVO
■監督:谷口悟朗
■脚本:吉田玲子
■キャラクター原案:近藤勝也
■主題歌:「風に乗る」 緑黄色社会 (ソニー・ミュージックレーベルズ)
■公式HP:https://sh-anime.shochiku.co.jp/parieto-movie/
(C)「パリに咲くエトワール」製作委員会
近藤勝也のやわらかなタッチが息づく、温もりあるパリの街並みと暮らしの気配
(C)「パリに咲くエトワール」製作委員会
線がやわらかく、自然な発色で描かれるパリの街並みには、どこか『魔女の宅急便』を思わせる生活の気配があります。パンの香りや、アパルトマンの住人が作る手作りジャムのような、ささやかな営みの温度が画面の隅々に宿っている。石畳の道や窓辺の光景からは、誰かがそこに暮らしているたしかな手触りが伝わってくるようでした。
指先に宿る感情──少女の成長を映すダンスの瞬間
(C)「パリに咲くエトワール」製作委員会
モーションキャプチャで生まれた、リアルで繊細なバレエ表現
(C)「パリに咲くエトワール」製作委員会
本作のバレエが生き生きと感じられるのは、そうした細部にまで想像力と観察の目が行き届いているからだろうと思います。
夢を追う2人の少女、支え合う関係に見える揺らぎ
(C)「パリに咲くエトワール」製作委員会
また、フジコが暮らすアパルトマンの住人や、夢に協力してくれる人々など、少女たちを見守り支える周囲の温かさも印象的です。誰かに信じてもらえることが、どれほど大きな力になるのかを改めて感じさせられました。
理想と現実のあいだで揺れるすべての人へ、本作が送る静かなエール
(C)「パリに咲くエトワール」製作委員会
私自身、編集者として多くの作品にふれる中で、「正解」がわからなくなり、手が止まってしまう瞬間があります。優れた表現を知れば知るほど、自分の未熟さばかりが浮かび上がってしまう。千鶴が前進するほど、フジコの迷いがより鮮明に見えてくる構図は、表現の現場に身を置く者が抱える停滞と静かな恐れを思い起こさせました。
千鶴の上昇とフジコの揺らぎをそっと並べながら、「進むこと」と「立ち止まること」の両方を肯定する視線が、本作には流れているように感じます。理想と現実のあいだで立ち止まったことのあるすべての人へ、本作は静かなエールを送っているように思いました。
映画『パリに咲くエトワール』基本情報
(C)「パリに咲くエトワール」製作委員会
■出演(声の出演):當真あみ、嵐莉菜
早乙女太一、門脇麦、尾上松也、角田晃広、津田健次郎
榊原良子、大塚明夫
■原作:谷口悟朗・BNF・ARVO
■監督:谷口悟朗
■脚本:吉田玲子
■キャラクター原案:近藤勝也
■主題歌:「風に乗る」 緑黄色社会 (ソニー・ミュージックレーベルズ)
■公式HP:https://sh-anime.shochiku.co.jp/parieto-movie/
早川真澄
ライター・編集者
北海道の情報誌の編集者として勤務し映画や観光、人材など地域密着の幅広いジャンルの制作を手掛ける。現在は編集プロダクションを運営し雑誌、webなど媒体を問わず企画制作を行っています。