(C)2010佐藤泰志/「海炭市叙景」製作委員会
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2026.3.26

十勝・鹿追で最終章を迎える「第2回北海道国際映画祭」 熊切和嘉監督が審査委員長、長編コンペ最優秀賞〈金ふくろう賞〉がいよいよ決定

映画館のない地域にも大きなスクリーンで映画を届けたい――そんな思いから始まった北海道国際映画祭。2026年のテーマは「こうして世界は揺れ動く。」で、世界72か国から1,106本の応募が集まり、短編・中編・長編の各部門で国際コンペティションを展開してきました。ニセコ・倶知安町会場、オホーツク・網走会場を経て、いよいよ最終章となる十勝・鹿追会場が3月27日(金)に開幕します。鹿追では国際長編コンペティション最優秀賞〈金ふくろう賞〉がいよいよ決定。審査委員長は帯広出身の映画監督・熊切和嘉さんが務めます。

ニセコ、網走を経て鹿追へ 受賞作がつないできた映画祭

国際中編コンペティションは2月13日(金)~15日(日)までニセコ・倶知安町会場で開催され、最優秀賞にはハンガリー作品『マレンキィー 小さな仕事と呼ばれて』が選ばれました。1945年5月、戦争終結の混乱の中で、フィレンツが婚約を祝う兄の代わりに密かに強制労働へ向かう物語です。悲しくも美しい映像の連鎖が深い感銘を与え、史実を広めて後世に残したいという監督の熱意が伝わった点が挙げられています。

国際短編コンペティションは2月27日(金)から3月1日(日)までオホーツク・網走会場で行われ、フィリピン作品『パパと僕の特別な一日』が最優秀賞に輝きました。三輪タクシー運転手として懸命に働く父のために、息子がこっそり貯金をする姿を描いた作品で、心揺さぶるストーリーと軽妙な演出、子役の健気な演技に加え、子どもの貧困や性的多様性といった社会問題にも真正面から向き合った点が評価され、審査員全員一致でグランプリに選ばれています。鹿追会場では、この流れを受けて長編部門の最優秀賞が決まります。

審査委員長は帯広出身の熊切和嘉監督

鹿追会場の大きな見どころのひとつが、国際長編コンペティションの審査委員長を務める熊切和嘉監督の来場です。熊切監督は大阪芸術大学卒業。卒業制作『鬼畜大宴会』がベルリン国際映画祭に招待され、劇場公開もされました。2014年には『私の男』がモスクワ国際映画祭でグランプリと最優秀男優賞を受賞。2023年の『658km、陽子の旅』は上海国際映画祭でグランプリ、脚本賞、女優賞の三冠を獲得し、2024年には『ゼンブ・オブ・トーキョー』が公開、2026年2月には『神社 悪魔のささやき』が公開されています。 

会場では熊切監督の『海炭市叙景』も特別上映されます。不遇の作家・佐藤泰志の連作小説を原作に、函館でのロケを基に描かれた架空の地方都市「海炭市」を舞台とする作品で、地方都市に生きる人々の孤独と再生を繊細に映し出します。監督本人もゲストとして登場予定。

上映作品の魅力


(C)和ら美

鹿追会場では3日間で全22作品を上映。コンペティション作品に加え、藤嘉行監督による作品群も並び、日本、韓国、中国、香港、ブラジル、イギリス、ハンガリー、スペイン、オーストラリア、イタリアといった9か国・地域の映画が一堂に会します。今まさに世界で生まれている“揺れ動く時代の物語”を体感できる構成も、この会場の魅力。

藤嘉行監督作品の存在感も大きな柱です。前夜祭では『明日へ~戦争は罪悪である~』を上映。さらに『Lákura-追憶-』もラインナップされています。なかでも『おしゃべりな写真館』は、北海道・十勝平野北部の鹿追を舞台に、100年近い写真館をめぐって生きがいを失ったカメラマンと行き場をなくした少女、この世に未練を残した妻と父が織りなす再生の物語。藤監督と主演の中原丈雄さんがゲストとして登場予定で、映画祭と鹿追のつながりを象徴する1本になりそうです。

国際長編コンペティションでは、世界から応募された長編部門178作品の中から選ばれた5か国6作品を上映します。3月28日(土)は『ひみつきちのつくりかた』『Die Before You Die』『放課後の転校生』、3月29日(日)は『エーゲの海』『The Heart Cleaner』『安らぎの行方』を上映。『Die Before You Die』にはジアド・アバザさん、『The Heart Cleaner』にはキム・ギョンロク監督、『安らぎの行方』にはリビア・アントネッリさんがゲスト参加予定で、作品とつくり手の双方に触れられます。どの作品が最優秀賞〈金ふくろう賞〉を受賞するのか、期待が高まります。
このほか、2020年の熊本豪雨から半年後を舞台に、それぞれが失った「居場所」と向き合い始める人々を描く『囁きの河』には、大木一史監督、中原丈雄さん、山本潤子プロデューサーが来場予定。加えて、『馬橇の花嫁』や「HIFFセレクション YUBARI」、網走会場の短編コンペティションから世界の秀作アニメを紹介する「HIFFショートアニメ」も編成され、多彩な映画体験が鹿追に集まります。 

十勝が舞台の短編映画『馬橇の花嫁』

イベントスケジュール


(C)「明日へ―戦争は罪悪であるー」製作委員会

3月27日(金)

・18:30~ 前夜祭『明日へ~戦争は罪悪である~』
 ゲスト:藤嘉行監督
・18:30~ 「HIFFセレクション YUBARI」『真夜中のティーパーティー』
 ゲスト:長谷川千紗監督
・18:30~ 「HIFFセレクション YUBARI」『りりかの星』
 ゲスト:塩田時敏監督、長谷川千紗さん(出演)

3月28日(土)

・9:30~ オープニングイベント「白蛇姫物語」と「白蛇姫舞」
・11:00~ 国際長編コンペティション『ひみつきちのつくりかた』
・11:00~ 「HIFFショートアニメ」プログラムA
・13:00~ 『ソーゾク』
・14:15~ 国際長編コンペティション『Die Before You Die』
 ゲスト:ジアド・アバザさん
・15:30~ 『海炭市叙景』
 ゲスト:熊切和嘉監督
・16:30~ シンポジウム「十勝が映す未来~大地・食・人が作る“地域物語”と映画文化~」
・18:15~ 国際長編コンペティション『放課後の転校生』
・20:00~ CAFÉおしゃべりな写真館 懇親会
 
3月29日(日)

・10:00~ 国際長編コンペティション『エーゲの海』
・10:00~ 「HIFFショートアニメ」プログラムB
・11:30~ 『囁きの河』 
 ゲスト:大木一史監督、中原丈雄さん、山本潤子プロデューサー
・12:30~ 国際長編コンペティション『The Heart Cleaner』 
 ゲスト:キム・ギョンロク監督
・12:30~ 「HIFFセレクション YUBARI」『GO!GO!YUBARI』
・14:00~ 『おしゃべりな写真館』
 ゲスト:藤嘉行監督、中原丈雄さん
・14:30~ 国際長編コンペティション『安らぎの行方』
 ゲスト:リビア・アントネッリさん
・17:00~ 『馬橇の花嫁』
・17:00~ 『Lákura-追憶-』
 ゲスト:藤嘉行監督

■会場
鹿追町民ホール(北海道河東郡鹿追町東町2)

(C)MISTY Film

ニセコ、網走を経て鹿追へ 受賞作がつないできた映画祭

国際中編コンペティションは2月13日(金)~15日(日)までニセコ・倶知安町会場で開催され、最優秀賞にはハンガリー作品『マレンキィー 小さな仕事と呼ばれて』が選ばれました。1945年5月、戦争終結の混乱の中で、フィレンツが婚約を祝う兄の代わりに密かに強制労働へ向かう物語です。悲しくも美しい映像の連鎖が深い感銘を与え、史実を広めて後世に残したいという監督の熱意が伝わった点が挙げられています。

国際短編コンペティションは2月27日(金)から3月1日(日)までオホーツク・網走会場で行われ、フィリピン作品『パパと僕の特別な一日』が最優秀賞に輝きました。三輪タクシー運転手として懸命に働く父のために、息子がこっそり貯金をする姿を描いた作品で、心揺さぶるストーリーと軽妙な演出、子役の健気な演技に加え、子どもの貧困や性的多様性といった社会問題にも真正面から向き合った点が評価され、審査員全員一致でグランプリに選ばれています。鹿追会場では、この流れを受けて長編部門の最優秀賞が決まります。

審査委員長は帯広出身の熊切和嘉監督

鹿追会場の大きな見どころのひとつが、国際長編コンペティションの審査委員長を務める熊切和嘉監督の来場です。熊切監督は大阪芸術大学卒業。卒業制作『鬼畜大宴会』がベルリン国際映画祭に招待され、劇場公開もされました。2014年には『私の男』がモスクワ国際映画祭でグランプリと最優秀男優賞を受賞。2023年の『658km、陽子の旅』は上海国際映画祭でグランプリ、脚本賞、女優賞の三冠を獲得し、2024年には『ゼンブ・オブ・トーキョー』が公開、2026年2月には『神社 悪魔のささやき』が公開されています。 

会場では熊切監督の『海炭市叙景』も特別上映されます。不遇の作家・佐藤泰志の連作小説を原作に、函館でのロケを基に描かれた架空の地方都市「海炭市」を舞台とする作品で、地方都市に生きる人々の孤独と再生を繊細に映し出します。監督本人もゲストとして登場予定。

上映作品の魅力


(C)和ら美

鹿追会場では3日間で全22作品を上映。コンペティション作品に加え、藤嘉行監督による作品群も並び、日本、韓国、中国、香港、ブラジル、イギリス、ハンガリー、スペイン、オーストラリア、イタリアといった9か国・地域の映画が一堂に会します。今まさに世界で生まれている“揺れ動く時代の物語”を体感できる構成も、この会場の魅力。

藤嘉行監督作品の存在感も大きな柱です。前夜祭では『明日へ~戦争は罪悪である~』を上映。さらに『Lákura-追憶-』もラインナップされています。なかでも『おしゃべりな写真館』は、北海道・十勝平野北部の鹿追を舞台に、100年近い写真館をめぐって生きがいを失ったカメラマンと行き場をなくした少女、この世に未練を残した妻と父が織りなす再生の物語。藤監督と主演の中原丈雄さんがゲストとして登場予定で、映画祭と鹿追のつながりを象徴する1本になりそうです。

国際長編コンペティションでは、世界から応募された長編部門178作品の中から選ばれた5か国6作品を上映します。3月28日(土)は『ひみつきちのつくりかた』『Die Before You Die』『放課後の転校生』、3月29日(日)は『エーゲの海』『The Heart Cleaner』『安らぎの行方』を上映。『Die Before You Die』にはジアド・アバザさん、『The Heart Cleaner』にはキム・ギョンロク監督、『安らぎの行方』にはリビア・アントネッリさんがゲスト参加予定で、作品とつくり手の双方に触れられます。どの作品が最優秀賞〈金ふくろう賞〉を受賞するのか、期待が高まります。

十勝が舞台の短編映画『馬橇の花嫁』

このほか、2020年の熊本豪雨から半年後を舞台に、それぞれが失った「居場所」と向き合い始める人々を描く『囁きの河』には、大木一史監督、中原丈雄さん、山本潤子プロデューサーが来場予定。加えて、『馬橇の花嫁』や「HIFFセレクション YUBARI」、網走会場の短編コンペティションから世界の秀作アニメを紹介する「HIFFショートアニメ」も編成され、多彩な映画体験が鹿追に集まります。 

イベントスケジュール


(C)「明日へ―戦争は罪悪であるー」製作委員会

3月27日(金)

・18:30~ 前夜祭『明日へ~戦争は罪悪である~』
 ゲスト:藤嘉行監督
・18:30~ 「HIFFセレクション YUBARI」『真夜中のティーパーティー』
 ゲスト:長谷川千紗監督
・18:30~ 「HIFFセレクション YUBARI」『りりかの星』
 ゲスト:塩田時敏監督、長谷川千紗さん(出演)

3月28日(土)

・9:30~ オープニングイベント「白蛇姫物語」と「白蛇姫舞」
・11:00~ 国際長編コンペティション『ひみつきちのつくりかた』
・11:00~ 「HIFFショートアニメ」プログラムA
・13:00~ 『ソーゾク』
・14:15~ 国際長編コンペティション『Die Before You Die』
 ゲスト:ジアド・アバザさん
・15:30~ 『海炭市叙景』
 ゲスト:熊切和嘉監督
・16:30~ シンポジウム「十勝が映す未来~大地・食・人が作る“地域物語”と映画文化~」
・18:15~ 国際長編コンペティション『放課後の転校生』
・20:00~ CAFÉおしゃべりな写真館 懇親会
 

(C)MISTY Film

3月29日(日)

・10:00~ 国際長編コンペティション『エーゲの海』
・10:00~ 「HIFFショートアニメ」プログラムB
・11:30~ 『囁きの河』 
 ゲスト:大木一史監督、中原丈雄さん、山本潤子プロデューサー
・12:30~ 国際長編コンペティション『The Heart Cleaner』 
 ゲスト:キム・ギョンロク監督
・12:30~ 「HIFFセレクション YUBARI」『GO!GO!YUBARI』
・14:00~ 『おしゃべりな写真館』
 ゲスト:藤嘉行監督、中原丈雄さん
・14:30~ 国際長編コンペティション『安らぎの行方』
 ゲスト:リビア・アントネッリさん
・17:00~ 『馬橇の花嫁』
・17:00~ 『Lákura-追憶-』
 ゲスト:藤嘉行監督

■会場
鹿追町民ホール(北海道河東郡鹿追町東町2)

休日のスケジュールが決まっていない方、何を見ようか迷っている方など"ライトな映画ファン"に対して、映画館に出かけて、映画を楽しむことをおすすめします。SASARU movie編集部では、話題性の高い最新映画を中心にその情報や魅力を継続的に発信していきます。

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