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2026.10.6

『映画 ひつじのショーン かぼちゃ畑の怪物!』レビュー|セリフなしでも心が動く理由。手作りの映像に宿る「仲間」の物語

2026年10月23日(金)公開の『映画 ひつじのショーン かぼちゃ畑の怪物!』は、アードマン・アニメーションズが贈る「ひつじのショーン」長編映画第3弾です。今回はハロウィンを舞台に、シリーズに“ホラー”のテイストを加えた冒険が繰り広げられます。

シリーズらしい笑いとストップモーションの魅力を残しながら、“仲間を頼ること”を描いた温かな一本です。ハロウィンを楽しみにしていたショーンたちでしたが、大切に育てていたかぼちゃが台無しに。落ち込むティミーを見たショーンは、古い科学の本をヒントに、かぼちゃを急成長させる薬を作ろうとします。ところが、その後、牧場主が行方不明となり、街には謎のもじゃもじゃの怪物まで出現。

かわいらしいキャラクター、ハロウィンらしいドキドキ感、「ひつじのショーン」らしいユーモア。 その楽しさの奥には、アードマンならではの手作りの映像と、ショーン自身の小さな成長が息づいています。

1週間でわずか約8秒。画面から伝わる“手作り”の温度

『映画 ひつじのショーン かぼちゃ畑の怪物!』レビュー_ひつじたち

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『ひつじのショーン』を観ていると、ショーンたちは当たり前のように走り、振り返り、驚き、互いに目を合わせます。けれど、その動きはすべて、人形を少しずつ動かしながら1コマずつ撮影したもの。本作ではアニメーターひとりが1週間に撮影する映像は約8秒。30人のアニメーターが47のセットを使い、1,261ショットを撮影しています。283体のパペットや90着の衣装も用意されました。
そう知ってからスクリーンを見ると、何気ない数秒の見え方まで変わってきます。羊毛のわずかな揺れ、粘土の質感、使い込まれたセットの傷、光の微妙な変化。デジタルで描かれた映像とはまた違い、そこには撮影時に実際に存在していた“物”の質感があります。少しずつ動かされたパペットが、スクリーンの中ではまるで自分の意思で動いているように見える。その不思議さと温もりこそ、ストップモーションならではの魅力です。

セリフがないからこそ、表情や「間」を見てしまう

「ひつじのショーン」の大きな特徴は、セリフに頼らず物語を進めることです。それでも、ショーンが得意げなのか、焦っているのか、何かを思いついたのかはすぐに分かります。目線や首の傾き、動き出すまでの一瞬の間、相手を見たときのリアクション。言葉の代わりに、身体そのものが感情を語っています。

実際に観ていると、言葉がないことは情報の少なさにはつながりません。むしろ「今、ショーンは何を考えているのだろう」と、自然に顔や動きを追うようになります。説明されるのではなく、自分で感情を読み取る。その余白があるからこそ、子どもにも大人にも届き、言葉や国を越えて愛されてきた作品だと感じます。
『映画 ひつじのショーン かぼちゃ畑の怪物!』レビュー_ショーン&ビッツァー&ティミー

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ハロウィンと名作ホラーを、ショーン流の笑いに

『映画 ひつじのショーン かぼちゃ畑の怪物!』レビュー_ションと仲間たち

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本作で新鮮なのが、シリーズの世界にハロウィンとホラー映画の雰囲気を持ち込んだことです。不気味な森、古びた風車、怪しげな実験室、霧に包まれた港。『フランケンシュタイン』や『狼男』などのクラシックなモンスター映画やハマー・ホラー、1980~90年代のホラーやアドベンチャー映画から着想を得ながら、その要素を「ひつじのショーン」らしい笑いへと変換しています。怖さは小さな子どもでも楽しめる範囲に抑えられ、言葉を使わずに畳みかけるドタバタや、キャラクター同士のすれ違い、思わず笑ってしまう“間”も健在です。
一方、大人の映画ファンには、映像表現そのものを楽しむ面白さがあります。怪物の目線で映し出す(Beast POV)では、カメラの前にオレンジ色の毛を配置し、それを1コマずつ動かして撮影。怪物の視界までストップモーションの発想で作り上げています。さらに、マッドサイエンティストとなったショーンの周囲にはネオンピンクやグリーンが現れ、いつもの穏やかな牧場との色彩の違いが、ショーンが少しずつ暴走していく様子とも重なります。

子どもはハロウィンの大冒険として、大人は映画へのオマージュや映像表現を探しながら。ホラー映画の文法まで遊びに変えてしまうところに、本作らしい楽しさがあります。
『映画 ひつじのショーン かぼちゃ畑の怪物!』レビュー_牧場主

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「自分で何とかする」ショーンが気づく、仲間を頼ること

『映画 ひつじのショーン かぼちゃ畑の怪物!』レビュー_獣医&ひつじ

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今回のショーンは、いつも以上に張り切っています。ティミーを喜ばせたい。起きてしまった問題も自分が解決したい。群れのリーダーとして頼られてきたからこそ、「自分なら何とかできる」と突っ走ってしまいます。その姿は頼もしい反面、少し危うくもあります。問題を解決したいという気持ちが強くなるほど、周囲を見る余裕がなくなっていく。いつも仲間たちと一緒に行動しているショーンが、今回は知らず知らずのうちにひとりで答えを出そうとしています。「自分で何とかしよう」とすることは、決して悪いことではありません。でも、自分にできないことを認め、誰かに頼ることも同じくらい大切です。
そして、このテーマを考えていると、映画そのものの作り方が重なって見えてきます。
ひとりのアニメーターが1週間かけて作れる映像は、ほんの数秒。アニメーターだけではなく、パペット制作、美術、撮影、衣装など、多くのスタッフの仕事が積み重なって81分の映画になります。ひとりでは作れないストップモーション映画が、「ひとりでは解決できない」ショーンの物語を描いている。この重なりが、本作を単なるハロウィンのドタバタ劇では終わらせません。ショーンは完璧なヒーローではなく、良かれと思って突っ走り、失敗もします。それでも誰かのために一生懸命になり、間違えたら何とかしようとする。その不器用さも含めて、長く愛されてきたキャラクターなのだと感じます。人の手で作られているから感じる温もり。言葉を使わないからこそ伝わる感情。そして、仲間と力を合わせること。『映画 ひつじのショーン かぼちゃ畑の怪物!』は、ハロウィンの大騒動を笑って楽しみながら、最後にはショーンたちの関係に心が温かくなる作品です。
『映画 ひつじのショーン かぼちゃ畑の怪物!』レビュー_怪物

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『映画 ひつじのショーン かぼちゃ畑の怪物!』基本情報

『映画 ひつじのショーン かぼちゃ畑の怪物!』レビュー_ポスター

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■公開日
2026年10月23日(金)

■北海道の上映劇場
札幌シネマフロンティア、ローソン・ユナイテッドシネマ札幌、イオンシネマ江別、イオンシネマ小樽、イオンシネマ旭川駅前、イオンシネマ北見、イオンシネマ釧路

■監督
スティーブ・コックス、マシュー・ウォーカー

■脚本
マーク・バートン、ジャイルズ・ピルブロウ

■配給
松竹

■公式サイト
movies.shochiku.co.jp/shaun-kabocha/

1週間でわずか約8秒。画面から伝わる“手作り”の温度

『映画 ひつじのショーン かぼちゃ畑の怪物!』レビュー_ひつじたち

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『ひつじのショーン』を観ていると、ショーンたちは当たり前のように走り、振り返り、驚き、互いに目を合わせます。けれど、その動きはすべて、人形を少しずつ動かしながら1コマずつ撮影したもの。本作ではアニメーターひとりが1週間に撮影する映像は約8秒。30人のアニメーターが47のセットを使い、1,261ショットを撮影しています。283体のパペットや90着の衣装も用意されました。
そう知ってからスクリーンを見ると、何気ない数秒の見え方まで変わってきます。羊毛のわずかな揺れ、粘土の質感、使い込まれたセットの傷、光の微妙な変化。デジタルで描かれた映像とはまた違い、そこには撮影時に実際に存在していた“物”の質感があります。少しずつ動かされたパペットが、スクリーンの中ではまるで自分の意思で動いているように見える。その不思議さと温もりこそ、ストップモーションならではの魅力です。

セリフがないからこそ、表情や「間」を見てしまう

『映画 ひつじのショーン かぼちゃ畑の怪物!』レビュー_ショーン&ビッツァー&ティミー

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「ひつじのショーン」の大きな特徴は、セリフに頼らず物語を進めることです。それでも、ショーンが得意げなのか、焦っているのか、何かを思いついたのかはすぐに分かります。目線や首の傾き、動き出すまでの一瞬の間、相手を見たときのリアクション。言葉の代わりに、身体そのものが感情を語っています。

実際に観ていると、言葉がないことは情報の少なさにはつながりません。むしろ「今、ショーンは何を考えているのだろう」と、自然に顔や動きを追うようになります。説明されるのではなく、自分で感情を読み取る。その余白があるからこそ、子どもにも大人にも届き、言葉や国を越えて愛されてきた作品だと感じます。

ハロウィンと名作ホラーを、ショーン流の笑いに

『映画 ひつじのショーン かぼちゃ畑の怪物!』レビュー_ションと仲間たち

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本作で新鮮なのが、シリーズの世界にハロウィンとホラー映画の雰囲気を持ち込んだことです。不気味な森、古びた風車、怪しげな実験室、霧に包まれた港。『フランケンシュタイン』や『狼男』などのクラシックなモンスター映画やハマー・ホラー、1980~90年代のホラーやアドベンチャー映画から着想を得ながら、その要素を「ひつじのショーン」らしい笑いへと変換しています。怖さは小さな子どもでも楽しめる範囲に抑えられ、言葉を使わずに畳みかけるドタバタや、キャラクター同士のすれ違い、思わず笑ってしまう“間”も健在です。
『映画 ひつじのショーン かぼちゃ畑の怪物!』レビュー_牧場主

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一方、大人の映画ファンには、映像表現そのものを楽しむ面白さがあります。怪物の目線で映し出す(Beast POV)では、カメラの前にオレンジ色の毛を配置し、それを1コマずつ動かして撮影。怪物の視界までストップモーションの発想で作り上げています。さらに、マッドサイエンティストとなったショーンの周囲にはネオンピンクやグリーンが現れ、いつもの穏やかな牧場との色彩の違いが、ショーンが少しずつ暴走していく様子とも重なります。

子どもはハロウィンの大冒険として、大人は映画へのオマージュや映像表現を探しながら。ホラー映画の文法まで遊びに変えてしまうところに、本作らしい楽しさがあります。

「自分で何とかする」ショーンが気づく、仲間を頼ること

『映画 ひつじのショーン かぼちゃ畑の怪物!』レビュー_獣医&ひつじ

(C) 2026 / AARDMAN ANIMATIONS Ltd - All Rights Reserved

今回のショーンは、いつも以上に張り切っています。ティミーを喜ばせたい。起きてしまった問題も自分が解決したい。群れのリーダーとして頼られてきたからこそ、「自分なら何とかできる」と突っ走ってしまいます。その姿は頼もしい反面、少し危うくもあります。問題を解決したいという気持ちが強くなるほど、周囲を見る余裕がなくなっていく。いつも仲間たちと一緒に行動しているショーンが、今回は知らず知らずのうちにひとりで答えを出そうとしています。「自分で何とかしよう」とすることは、決して悪いことではありません。でも、自分にできないことを認め、誰かに頼ることも同じくらい大切です。
そして、このテーマを考えていると、映画そのものの作り方が重なって見えてきます。
『映画 ひつじのショーン かぼちゃ畑の怪物!』レビュー_怪物

(C) 2026 / AARDMAN ANIMATIONS Ltd - All Rights Reserved

ひとりのアニメーターが1週間かけて作れる映像は、ほんの数秒。アニメーターだけではなく、パペット制作、美術、撮影、衣装など、多くのスタッフの仕事が積み重なって81分の映画になります。ひとりでは作れないストップモーション映画が、「ひとりでは解決できない」ショーンの物語を描いている。この重なりが、本作を単なるハロウィンのドタバタ劇では終わらせません。ショーンは完璧なヒーローではなく、良かれと思って突っ走り、失敗もします。それでも誰かのために一生懸命になり、間違えたら何とかしようとする。その不器用さも含めて、長く愛されてきたキャラクターなのだと感じます。人の手で作られているから感じる温もり。言葉を使わないからこそ伝わる感情。そして、仲間と力を合わせること。『映画 ひつじのショーン かぼちゃ畑の怪物!』は、ハロウィンの大騒動を笑って楽しみながら、最後にはショーンたちの関係に心が温かくなる作品です。

『映画 ひつじのショーン かぼちゃ畑の怪物!』基本情報

『映画 ひつじのショーン かぼちゃ畑の怪物!』レビュー_ポスター

(C) 2026 / AARDMAN ANIMATIONS Ltd - All Rights Reserved

■公開日
2026年10月23日(金)

■北海道の上映劇場
札幌シネマフロンティア、ローソン・ユナイテッドシネマ札幌、イオンシネマ江別、イオンシネマ小樽、イオンシネマ旭川駅前、イオンシネマ北見、イオンシネマ釧路

■監督
スティーブ・コックス、マシュー・ウォーカー

■脚本
マーク・バートン、ジャイルズ・ピルブロウ

■配給
松竹

■公式サイト
movies.shochiku.co.jp/shaun-kabocha/

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