信仰というテーマを深く掘り下げ、観客を知的でスリリングな世界へと誘う4月25日(金)公開の映画『異端者の家』。A24が仕掛ける異端の脱出サイコ・スリラーで、予測のつかない展開が次々と繰り広げられる本作は、昨年の北米公開時には初登場2位を獲得し、世界興行収入では同スタジオの人気作『ミッドサマー』(20)を超える驚異的な成果を収めました。
監督・脚本を務めるのは、『クワイエット・プレイス』(18)の脚本で注目を集めたスコット・ベックとブライアン・ウッズ。彼らの描く知的で圧迫感のある恐怖は、ホラー映画の枠を超えた新たな形を提示しています。信仰を揺さぶられ、選択を迫られた2人の宣教師がどのような真実に直面するのか、本作の魅力をレビューします。
『異端者の家』の気になるストーリー

(C)2024 BLUEBERRY PIE LLC. All Rights Reserved.
ところが、話を始めるとリードはあらゆる宗教に詳しく「どの宗教も真実とは思えない」と持論を語りはじめます。次第に空気は不穏になり、2人はその場を離れようとしますが、玄関には鍵がかかり、携帯の電波も通じません。
「教会から呼び出された」と嘘をついて帰ろうとする2人に対し、リードは家の奥にある2つの扉のどちらかから出るように促します。それは、彼女たちの“信仰心”を試す扉でした。
その先で待ち受けていたのは、逃げ場のない恐怖と、信じる心を揺るがす“真相”だった...。
ごく普通の家が本性を表す不気味な『異端者の家』
そこに絡み合うのが、リードの知的で論理的な語り。言葉のひとつひとつがこの家の空気をさらに歪め、空間そのものが“思想”に感染していくような怖さが全編を覆っていきます。

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本作は、日常に潜む狂気が徐々に牙を剥き出し、信仰という名の拠り所を根こそぎ揺さぶり、精神の監獄へと変貌していく様を克明に描き出しています。ぜひ、この予測不能な恐怖の迷宮に足を踏み入れ、出口のない悪夢のような時間を体験してみてください。
“信じる”自分が崩されていく..精神的な恐怖の系譜
特にパクストンの行動は印象的でした。自分で選択したというよりも疑問に思うことなく信仰しています。自分自身が強く信じている宗教ではない分、リードに問いかけられても、パクストンの返答は表層的で、質問の意図を深く理解していない様子が伝わります。それが、彼女の世間知らずな一面を際立たせていました。“信じる”という行為が他者から与えられたものである時、その脆さと危うさは、観る者に深い不安と恐れを刻み込みます。

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ヒュー・グラントの新境地!優しさの裏に隠された狂気

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これまでの優しい笑顔の裏に潜む“静かな狂気”を巧みに表現し、物語の緊張感を一気に高めています。彼の語り口は一見穏やかで紳士的。しかし、次第に言葉の端々に違和感や執着がにじみ出て、観客をじわじわと不安にさせます。
その“静けさゆえの不穏”は、これまでの彼のイメージを鮮やかに裏切り、観る者の記憶に深く刻まれるはず。
ヒュー・グラントの代表作を知っている方にこそ、本作の彼の演技をぜひ見てほしいと思わせるほど、挑戦的で鮮烈な存在感を放っています。
静かに精神が削られる怖さ、"正しさ"に追いつめられる恐怖
筆者は本作を通じて、“正しさ”とは誰のためのものかということを考えさせられました。“こうあるべき”という価値観は人それぞれ異なり、自分の“正義”が他人を追い詰めることもあります。
あなたが信じるものは、誰かの“正しさ”とはどう違うのか?この映画は、そんな根源的な疑問を、静かに突きつけてきます。
“正しさ”とは一体何か?その答えをぜひ劇場で確かめてください。

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『異端者の家』の基本情報

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■公開日:4月25日(金)
■監督/脚本:スコット・ベック、 ブライアン・ウッズ
■キャスト:ヒュー・グラント、ソフィー・サッチャー、クロエ・イースト
■配給:ハピネットファントム・スタジオ
■公式HP:https://happinet-phantom.com/heretic/
『異端者の家』の気になるストーリー

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ところが、話を始めるとリードはあらゆる宗教に詳しく「どの宗教も真実とは思えない」と持論を語りはじめます。次第に空気は不穏になり、2人はその場を離れようとしますが、玄関には鍵がかかり、携帯の電波も通じません。
「教会から呼び出された」と嘘をついて帰ろうとする2人に対し、リードは家の奥にある2つの扉のどちらかから出るように促します。それは、彼女たちの“信仰心”を試す扉でした。
その先で待ち受けていたのは、逃げ場のない恐怖と、信じる心を揺るがす“真相”だった...。
ごく普通の家が本性を表す不気味な『異端者の家』

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そこに絡み合うのが、リードの知的で論理的な語り。言葉のひとつひとつがこの家の空気をさらに歪め、空間そのものが“思想”に感染していくような怖さが全編を覆っていきます。

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本作は、日常に潜む狂気が徐々に牙を剥き出し、信仰という名の拠り所を根こそぎ揺さぶり、精神の監獄へと変貌していく様を克明に描き出しています。ぜひ、この予測不能な恐怖の迷宮に足を踏み入れ、出口のない悪夢のような時間を体験してみてください。
“信じる”自分が崩されていく..精神的な恐怖の系譜

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特にパクストンの行動は印象的でした。自分で選択したというよりも疑問に思うことなく信仰しています。自分自身が強く信じている宗教ではない分、リードに問いかけられても、パクストンの返答は表層的で、質問の意図を深く理解していない様子が伝わります。それが、彼女の世間知らずな一面を際立たせていました。“信じる”という行為が他者から与えられたものである時、その脆さと危うさは、観る者に深い不安と恐れを刻み込みます。
ヒュー・グラントの新境地!優しさの裏に隠された狂気

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これまでの優しい笑顔の裏に潜む“静かな狂気”を巧みに表現し、物語の緊張感を一気に高めています。彼の語り口は一見穏やかで紳士的。しかし、次第に言葉の端々に違和感や執着がにじみ出て、観客をじわじわと不安にさせます。
その“静けさゆえの不穏”は、これまでの彼のイメージを鮮やかに裏切り、観る者の記憶に深く刻まれるはず。
ヒュー・グラントの代表作を知っている方にこそ、本作の彼の演技をぜひ見てほしいと思わせるほど、挑戦的で鮮烈な存在感を放っています。
静かに精神が削られる怖さ、"正しさ"に追いつめられる恐怖

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筆者は本作を通じて、“正しさ”とは誰のためのものかということを考えさせられました。“こうあるべき”という価値観は人それぞれ異なり、自分の“正義”が他人を追い詰めることもあります。
あなたが信じるものは、誰かの“正しさ”とはどう違うのか?この映画は、そんな根源的な疑問を、静かに突きつけてきます。
“正しさ”とは一体何か?その答えをぜひ劇場で確かめてください。
『異端者の家』の基本情報

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■公開日:4月25日(金)
■監督/脚本:スコット・ベック、 ブライアン・ウッズ
■キャスト:ヒュー・グラント、ソフィー・サッチャー、クロエ・イースト
■配給:ハピネットファントム・スタジオ
■公式HP:https://happinet-phantom.com/heretic/
早川真澄
ライター・編集者
北海道の情報誌の編集者として勤務し映画や観光、人材など地域密着の幅広いジャンルの制作を手掛ける。現在は編集プロダクションを運営し雑誌、webなど媒体を問わず企画制作を行っています。