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2025.7.15

入国できないカップル。強制送還か?拘束か?渦巻く疑念、揺らぐ信頼。『入国審査』が描く緊迫の77分間

心躍る新天地への移住。あとは空港で「入国審査」を通過するだけ──そう信じていたカップルが、予測不能な疑念の渦に巻き込まれていく。手に汗握る77分のサスペンス『入国審査』が、8月1日(金)より公開されます。
監督・脚本を務めたアレハンドロ・ロハスとフアン・セバスチャン・バスケスにとっては初の長編作品。ロハス監督が故郷ベネズエラからスペインへ移住した経験が着想の源になっています。
撮影期間はわずか17日間、制作費65万ドルという低予算ながら、世界の映画祭で最優秀作品賞や観客賞を受賞。主演には、登場人物と同じルーツを持つアルベルト・アンマンとブルーナ・クッシを迎え、リアリティあふれる緊張感を描き出します。
公開に先立ちSASARU movie編集部が、その見どころをレビューします。

『入国審査』の気になるストーリー


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バルセロナからアメリカへ移住するため、NYの空港に降り立った1組のカップル。グリーンカードの抽選で移民ビザに当選したエレナ(ブルーナ・クッシ)と、事実婚のパートナーであるディエゴ(アルベルト・アンマン)は移住先での生活に期待を膨らませながら入国審査を待っていました。必要な書類も揃え、憧れの新天地で暮らす準備は万全、だったはずが、審査によって状況は一転。パスポートを確認した職員に、訳も分からぬまま別室へ連れて行かれてしまいます。不安を募らせる2人を待ち受けていたのは、女性審査官・バスケス(ローラ・ゴメス)による問答無用の取り調べでした。書面で回答済みの質問が執拗に繰り返される中、ある“新情報”を元にした問いをきっかけに、エレナはディエゴに疑念を抱き始めます。さらに男性審査官のバレット(ベン・テンプル)が加わり、ディエゴとエレナ、それぞれの尋問が始まる──。

ただ入国したいだけなのに…苛烈なまでの尋問の目的とは?

ただ入国したいだけのはずだった2人は、思いもよらぬ事態に巻き込まれていきます。空港で別フロアに連れて行かれた彼らは、まず携帯電話の使用を禁じられ、飲食もできない待合室での待機を命じられます。

書類を整えて臨んだはずの審査は、まるで取り調べのように一変。携帯を取り上げられ、プライバシーを無視した検査と繰り返される同じ質問──小さなストレスの積み重ねが、2人の間にあった信頼すら揺るがせていきます。「これは尋問よ」と言い放つ審査官の冷徹な言葉が、ただの入国審査でないことを痛感させ、緊張感は高まるばかり。

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審査室では、極めてプライベートに踏み込んだ質問が矢継ぎ早に飛んできます。緩急をつけた尋問に翻弄され続けるディエゴとエレナの姿を観ていると、こちらまで緊張してしまうほど。

この映画で描かれる尋問は、決してフィクションの中だけの話ではありません。 国籍や背景を理由に、人が“何者か”を証明し続けなければならない現実が、確かに存在しているのです。 たとえ書類が完璧でも、それだけでは足りない。入国の可否は、審査官が納得できる“物語”を語れるかどうかにかかっている──そんな理不尽が、彼らの前に立ちはだかります。

シンプルなストーリーラインが際立たせる、移民にまつわるあらゆる問題

ストーリーの本筋は非常にシンプル。1組のカップルが入国審査で別室に通され、強制的に二次審査を受ける――ただそれだけの展開です。しかしその中で、移民問題や国家の在り方、政策、そして人と人との信頼関係といった多様なテーマが、張り詰めた空気の中で浮かび上がっていきます。

舞台は2019年、トランプ政権下のアメリカ。メキシコ国境に壁の建設計画が進められ、移民に対する規制強化が進められていた時期です。大使館でのビザ面談を通過し、必要書類を揃えたにも関わらず、ディエゴとエレナは「国にとって正当な移民か」を問われ続けます。

理不尽な取り調べを前に、2人の間にひびが入り始めます。審査中に明かされるディエゴの過去は、彼らの関係性に深い影を落とし、単なる“嘘”や“裏切り”では語れない移民特有の葛藤を生み出します。国籍や立場を通して観ることで、この作品は深い人間ドラマへと変貌します。

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さらに、尋問を行うバスケス審査官自身も2人と同じバックグラウンドを持つことが示唆されます。マイノリティながら苛烈な権力を行使する側である彼女の存在は、この映画が問いかけるテーマの複雑さをより一層際立たせます。

本質的なたったひとつの問い、「なぜこの地に入国したいのか?」。スペイン在住時はそれほど気に留めていなかったディエゴとエレナの価値観の違いや、意識していなかったアイデンティティの核心までをも暴いていきます。

環境音が響く密室で繰り広げられる、息が詰まるほどスリリングな会話劇

本作では、BGMは冒頭とエンディングにしか使われていません。物語の大半は環境音だけで進行し、スクリーンに映るやり取りがより生々しく、「今まさに起きている出来事」のように迫ってきます。

密室の審査室で登場人物は基本的に座ったまま、限られた空間と動きだけで展開していきます。退屈に思える構成かもしれませんが、補修工事中の空港施設という舞台設定が効いており、セリフの緩急やカメラワークの巧みな切り替えによって、緊迫感あふれる映像に仕上がっています。特に登場人物の“目”の動きには注目です。視線の揺れや瞬きひとつで、感情の揺らぎがリアルに伝わってきます。

また本作では、登場人物たち自身が移民であること、そしてそのことによって揺らぐアイデンティティが、思いがけず浮き彫りになります。それは遠い世界の話ではなく、自分自身にも起こり得る現実として、観る者に突きつけられます。

エレナはディエゴへの疑念を乗り越えられるのか。そして2人は、入国できるのか、強制送還されるのか。たったひとつの答えが人生を大きく左右する緊迫の結末を、ぜひスクリーンで見届けてください。  

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『入国審査』の基本情報


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■公開日:8月1日(金)

■監督・脚本:アレハンドロ・ロハス、ファン・セバスチャン・バスケス

■プロデューサー:カルレス・トラス、カルロス・フアレス、ホセ・サパタ、セルジオ・アドリア、アルバ・ソトラ

■エグゼクティブプロデューサー:ラケル・ぺレア、イリス・マルティン=ぺラルタ

■撮影:ファン・セバスチャン・バスケス

■美術監督:セルソ・デ・ガルシア

■編集:エマニュエル・ティツィアーニ

■音響:ジョルディ・シルビアン、ハビ・サウセド
 
■キャスト
ディエゴ:アルベルト・アンマン
エレナ:ブルーナ・クッシ
バレット審査官:ベン・テンプル
バスケス審査官:ローラ・ゴメス

『入国審査』の気になるストーリー


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バルセロナからアメリカへ移住するため、NYの空港に降り立った1組のカップル。グリーンカードの抽選で移民ビザに当選したエレナ(ブルーナ・クッシ)と、事実婚のパートナーであるディエゴ(アルベルト・アンマン)は移住先での生活に期待を膨らませながら入国審査を待っていました。必要な書類も揃え、憧れの新天地で暮らす準備は万全、だったはずが、審査によって状況は一転。パスポートを確認した職員に、訳も分からぬまま別室へ連れて行かれてしまいます。不安を募らせる2人を待ち受けていたのは、女性審査官・バスケス(ローラ・ゴメス)による問答無用の取り調べでした。書面で回答済みの質問が執拗に繰り返される中、ある“新情報”を元にした問いをきっかけに、エレナはディエゴに疑念を抱き始めます。さらに男性審査官のバレット(ベン・テンプル)が加わり、ディエゴとエレナ、それぞれの尋問が始まる──。

ただ入国したいだけなのに…苛烈なまでの尋問の目的とは?


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ただ入国したいだけのはずだった2人は、思いもよらぬ事態に巻き込まれていきます。空港で別フロアに連れて行かれた彼らは、まず携帯電話の使用を禁じられ、飲食もできない待合室での待機を命じられます。

書類を整えて臨んだはずの審査は、まるで取り調べのように一変。携帯を取り上げられ、プライバシーを無視した検査と繰り返される同じ質問──小さなストレスの積み重ねが、2人の間にあった信頼すら揺るがせていきます。「これは尋問よ」と言い放つ審査官の冷徹な言葉が、ただの入国審査でないことを痛感させ、緊張感は高まるばかり。

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審査室では、極めてプライベートに踏み込んだ質問が矢継ぎ早に飛んできます。緩急をつけた尋問に翻弄され続けるディエゴとエレナの姿を観ていると、こちらまで緊張してしまうほど。

この映画で描かれる尋問は、決してフィクションの中だけの話ではありません。 国籍や背景を理由に、人が“何者か”を証明し続けなければならない現実が、確かに存在しているのです。 たとえ書類が完璧でも、それだけでは足りない。入国の可否は、審査官が納得できる“物語”を語れるかどうかにかかっている──そんな理不尽が、彼らの前に立ちはだかります。

シンプルなストーリーラインが際立たせる、移民にまつわるあらゆる問題


(C)2022 ZABRISKIE FILMS SL, BASQUE FILM SERVICES SL, SYGNATIA SL, UPON ENTRY AIE

ストーリーの本筋は非常にシンプル。1組のカップルが入国審査で別室に通され、強制的に二次審査を受ける――ただそれだけの展開です。しかしその中で、移民問題や国家の在り方、政策、そして人と人との信頼関係といった多様なテーマが、張り詰めた空気の中で浮かび上がっていきます。

舞台は2019年、トランプ政権下のアメリカ。メキシコ国境に壁の建設計画が進められ、移民に対する規制強化が進められていた時期です。大使館でのビザ面談を通過し、必要書類を揃えたにも関わらず、ディエゴとエレナは「国にとって正当な移民か」を問われ続けます。

理不尽な取り調べを前に、2人の間にひびが入り始めます。審査中に明かされるディエゴの過去は、彼らの関係性に深い影を落とし、単なる“嘘”や“裏切り”では語れない移民特有の葛藤を生み出します。国籍や立場を通して観ることで、この作品は深い人間ドラマへと変貌します。

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さらに、尋問を行うバスケス審査官自身も2人と同じバックグラウンドを持つことが示唆されます。マイノリティながら苛烈な権力を行使する側である彼女の存在は、この映画が問いかけるテーマの複雑さをより一層際立たせます。

本質的なたったひとつの問い、「なぜこの地に入国したいのか?」。スペイン在住時はそれほど気に留めていなかったディエゴとエレナの価値観の違いや、意識していなかったアイデンティティの核心までをも暴いていきます。

環境音が響く密室で繰り広げられる、息が詰まるほどスリリングな会話劇


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本作では、BGMは冒頭とエンディングにしか使われていません。物語の大半は環境音だけで進行し、スクリーンに映るやり取りがより生々しく、「今まさに起きている出来事」のように迫ってきます。

密室の審査室で登場人物は基本的に座ったまま、限られた空間と動きだけで展開していきます。退屈に思える構成かもしれませんが、補修工事中の空港施設という舞台設定が効いており、セリフの緩急やカメラワークの巧みな切り替えによって、緊迫感あふれる映像に仕上がっています。特に登場人物の“目”の動きには注目です。視線の揺れや瞬きひとつで、感情の揺らぎがリアルに伝わってきます。

また本作では、登場人物たち自身が移民であること、そしてそのことによって揺らぐアイデンティティが、思いがけず浮き彫りになります。それは遠い世界の話ではなく、自分自身にも起こり得る現実として、観る者に突きつけられます。

エレナはディエゴへの疑念を乗り越えられるのか。そして2人は、入国できるのか、強制送還されるのか。たったひとつの答えが人生を大きく左右する緊迫の結末を、ぜひスクリーンで見届けてください。  

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■公開日:8月1日(金)

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