2025.10.31

確実に“面白い”映画『爆弾』。山田裕貴さん、佐藤二朗さん、伊藤沙莉さんインタビュー

東京を震撼させた連続爆破事件。酒に酔って傷害事件で捕まった謎の中年男・スズキタゴサクの予言”をきっかけに、人々が混乱の渦へと巻き込まれていきます。スズキの言葉や仕草のひとつ1つが、事件の真相を解く鍵となる——。彼と警察の間で繰り広げられる緊迫の“謎解きゲーム”から、誰も目が離せません。
スズキタゴサクを演じるのは、実力派俳優の佐藤二朗さん。対峙する刑事・類家を山田裕貴さん、交番勤務の巡査・倖田を伊藤沙莉さんが演じます。豪華キャストが集結した映画『爆弾』の魅力をUHBアナウンサーの柴田平美が3人に伺いました!

山田裕貴さん、佐藤二朗さん、伊藤沙莉さんインタビュー


(C)呉勝浩/講談社 (C)2025 映画『爆弾』製作委員会

―――初めて台本を読んだときの感想から教えてください。
 
山田:
原作があまりにも面白いので、三部作に分けてもよいのではと思うほどの内容でした。それくらい原作を読んだ際、作品の魅力を削ぎ落としたくないと感じましたし、登場人物それぞれの個性や物語の面白さを損なわずに表現したいという思いがありました。今回は2時間17分という限られた時間の中で、どれくらい濃密な『爆弾』を届けられるのかを考えながら台本を読み進めました。また、類家というキャラクターを演じるうえで、自分に務まるのかという不安も感じていました。
 
佐藤:原作がある意味“暴力的に面白い”作品なので、正直、その魅力を損なってはならないという大きなプレッシャーを感じていました。裕貴が言った通り、原作の面白さをそのまま届けることが重要だと考えていました。脚本を読むと、自分のセリフ量の多さに気づき、「これほど喋る役の台詞を本当に覚えられるのか」と不安になりました。20年以上俳優をやっていて、そのようなことを思ったのは初めてでした。
 
伊藤:このお仕事している立場であまり言うべきではないのですが、もともと活字を読むのが苦手で、読むのに時間がかかる方ですが、この台本は驚くほど早く読み終えることができ、自分でも新記録だと感じました。読み進めるうちにどんどん引き込まれ、「次はどうなるのか」と夢中になる感覚がありました。他と比べてというよりも、シンプルに面白くて夢中になって物語に没頭できたことに、自分の成長も感じて感動してしまいました。原作を読んで同じように面白いと感じた方や、違う角度から魅力を見出した方がたくさんいる中での実写化ということで、誰もが緊張していたと思います。私が演じた倖田も、その声や存在感を観客がどう受け取るのか、想像していた印象と異なってしまうのではないかという不安がありました。そうした緊張感が常に頭の中にありましたが、この作品に携われなかったら絶対後悔すると思いましたし、演じたいと思った役でしたので、オファーいただいた時はとても嬉しく思いました。
―――2時間17分ですかね。本当にあっという間でした。
 
佐藤:
あっという間だよね。自分が出演していて内容も分かっているのに、観終わったあとすぐにもう一度観たくなる作品でした。まさに“おかわりしたくなる”感覚です。
 
―――私もおかわりしたくなりました。山田さんは、スズキタゴサクとの対峙に苦しみながらも楽しんでいる感じがしましたが、演じる上で軸にしたことは何だったのでしょうか。
 
山田:この作品は、技術的に何かを“見せよう”とするとすぐにそれが伝わってしまうと思いました。自分の演技が作為的であれば、“芝居をしている”と感じられてしまう。自分の中にある「もし僕が類家だったらこうだよね」という感情を、自分の中からすべて引き出そうとしていて、「出てくれ!頼む」という感覚でした。でも、岡田プロデューサーが、「パブリックイメージの山田くんは、おそらく類家ではないけれど、僕は類家である部分を知っている。」とオファーをしてくださったことがとても嬉しく、励みになりました。さらに、二朗さんとのお芝居で引き出されたものも多く、この役を形づくれたのは共演者やスタッフの皆さんのおかげだと思っています。
 
―――“はまり役”なのは山田さんもそうですが、伊藤さんもまっすぐで正義感の強い印象があります。倖田というキャラクターとご自身との共通点、または反対だと感じる部分はありますか。
 
伊藤:
共通点は、多分私も先輩に対してあの手のツッコミしちゃうタイプだと思います。「やめてくれません?それ」みたいな。
 
佐藤:「昭和の何とかドラマじゃあるまいし。」みたいなことですね。
 
伊藤:自分が懐いた先輩や好きな先輩に対しては、倖田のようなテンションでガンガン話す方なので、その点は似ていると思います。違うところは、何でしょう…。倖田のような強さやまっすぐさを自分が持っているかと問われると、少し自信がありません。
―――そして、スズキタゴサクは、つかみどころのない謎の中年男だと思いましたが、シンプルにお聞きします。演じる上でどのようなことを大切にしましたか。
 
佐藤:
スズキタゴサクというのは、何か特別な能力を持っているわけでも、極端な思想や信条を抱えているわけでもありません。しかし、誰もが心の奥底に持っている小さな悪意や、見たくないからと蓋をしてしまう澱のような心の闇――そうした部分を静かに問いかけてくる存在だと感じています。だから、逆に怖いと感じるのだと思います。そういうところは頭に常に入れていました。
 
―――アドリブなどもあったのでしょうか?10円ハゲを自分から作ろうと言ったエピソードを拝見しました。
 
 佐藤:
原作ではスズキが小太りの中年で、坊主頭に10円ハゲがあるという設定でした。坊主頭にはしますということを割と早く伝えていましたが、坊主頭にしたのに10円ハゲだけ特殊メイクなのはもったいないと思ったので、10円ハゲも作ることにしました。メイクさんにお願いして施してもらいましたが、その後、半年ほどは帽子なしでは外を歩けませんでした。だって、みんな普段10円ハゲを指摘しないですよね。「二朗さんハゲてますよ」と言わないじゃないですか。心の中で「あ、二朗さん色々気苦労が多いんだ」と思うだろうから説明しなくちゃいけなくて大変でした。
 
―――タゴサクをパッと見たときに、やっぱり何かをすごく心に抱えている人なのかなと見た目から感じました。先ほど、セリフを覚えるのが大変だったとおっしゃっていましたが、すごく長台詞が多いですよね。
 
山田:
すごいですよね。圧倒的なセリフ量。
 
佐藤:大変でしたね。
 
山田:二朗さんは、既に本読みの時には台詞を覚えてきていました。
 
佐藤:
本読みなので覚えている必要はないし、いつもは覚えてこないですが、今回は“プレゼン”のような意味で覚えて臨みました。キャスト、スタッフが集まる中で、「こういう意気込みでやります」という思いをプレゼンしたかったという意味はありますね。
 
山田:その行動に、タゴサク味を感じました。もちろん良い意味で。
佐藤:褒められるのは好きなので、そのまま放っておきましたが、ネットにあがっていた記事の中で岡田プロデューサーが少し話を盛っていたようで、「本読みが始まった瞬間に僕が台本をバーン!と置き、最後まで一度も開かなかった」と書かれていました。でも実際はそんなことはないです。確かに覚えてはいましたが、台本を読むのが少し苦手で、ある長いセリフの場面で下を向いて読むのは不自然だと思ったので、「すいません、ここだけ台本を見ずにいきます」と伝えただけなんです。“バーン!”なんて大げさなものではありません。
 
山田:バーン!「俺、読まないんで」と言っていましたよ。
 
佐藤:誰だよそれ!「俺、読まないんで」ってむしろちょっとダサくない(笑)?「ごめんなさい。ここちょっと台本伏せますわ」みたいな感じで、そのシーンだけです。
 
―――それもかっこいいですけどね。
 
佐藤:
確かに隣の正名僕蔵さんは驚いていました。「覚えてるの!?」という表情でしたね。実は、その前に自分の舞台があって少しお待たせしていて申し訳ないなということもあり、覚えて臨んだ部分もあります。でも、裕貴が寄ってきて、「二朗さん覚えてますね。僕も頑張ります。」と。主演作が重なっていたこともありその表情から少し焦りを感じました。
 
山田:気合が入りましたね。
 
佐藤:そういうプレゼンの意味では良かったのかもしれないです。
 
―――緊迫したシーンがほとんどかと思いますが、改めてお三方のお互いの印象、現場での雰囲気を聞いてもいいですか?
 
佐藤:
2人とも僕より若いですが、年齢に関係なく本当に素晴らしい俳優です。
 
伊藤:山田さん嬉しそう(笑)。
 
佐藤:いや、うちの息子でももう少し表情を抑えると思いますよ。子どもじゃないんだから、そんなに嬉しそうな顔をしないようにと(笑)。でも、我々は褒められるのが本当に好きなんです。2人は素晴らしい俳優で、それだけで十二分に尊敬できるし、一緒に仕事をすることでお互いに高め合えると思います。さらに、年齢差も影響しているかもしれませんが、親御さんの育て方が良かったのだろうと感じられるような、しっかりした魂を持ったお2人なので大好きです。
―――お2人はいかがですか?
 
佐藤:
分かってるね?2人とも。結構褒めましたよ(笑)。
 
山田:(笑)。お2人とも本当に素晴らしい俳優さんで、エンドロールが流れた時に「僕の名前ここに書いてあってといいのかな?」と思うくらい本当に光栄でした。でも、そんなこと言わずに立ち向かわなくてはならないという中で、タゴサクの役は圧倒的なセリフ量だけが大変なのではなく、タゴサクを表現することがものすごく難しいのだと思います。本当に何ひとつぬかりなくタゴサクでいることを表現されていることが素晴らしいと思いました。カットがかかって自分に戻った時に、「すごい俳優さんだな」と思いながら佐藤さんを見ていました。沙莉さんは、外回りの刑事でバランスがとても難しい役だと思っていました。テンションを上げすぎちゃうとコントラストがつきすぎて違う。でも、最初の登場シーンの2人の掛け合いは、観客に小休止を与えつつも物語の本筋であることを示す絶妙な演技で、素晴らしいと思いました。
 
伊藤:普通に現場入る前から2人ともすごく大好きな役者さんでした。言い方は難しいのですが、色々な作品観ている中で、“浴びたい”と思わせるお芝居をされる方々です。それでいて、人に悪い緊張感を与えない人たちなのです。たとえば、裏でお会いした時の空気感や、ひと言をかけてくださる時の音、目の温かさとかで人の感じがわかるんですよね。私は取調室のシーンには関わらなかったので実際にお会いすることはなかったのですが、現場での迎え入れ方から「私も仲間として認めてもらえている」と感じられました。懐の広さがなければ作れない空気感で迎えていただけたことは本当にありがたかったです。お芝居を目の前で拝見してもやはり最高だと感じましたし、強いて言えば、もう少しお2人と絡む場面があればよかったなと思います。今後もお2人と共演することは、私の演技人生の目標や希望のひとつです。

映画『爆弾』作品情報

公開日:10月31日(金)
 
出演:山田裕貴 伊藤沙莉 染谷将太 坂東龍汰 寛一郎
             片岡千之助 中田青渚 加藤雅也 正名僕蔵
             夏川結衣 渡部篤郎 佐藤二朗
 
原作:呉勝浩「爆弾」(講談社文庫)
 
監督:永井聡
 
脚本:八津弘幸 山浦雅大
 
配給:ワーナー・ブラザース映画
 
公式サイト:bakudan-movie.jp

山田裕貴さん、佐藤二朗さん、伊藤沙莉さんインタビュー


(C)呉勝浩/講談社 (C)2025 映画『爆弾』製作委員会

―――初めて台本を読んだときの感想から教えてください。
 
山田:
原作があまりにも面白いので、三部作に分けてもよいのではと思うほどの内容でした。それくらい原作を読んだ際、作品の魅力を削ぎ落としたくないと感じましたし、登場人物それぞれの個性や物語の面白さを損なわずに表現したいという思いがありました。今回は2時間17分という限られた時間の中で、どれくらい濃密な『爆弾』を届けられるのかを考えながら台本を読み進めました。また、類家というキャラクターを演じるうえで、自分に務まるのかという不安も感じていました。
 
佐藤:原作がある意味“暴力的に面白い”作品なので、正直、その魅力を損なってはならないという大きなプレッシャーを感じていました。裕貴が言った通り、原作の面白さをそのまま届けることが重要だと考えていました。脚本を読むと、自分のセリフ量の多さに気づき、「これほど喋る役の台詞を本当に覚えられるのか」と不安になりました。20年以上俳優をやっていて、そのようなことを思ったのは初めてでした。
 
伊藤:このお仕事している立場であまり言うべきではないのですが、もともと活字を読むのが苦手で、読むのに時間がかかる方ですが、この台本は驚くほど早く読み終えることができ、自分でも新記録だと感じました。読み進めるうちにどんどん引き込まれ、「次はどうなるのか」と夢中になる感覚がありました。他と比べてというよりも、シンプルに面白くて夢中になって物語に没頭できたことに、自分の成長も感じて感動してしまいました。原作を読んで同じように面白いと感じた方や、違う角度から魅力を見出した方がたくさんいる中での実写化ということで、誰もが緊張していたと思います。私が演じた倖田も、その声や存在感を観客がどう受け取るのか、想像していた印象と異なってしまうのではないかという不安がありました。そうした緊張感が常に頭の中にありましたが、この作品に携われなかったら絶対後悔すると思いましたし、演じたいと思った役でしたので、オファーいただいた時はとても嬉しく思いました。
―――2時間17分ですかね。本当にあっという間でした。
 
佐藤:
あっという間だよね。自分が出演していて内容も分かっているのに、観終わったあとすぐにもう一度観たくなる作品でした。まさに“おかわりしたくなる”感覚です。
 
―――私もおかわりしたくなりました。山田さんは、スズキタゴサクとの対峙に苦しみながらも楽しんでいる感じがしましたが、演じる上で軸にしたことは何だったのでしょうか。
 
山田:この作品は、技術的に何かを“見せよう”とするとすぐにそれが伝わってしまうと思いました。自分の演技が作為的であれば、“芝居をしている”と感じられてしまう。自分の中にある「もし僕が類家だったらこうだよね」という感情を、自分の中からすべて引き出そうとしていて、「出てくれ!頼む」という感覚でした。でも、岡田プロデューサーが、「パブリックイメージの山田くんは、おそらく類家ではないけれど、僕は類家である部分を知っている。」とオファーをしてくださったことがとても嬉しく、励みになりました。さらに、二朗さんとのお芝居で引き出されたものも多く、この役を形づくれたのは共演者やスタッフの皆さんのおかげだと思っています。
 
―――“はまり役”なのは山田さんもそうですが、伊藤さんもまっすぐで正義感の強い印象があります。倖田というキャラクターとご自身との共通点、または反対だと感じる部分はありますか。
 
伊藤:
共通点は、多分私も先輩に対してあの手のツッコミしちゃうタイプだと思います。「やめてくれません?それ」みたいな。
 
佐藤:「昭和の何とかドラマじゃあるまいし。」みたいなことですね。
 
伊藤:自分が懐いた先輩や好きな先輩に対しては、倖田のようなテンションでガンガン話す方なので、その点は似ていると思います。違うところは、何でしょう…。倖田のような強さやまっすぐさを自分が持っているかと問われると、少し自信がありません。
―――そして、スズキタゴサクは、つかみどころのない謎の中年男だと思いましたが、シンプルにお聞きします。演じる上でどのようなことを大切にしましたか。
 
佐藤:
スズキタゴサクというのは、何か特別な能力を持っているわけでも、極端な思想や信条を抱えているわけでもありません。しかし、誰もが心の奥底に持っている小さな悪意や、見たくないからと蓋をしてしまう澱のような心の闇――そうした部分を静かに問いかけてくる存在だと感じています。だから、逆に怖いと感じるのだと思います。そういうところは頭に常に入れていました。
 
―――アドリブなどもあったのでしょうか?10円ハゲを自分から作ろうと言ったエピソードを拝見しました。
 
 佐藤:
原作ではスズキが小太りの中年で、坊主頭に10円ハゲがあるという設定でした。坊主頭にはしますということを割と早く伝えていましたが、坊主頭にしたのに10円ハゲだけ特殊メイクなのはもったいないと思ったので、10円ハゲも作ることにしました。メイクさんにお願いして施してもらいましたが、その後、半年ほどは帽子なしでは外を歩けませんでした。だって、みんな普段10円ハゲを指摘しないですよね。「二朗さんハゲてますよ」と言わないじゃないですか。心の中で「あ、二朗さん色々気苦労が多いんだ」と思うだろうから説明しなくちゃいけなくて大変でした。
 
―――タゴサクをパッと見たときに、やっぱり何かをすごく心に抱えている人なのかなと見た目から感じました。先ほど、セリフを覚えるのが大変だったとおっしゃっていましたが、すごく長台詞が多いですよね。
 
山田:
すごいですよね。圧倒的なセリフ量。
 
佐藤:大変でしたね。
 
山田:二朗さんは、既に本読みの時には台詞を覚えてきていました。
 
佐藤:
本読みなので覚えている必要はないし、いつもは覚えてこないですが、今回は“プレゼン”のような意味で覚えて臨みました。キャスト、スタッフが集まる中で、「こういう意気込みでやります」という思いをプレゼンしたかったという意味はありますね。
 
山田:その行動に、タゴサク味を感じました。もちろん良い意味で。
佐藤:褒められるのは好きなので、そのまま放っておきましたが、ネットにあがっていた記事の中で岡田プロデューサーが少し話を盛っていたようで、「本読みが始まった瞬間に僕が台本をバーン!と置き、最後まで一度も開かなかった」と書かれていました。でも実際はそんなことはないです。確かに覚えてはいましたが、台本を読むのが少し苦手で、ある長いセリフの場面で下を向いて読むのは不自然だと思ったので、「すいません、ここだけ台本を見ずにいきます」と伝えただけなんです。“バーン!”なんて大げさなものではありません。
 
山田:バーン!「俺、読まないんで」と言っていましたよ。
 
佐藤:誰だよそれ!「俺、読まないんで」ってむしろちょっとダサくない(笑)?「ごめんなさい。ここちょっと台本伏せますわ」みたいな感じで、そのシーンだけです。
 
―――それもかっこいいですけどね。
 
佐藤:
確かに隣の正名僕蔵さんは驚いていました。「覚えてるの!?」という表情でしたね。実は、その前に自分の舞台があって少しお待たせしていて申し訳ないなということもあり、覚えて臨んだ部分もあります。でも、裕貴が寄ってきて、「二朗さん覚えてますね。僕も頑張ります。」と。主演作が重なっていたこともありその表情から少し焦りを感じました。
 
山田:気合が入りましたね。
 
佐藤:そういうプレゼンの意味では良かったのかもしれないです。
 
―――緊迫したシーンがほとんどかと思いますが、改めてお三方のお互いの印象、現場での雰囲気を聞いてもいいですか?
 
佐藤:
2人とも僕より若いですが、年齢に関係なく本当に素晴らしい俳優です。
 
伊藤:山田さん嬉しそう(笑)。
 
佐藤:いや、うちの息子でももう少し表情を抑えると思いますよ。子どもじゃないんだから、そんなに嬉しそうな顔をしないようにと(笑)。でも、我々は褒められるのが本当に好きなんです。2人は素晴らしい俳優で、それだけで十二分に尊敬できるし、一緒に仕事をすることでお互いに高め合えると思います。さらに、年齢差も影響しているかもしれませんが、親御さんの育て方が良かったのだろうと感じられるような、しっかりした魂を持ったお2人なので大好きです。
―――お2人はいかがですか?
 
佐藤:
分かってるね?2人とも。結構褒めましたよ(笑)。
 
山田:(笑)。お2人とも本当に素晴らしい俳優さんで、エンドロールが流れた時に「僕の名前ここに書いてあってといいのかな?」と思うくらい本当に光栄でした。でも、そんなこと言わずに立ち向かわなくてはならないという中で、タゴサクの役は圧倒的なセリフ量だけが大変なのではなく、タゴサクを表現することがものすごく難しいのだと思います。本当に何ひとつぬかりなくタゴサクでいることを表現されていることが素晴らしいと思いました。カットがかかって自分に戻った時に、「すごい俳優さんだな」と思いながら佐藤さんを見ていました。沙莉さんは、外回りの刑事でバランスがとても難しい役だと思っていました。テンションを上げすぎちゃうとコントラストがつきすぎて違う。でも、最初の登場シーンの2人の掛け合いは、観客に小休止を与えつつも物語の本筋であることを示す絶妙な演技で、素晴らしいと思いました。
 
伊藤:普通に現場入る前から2人ともすごく大好きな役者さんでした。言い方は難しいのですが、色々な作品観ている中で、“浴びたい”と思わせるお芝居をされる方々です。それでいて、人に悪い緊張感を与えない人たちなのです。たとえば、裏でお会いした時の空気感や、ひと言をかけてくださる時の音、目の温かさとかで人の感じがわかるんですよね。私は取調室のシーンには関わらなかったので実際にお会いすることはなかったのですが、現場での迎え入れ方から「私も仲間として認めてもらえている」と感じられました。懐の広さがなければ作れない空気感で迎えていただけたことは本当にありがたかったです。お芝居を目の前で拝見してもやはり最高だと感じましたし、強いて言えば、もう少しお2人と絡む場面があればよかったなと思います。今後もお2人と共演することは、私の演技人生の目標や希望のひとつです。

映画『爆弾』作品情報

公開日:10月31日(金)
 
出演:山田裕貴 伊藤沙莉 染谷将太 坂東龍汰 寛一郎
             片岡千之助 中田青渚 加藤雅也 正名僕蔵
             夏川結衣 渡部篤郎 佐藤二朗
 
原作:呉勝浩「爆弾」(講談社文庫)
 
監督:永井聡
 
脚本:八津弘幸 山浦雅大
 
配給:ワーナー・ブラザース映画
 
公式サイト:bakudan-movie.jp

柴田平美

映画ライター

映画ライター。ねむろ観光大使。UHBの情報番組「いっとこ!」の映画コーナーで俳優や監督のインタビューを6年間担当し、およそ100作品近く携わってきました。私が初めて観た映画は『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』(2001)。故郷・根室に映画館がなかったため、観たい映画があると隣町の釧路まで行って観ていました。映画館では、一番後ろの真ん中で、ひとりで観るのが好き。ジャンルは、ラブ・ファンタジー・アクションを中心に、話題作をチェックしています。皆さんの心に残る映画を見つけるきっかけとなれますように。

eventイベント・キャンペーン

point注目映画一覧(外部サイト)

The Odyssey

オデュッセイア

2026-09-11

トロイア戦争の終結後、イタケーの伝説的な王オデュッセウスは、故郷への長く危険に満ちた帰還の旅に出る。その航海の途上、彼は神々の気まぐれや神話の怪物たち、そして自身の知略と人間性の双方を極限まで試す過酷な試練に立ち向かうことを余儀なくされる――。

Backrooms

バックルームズ

2026-09-04

舞台は、都市伝説とされていた空間“Backrooms”。「ある日突然 “現実世界の裏側”へ墜ちてしまったら…?」どこまでも続く黄色い壁紙の部屋、終わりのない廊下。不自然な間取りと、意味を失い床に埋まった設置物。 わずかに現実からズレている――そんな出口のない“リミナルスペース”で、観客は“最高密度の不安と恐怖”を体験する。

The Dog Stars

ラスト・サバイバー

2026-08-28

謎のパンデミックにより人口の大半が失われ、生き残った者たちが奪い合いを繰り広げる荒廃した世界。パイロットのヒッグは、元軍人のバングリーと共同戦線を張ることで日々を生き延びていた。心の拠り所は、愛犬ジャスパーの存在と亡き妻の記憶だけ。そんなある日、彼のもとに無線を通じて謎の声が届く。世界の終わりになお希望が残されているかもしれないと考えたヒッグは、その声に導かれるように、未知の空へと飛び立つ決意を固める。だがその先に広がっていたのは、凶暴な動物や容赦ない襲撃者がはびこる、殺すか殺されるかの過酷な現実だった。

The Drama

ドラマなふたり

2026-08-21

ボストンのカフェで運命的な出会いを果たしたチャーリーとエマは、この上なく幸せな日々を送っていた。結婚式まであと7日と迫った夜、付添人の親友夫婦と4人での食事中、これまでにやらかした最悪の行いを告白することに。軽い気持ちで始めたゲームだったが、エマの【最悪の秘密】に全員がドン引き。チャーリーはエマには想像を絶する別の顔があるのではないかと恐れを抱く。幸せの絶頂は一転、疑心暗鬼のどん底へと墜落するが、結婚式の準備を止める術はなく、遂に当日を迎えるー。

劇場版 魔法少女まどか☆マギカ〈ワルプルギスの廻天〉

劇場版 魔法少女まどか☆マギカ〈ワルプルギスの廻天〉

2026-08-28

『叛逆の物語』の事件を経て、世界は表向き均衡を取り戻したかに見えた。しかし、その平和はあまりにも脆い。ワルプルギスの夜にまつわる新たな脅威が姿を現し始めたとき、暁美ほむらは自らが下した選択の代償と向き合うことになる——まどかを守るために、自分はどこまで踏み込む覚悟があるのか。