映画の裏側にある“心の風景”をめぐって──札幌トークイベントより
1977年の公開からおよそ半世紀。映画『幸福の黄色いハンカチ』は今なお、多くの人々の心に“忘れられない作品”として刻まれ続けています。刑務所を出所した男・勇作(高倉健)が、見知らぬ若者たちとともに北海道を旅しながら、かつての妻・光枝(倍賞千恵子)と再会を目指す物語。その再会を信じて掲げられた“黄色いハンカチ”は、日本映画史に残る象徴的なシーンとして語り継がれています。
5月10日(土)に札幌市で行われた特別上映会では、倍賞千恵子さんを招いたトークイベントが開催されました。
会場には、世代を超えてこの作品に想いを寄せる観客たちが集まりました。司会を務めたのは、STVラジオでパーソナリティーを務める工藤じゅんきさん。倍賞さんとの旧交を温めながら、名作の舞台裏、山田洋次監督との出会い、そして北海道への特別な思いがじっくり語られました。
女優としての原点──山田洋次監督との出会い

「あの頃は、歌がヒットすると映画になる時代でした。山田さんが監督した映画の2作目で、それ以来の長いお付き合いになります」と笑顔で語りました。
また、山田洋次監督からのサプライズでビデオメッセージが到着。「この作品は、僕の長いキャリアの中でも、最も記憶に残っている映画です。高倉健さんと倍賞さんの対照的な芝居が、夫婦の形をとても自然に描き出してくれました」という山田監督の言葉には、作品への深い想いがにじんでいました。
健さんの素顔──忘れられない喫茶店でのエピソード

“信じて待つ女”が見た奇跡──黄色いハンカチと風の話

勇作を待ち続けた光枝の再会シーンに話が及び、「もし自分だったら」と尋ねられると「光枝と同様に私自身も、待ちますね(笑)。愛してくれていることがわかると思うんです。私はこの映画をお受けした時からなんて素敵な話なんだろうと思っていました」と少し照れくさそうに語ってくれました。
“信じて待つ”というシンプルで力強い感情は、時代を越えて人の心に届くものなのかもしれません。
倍賞さんのまっすぐな言葉に、会場も静かに耳を傾けていました。
星空と“姉妹会”──北海道がくれたかけがえのない時間
コンクリートに囲まれた東京の日常とは対照的に、北海道では空を見上げ、星を眺める時間があったといいます。流れ星を何個数えられるか試したこともあるほど、夜空が広く、美しかったと語ってくれました。
さらに、地元の人との交流の中で「姉妹会」と名付けた旅仲間のような関係が生まれ、家族ぐるみの交流が今も続いているそうです。

渥美清さんの思い出──“寅さん”と共に過ごした日々

また、渥美さんが亡くなった後、“旅に出た兄を想う気持ち”を込めて歌う「さくらのバラード」のコンサートでのエピソードも教えてくれました。
会場を訪れた奥様と自然に抱き合い、言葉にならない想いを分かち合ったと、しみじみ振り返っていました。
「体と心が続く限り、演じていたい」──女優としての覚悟と感謝
長年にわたり、日本映画の第一線を走ってきた倍賞さん。その言葉のひとつひとつには、人生と作品に向き合ってきた重みがあります。札幌の観客たちもまた、その想いをしっかりと受け止めていました。
イベント参加後の観客からは「初めてこの映画を観て、憧れの倍賞千恵子さんにもお会いでき、本当に幸せな日でした!私もあんな素敵な女性になりたいと思い、人生について感慨深いものがありました。年齢を重ねてさらに素敵に生きる目標ができました」との声も聞こえてきました。
また、次回作である『TOKYOタクシー』についても話が及び、2004年の『ハウルの動く城』以来となる木村拓哉さんとの再共演に関して「またご一緒できることが本当にうれしい」と笑顔を見せていました。公開は11月21日(金)を予定。完成を心待ちにしている様子でした。

女優としての原点──山田洋次監督との出会い

「あの頃は、歌がヒットすると映画になる時代でした。山田さんが監督した映画の2作目で、それ以来の長いお付き合いになります」と笑顔で語りました。
また、山田洋次監督からのサプライズでビデオメッセージが到着。「この作品は、僕の長いキャリアの中でも、最も記憶に残っている映画です。高倉健さんと倍賞さんの対照的な芝居が、夫婦の形をとても自然に描き出してくれました」という山田監督の言葉には、作品への深い想いがにじんでいました。
健さんの素顔──忘れられない喫茶店でのエピソード

“信じて待つ女”が見た奇跡──黄色いハンカチと風の話

勇作を待ち続けた光枝の再会シーンに話が及び、「もし自分だったら」と尋ねられると「光枝と同様に私自身も、待ちますね(笑)。愛してくれていることがわかると思うんです。私はこの映画をお受けした時からなんて素敵な話なんだろうと思っていました」と少し照れくさそうに語ってくれました。
“信じて待つ”というシンプルで力強い感情は、時代を越えて人の心に届くものなのかもしれません。
倍賞さんのまっすぐな言葉に、会場も静かに耳を傾けていました。
星空と“姉妹会”──北海道がくれたかけがえのない時間

コンクリートに囲まれた東京の日常とは対照的に、北海道では空を見上げ、星を眺める時間があったといいます。流れ星を何個数えられるか試したこともあるほど、夜空が広く、美しかったと語ってくれました。
さらに、地元の人との交流の中で「姉妹会」と名付けた旅仲間のような関係が生まれ、家族ぐるみの交流が今も続いているそうです。
渥美清さんの思い出──“寅さん”と共に過ごした日々

また、渥美さんが亡くなった後、“旅に出た兄を想う気持ち”を込めて歌う「さくらのバラード」のコンサートでのエピソードも教えてくれました。
会場を訪れた奥様と自然に抱き合い、言葉にならない想いを分かち合ったと、しみじみ振り返っていました。
「体と心が続く限り、演じていたい」──女優としての覚悟と感謝

長年にわたり、日本映画の第一線を走ってきた倍賞さん。その言葉のひとつひとつには、人生と作品に向き合ってきた重みがあります。札幌の観客たちもまた、その想いをしっかりと受け止めていました。
イベント参加後の観客からは「初めてこの映画を観て、憧れの倍賞千恵子さんにもお会いでき、本当に幸せな日でした!私もあんな素敵な女性になりたいと思い、人生について感慨深いものがありました。年齢を重ねてさらに素敵に生きる目標ができました」との声も聞こえてきました。
また、次回作である『TOKYOタクシー』についても話が及び、2004年の『ハウルの動く城』以来となる木村拓哉さんとの再共演に関して「またご一緒できることが本当にうれしい」と笑顔を見せていました。公開は11月21日(金)を予定。完成を心待ちにしている様子でした。
早川真澄
ライター・編集者
北海道の情報誌の編集者として勤務し映画や観光、人材など地域密着の幅広いジャンルの制作を手掛ける。現在は編集プロダクションを運営し雑誌、webなど媒体を問わず企画制作を行っています。