10月17日(金)、札幌・狸小路のサツゲキで『劇場版ラジエーションハウス』の特別上映会が開催されました。3年ぶりのスクリーン上映に多くのファンが集まり、上映後にはドラマ・映画で田中福男役を演じた俳優の八嶋智人さんが登壇。作品の裏側や現場で感じたリアリティを語りました。
その様子をレポートします!
(text/Photo|早川真澄)
ナレーションから生まれた“田中福男”という人物
(C)2022横幕智裕・モリタイシ/集英社・映画「ラジエーションハウス」製作委員会
「1シーンだけの賑やかしのつもりだったんですけど、 “お前、最後にいたんだから出ろ”って言われて(笑)。 気づいたらシリーズに定着していました。」
また、第2シリーズではナレーションとの関係性に悩む場面もあったといいます。
「最初はナレーションと田中は別の人物だと思ってたんです。 でも“同一人物だ”と言われて、少しずつ声を寄せていきました。」
語り手と登場人物の両方を演じるという珍しい経験について、「同じ作品で“語り”と“現場の人”の両方をやるなんて、なかなかない。 でもそれが“ラジエーションハウス”の面白さですよね」 と笑顔で語った。
技師のリアリティをめぐる対話
これに対し、八嶋さんはこう説明しました。
「実際のCT撮影の音って、かなり大きいんです。 だからドラマの現場では、セリフが聞こえなくならないように撮影中はいったん機械を止めているんです。
後から編集で本物の音を加えることもできるんですが、リアルにしすぎると今度は芝居の空気を壊してしまう。 そのリアルとドラマのバランスを取るのが難しいところなんですよ。」
現実の現場と映像作品、それぞれの“正しさ”の間でどう表現を調整するか――。八嶋さんの言葉には、作品作りに携わる俳優としての丁寧なまなざしが感じられました。
若い世代と“技術を支える人”への敬意
「この作品をきっかけに、放射線技師という仕事に興味を持つ人が増えたと聞き嬉しく思います」と語り、さらに話題は、“技術を使いこなす力”の大切さへと広がりました。
「カメラもデジタルになって便利になったけれど、構造を理解していない人が多いんです。オートフォーカスの時代で、フォーカスを合わせる技術者が育たなくなっている。医療機器も同じで、古いレントゲン機器を扱える人が減っていると聞きました。新しい機械はボタンひとつで動くけれど、“中身を分かっている人”がいないと本当の意味で技術は活かせないと思います。」
技術の進化と、それを支える人の知識。八嶋さんの言葉には、俳優としてだけでなく“職人”としての視点と、現場で働く人への深い敬意が込められていたように感じます。
会場を包んだ笑顔と拍手
トークの終盤まで笑いが絶えず、会場はリラックスした温かな空気に包まれていました。最後は八嶋さんに大きな拍手と歓声が送られ、笑顔と拍手で幕を閉じました。
(C)2022横幕智裕・モリタイシ/集英社・映画「ラジエーションハウス」製作委員会
ナレーションから生まれた“田中福男”という人物
(C)2022横幕智裕・モリタイシ/集英社・映画「ラジエーションハウス」製作委員会
「1シーンだけの賑やかしのつもりだったんですけど、 “お前、最後にいたんだから出ろ”って言われて(笑)。 気づいたらシリーズに定着していました。」
また、第2シリーズではナレーションとの関係性に悩む場面もあったといいます。
「最初はナレーションと田中は別の人物だと思ってたんです。 でも“同一人物だ”と言われて、少しずつ声を寄せていきました。」
語り手と登場人物の両方を演じるという珍しい経験について、「同じ作品で“語り”と“現場の人”の両方をやるなんて、なかなかない。 でもそれが“ラジエーションハウス”の面白さですよね」 と笑顔で語った。
技師のリアリティをめぐる対話
これに対し、八嶋さんはこう説明しました。
「実際のCT撮影の音って、かなり大きいんです。 だからドラマの現場では、セリフが聞こえなくならないように撮影中はいったん機械を止めているんです。
後から編集で本物の音を加えることもできるんですが、リアルにしすぎると今度は芝居の空気を壊してしまう。 そのリアルとドラマのバランスを取るのが難しいところなんですよ。」
現実の現場と映像作品、それぞれの“正しさ”の間でどう表現を調整するか――。八嶋さんの言葉には、作品作りに携わる俳優としての丁寧なまなざしが感じられました。
若い世代と“技術を支える人”への敬意
「この作品をきっかけに、放射線技師という仕事に興味を持つ人が増えたと聞き嬉しく思います」と語り、さらに話題は、“技術を使いこなす力”の大切さへと広がりました。
「カメラもデジタルになって便利になったけれど、構造を理解していない人が多いんです。オートフォーカスの時代で、フォーカスを合わせる技術者が育たなくなっている。医療機器も同じで、古いレントゲン機器を扱える人が減っていると聞きました。新しい機械はボタンひとつで動くけれど、“中身を分かっている人”がいないと本当の意味で技術は活かせないと思います。」
技術の進化と、それを支える人の知識。八嶋さんの言葉には、俳優としてだけでなく“職人”としての視点と、現場で働く人への深い敬意が込められていたように感じます。
会場を包んだ笑顔と拍手
(C)2022横幕智裕・モリタイシ/集英社・映画「ラジエーションハウス」製作委員会
トークの終盤まで笑いが絶えず、会場はリラックスした温かな空気に包まれていました。最後は八嶋さんに大きな拍手と歓声が送られ、笑顔と拍手で幕を閉じました。
早川真澄
ライター・編集者
北海道の情報誌の編集者として勤務し映画や観光、人材など地域密着の幅広いジャンルの制作を手掛ける。現在は編集プロダクションを運営し雑誌、webなど媒体を問わず企画制作を行っています。