2025.12.24

原作と共同脚本を担う岩見沢市出身の武田一義インタビュー 映画『ペリリュー -楽園のゲルニカ-』

毎週・木曜日の25:30から北海道・札幌のFM NORTH WAVE(JFL系)で放送されている、矢武企画制作・映画系トーク番組「キャプテン・ポップコーン」の内容をSASARU movieでも配信!
キャプテン・ポップコーンこと矢武企画・矢武兄輔が、映画の情報はもちろん、映画に関係するまちの情報、映画がもっと近くなる内容をお届けします。
 

映画系トーク番組「キャプテン・ポップコーン」は、北海道外にお住まいの方、もしくは聴き逃した方でも、インターネットで聴けるradikoで一定期間は聴取することが可能です。
この記事では12月11日(木)に放送した番組内容をお届けしています。 進行台本と放送内容を基に記事を作成しています。そのため、実際の放送内容とは違う表現・補足(話し言葉と書き言葉等)並びに、放送ではカットされた内容を含む場合がございます。 また、公開される映画館名や作品情報、イベントは上記日程の放送または収録時点のものになりますのでご留意ください。

【提供】キャプテン・ポップコーン/矢武企画

『ペリリュー -楽園のゲルニカ-』原作者、武田一義インタビュー

12月5日(金)から絶賛公開中の映画『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』の原作者である漫画家・武田一義がゲストとして登場。制作の苦労や本作を公開できた思いについて、泣く泣く放送ではカットされたインタビュー内容も含め、ディレクターズカット版でご紹介します。

矢武:連載時の反響や、映画が完成した際の反応について教えてください。

武田:連載時の反響は、非常に幅広い世代から寄せられました。若い読者では、小学校高学年くらいの方から「歴史についてほとんど知らなかった」という声が届き、一方で、ご高齢の方からは、実際に戦地を経験された立場としての反応もいただきました。
中には、「自分の体験を聞いてもらえないか」と直接連絡をくださる方もおり、読者である戦争体験者のもとへ、私自身が話を聞きに行ったこともあります。

(C)武田一義・白泉社/2025「ペリリュー一楽園のゲルニカー」製作委員会


(C)武田一義・白泉社/2025「ペリリュー一楽園のゲルニカー」製作委員会

矢武:私自身も原作をすべて読ませていただきましたが、全体を通して「ギャップ」という言葉が思い浮かぶ作品だと感じました。本編では、戦争の記憶と戦友との思い出の違いなど、随所に大きな隔たりが描かれていると感じています。

武田:戦争とは、実際に戦場で起きている出来事そのものは非常に残酷なものです。それをそのままリアルな描写で表現すると、あまりにも過酷で、観ることがつらい作品になってしまいます。そこで本作では、3頭身の可愛らしいキャラクターの絵柄を用いることで、残酷さのすべてを直接的に描くのではなく、観る側の想像力にある程度委ねる表現を選びました。
矢武:12月1日(月)には、私の母校である北広島市立東部中学校で特別上映会が行われましたが、生徒の皆さんと交流してみて、いかがでしたか。

武田:生徒の皆さんが作品を非常に真摯に受け止めてくださっていることが伝わってきました。質問も、「映画の後、あのキャラクターはどうなったのですか」といった、鑑賞直後ならではのものから、原作を読み込んだうえでの細かな内容に踏み込んだものまで多岐にわたっていました。1つひとつの質問から、作品について深く考えてくれていることが実感できました。

(C)武田一義・白泉社/2025「ペリリュー一楽園のゲルニカー」製作委員会


(C)武田一義・白泉社/2025「ペリリュー一楽園のゲルニカー」製作委員会

矢武:今回は原作者でもあり、アニメーション映画では共同脚本も担当されていますが、その仕事の違いや苦労はありましたか?

武田:原作漫画は、物語をいつ始めて、どこで終わらせるのかを、ある程度自分でコントロールすることができます。一方で映画は、一般的に約2時間という上映時間があり、その枠の中で物語を構成しなければなりません。
その限られた尺の中に、原作11巻と外伝4巻、計15冊分の情報をどのように盛り込み、また何をあえて入れないかを考える作業は、作品をもう一度作り直すような感覚でした。

 
矢武:映画では、漫画とは異なる展開もありましたよね。

武田:脚本を作る際には、まず作品の核となる部分は何かを探しました。本作の場合、実際の史実に基づいた出来事を軸に、それと深く関わる原作エピソードを取捨選択していきました。一方で、史実との関わりが比較的薄いメインキャラクターも登場しますが、物語から外したくはありませんでした。ペリリューの戦いは、多くの兵士が存在し、それぞれが異なる思いを抱いて戦場にいたという点も重要な要素だからです。
戦争の結末だけでなく、人それぞれの戦争との向き合い方を描く作品である以上、キャラクターは削らず、映画サイズのシナリオの中でどう生かすかを考えました。その結果、原作とは異なるエピソード構成になった部分もありますが、キャラクターの本質や性格は変えないようにしています。

(C)武田一義・白泉社/2025「ペリリュー一楽園のゲルニカー」製作委員会


(C)武田一義・白泉社/2025「ペリリュー一楽園のゲルニカー」製作委員会

矢武:全体として、観る側の負担が少ない描写やタッチになっていると感じました。戦争を知る入口として、まずは映画を観てほしいですし、そのうえで原作にも触れてほしいと思いました。

武田:映画では、原作の中でも特に残酷な部分については、あえてすべてを描き切っていません。原作通りに表現すると、子どもが観られないレーティングになってしまうからです。本作は、できるだけ幅広い世代、特に子ども世代にも観てほしいという思いがあります。そのため、映画では外したエピソードもありますが、作品に興味を持ってもらえたら、ぜひ原作にも手を伸ばしてほしいと思っています。
そしてその先に、これは現実に起きた戦争の歴史だったのだということを、想像の中に留めておいてもらえたらと考えています。
矢武:改めて終戦80年という節目に本作が公開されることについて、どのようなお気持ちでしょうか。

武田:個人的には、非常に感慨深いものがあります。本作の制作を始めたのは、終戦70年の節目でした。当時は、取材をさせていただいた戦争体験者の方々がまだご存命でしたが、この10年の間に、多くの方が亡くなられています。そうした状況の中で迎えた終戦80年という節目に、もはや自らの言葉で体験を語ることができなくなってしまった方々に代わり、この作品が思いをつないでいくことが出来ればと考えています。

(C)武田一義・白泉社/2025「ペリリュー一楽園のゲルニカー」製作委員会

矢武:最後に、リスナーの皆さんへメッセージをお願いします。

武田:本作は、可愛らしい絵柄でありながら、戦争のリアルを描いたアニメーション映画です。戦争を扱った作品には、つらく重い印象を持たれる方も多いと思いますが、勇気を持って1歩踏み出してご覧いただければ、非常に濃密なものが伝わるはずです。ぜひ劇場で本作をご覧ください。

■武田一義プロフィール

1975年、北海道岩見沢市生まれ、2012年闘病体験をつづった『さよならタマちゃん』でデビュー。
2016年から『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』の連載をスタート、同作で第46回日本漫画家協会賞優秀賞を受賞。

映画『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』(PG-12)は、TOHO シネマズ すすきの、札幌シネマフロンティア、ローソン・ユナイテッドシネマ札幌のほか、旭川、小樽、江別、釧路、北見、苫小牧、帯広で12月5日(金)から絶賛公開中です!
映画系トーク番組「キャプテン・ポップコーン」は、北海道外にお住まいの方、もしくは聴き逃した方でも、インターネットで聴けるradikoで一定期間は聴取することが可能です。
この記事では12月11日(木)に放送した番組内容をお届けしています。 進行台本と放送内容を基に記事を作成しています。そのため、実際の放送内容とは違う表現・補足(話し言葉と書き言葉等)並びに、放送ではカットされた内容を含む場合がございます。 また、公開される映画館名や作品情報、イベントは上記日程の放送または収録時点のものになりますのでご留意ください。

【提供】キャプテン・ポップコーン/矢武企画

『ペリリュー -楽園のゲルニカ-』原作者、武田一義インタビュー


(C)武田一義・白泉社/2025「ペリリュー一楽園のゲルニカー」製作委員会

12月5日(金)から絶賛公開中の映画『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』の原作者である漫画家・武田一義がゲストとして登場。制作の苦労や本作を公開できた思いについて、泣く泣く放送ではカットされたインタビュー内容も含め、ディレクターズカット版でご紹介します。

矢武:連載時の反響や、映画が完成した際の反応について教えてください。

武田:連載時の反響は、非常に幅広い世代から寄せられました。若い読者では、小学校高学年くらいの方から「歴史についてほとんど知らなかった」という声が届き、一方で、ご高齢の方からは、実際に戦地を経験された立場としての反応もいただきました。
中には、「自分の体験を聞いてもらえないか」と直接連絡をくださる方もおり、読者である戦争体験者のもとへ、私自身が話を聞きに行ったこともあります。

(C)武田一義・白泉社/2025「ペリリュー一楽園のゲルニカー」製作委員会

矢武:私自身も原作をすべて読ませていただきましたが、全体を通して「ギャップ」という言葉が思い浮かぶ作品だと感じました。本編では、戦争の記憶と戦友との思い出の違いなど、随所に大きな隔たりが描かれていると感じています。

武田:戦争とは、実際に戦場で起きている出来事そのものは非常に残酷なものです。それをそのままリアルな描写で表現すると、あまりにも過酷で、観ることがつらい作品になってしまいます。そこで本作では、3頭身の可愛らしいキャラクターの絵柄を用いることで、残酷さのすべてを直接的に描くのではなく、観る側の想像力にある程度委ねる表現を選びました。

(C)武田一義・白泉社/2025「ペリリュー一楽園のゲルニカー」製作委員会

矢武:12月1日(月)には、私の母校である北広島市立東部中学校で特別上映会が行われましたが、生徒の皆さんと交流してみて、いかがでしたか。

武田:生徒の皆さんが作品を非常に真摯に受け止めてくださっていることが伝わってきました。質問も、「映画の後、あのキャラクターはどうなったのですか」といった、鑑賞直後ならではのものから、原作を読み込んだうえでの細かな内容に踏み込んだものまで多岐にわたっていました。1つひとつの質問から、作品について深く考えてくれていることが実感できました。

(C)武田一義・白泉社/2025「ペリリュー一楽園のゲルニカー」製作委員会

矢武:今回は原作者でもあり、アニメーション映画では共同脚本も担当されていますが、その仕事の違いや苦労はありましたか?

武田:原作漫画は、物語をいつ始めて、どこで終わらせるのかを、ある程度自分でコントロールすることができます。一方で映画は、一般的に約2時間という上映時間があり、その枠の中で物語を構成しなければなりません。
その限られた尺の中に、原作11巻と外伝4巻、計15冊分の情報をどのように盛り込み、また何をあえて入れないかを考える作業は、作品をもう一度作り直すような感覚でした。

 

(C)武田一義・白泉社/2025「ペリリュー一楽園のゲルニカー」製作委員会

矢武:映画では、漫画とは異なる展開もありましたよね。

武田:脚本を作る際には、まず作品の核となる部分は何かを探しました。本作の場合、実際の史実に基づいた出来事を軸に、それと深く関わる原作エピソードを取捨選択していきました。一方で、史実との関わりが比較的薄いメインキャラクターも登場しますが、物語から外したくはありませんでした。ペリリューの戦いは、多くの兵士が存在し、それぞれが異なる思いを抱いて戦場にいたという点も重要な要素だからです。
戦争の結末だけでなく、人それぞれの戦争との向き合い方を描く作品である以上、キャラクターは削らず、映画サイズのシナリオの中でどう生かすかを考えました。その結果、原作とは異なるエピソード構成になった部分もありますが、キャラクターの本質や性格は変えないようにしています。

(C)武田一義・白泉社/2025「ペリリュー一楽園のゲルニカー」製作委員会

矢武:全体として、観る側の負担が少ない描写やタッチになっていると感じました。戦争を知る入口として、まずは映画を観てほしいですし、そのうえで原作にも触れてほしいと思いました。

武田:映画では、原作の中でも特に残酷な部分については、あえてすべてを描き切っていません。原作通りに表現すると、子どもが観られないレーティングになってしまうからです。本作は、できるだけ幅広い世代、特に子ども世代にも観てほしいという思いがあります。そのため、映画では外したエピソードもありますが、作品に興味を持ってもらえたら、ぜひ原作にも手を伸ばしてほしいと思っています。
そしてその先に、これは現実に起きた戦争の歴史だったのだということを、想像の中に留めておいてもらえたらと考えています。

(C)武田一義・白泉社/2025「ペリリュー一楽園のゲルニカー」製作委員会

矢武:改めて終戦80年という節目に本作が公開されることについて、どのようなお気持ちでしょうか。

武田:個人的には、非常に感慨深いものがあります。本作の制作を始めたのは、終戦70年の節目でした。当時は、取材をさせていただいた戦争体験者の方々がまだご存命でしたが、この10年の間に、多くの方が亡くなられています。そうした状況の中で迎えた終戦80年という節目に、もはや自らの言葉で体験を語ることができなくなってしまった方々に代わり、この作品が思いをつないでいくことが出来ればと考えています。
矢武:最後に、リスナーの皆さんへメッセージをお願いします。

武田:本作は、可愛らしい絵柄でありながら、戦争のリアルを描いたアニメーション映画です。戦争を扱った作品には、つらく重い印象を持たれる方も多いと思いますが、勇気を持って1歩踏み出してご覧いただければ、非常に濃密なものが伝わるはずです。ぜひ劇場で本作をご覧ください。

■武田一義プロフィール

1975年、北海道岩見沢市生まれ、2012年闘病体験をつづった『さよならタマちゃん』でデビュー。
2016年から『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』の連載をスタート、同作で第46回日本漫画家協会賞優秀賞を受賞。

映画『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』(PG-12)は、TOHO シネマズ すすきの、札幌シネマフロンティア、ローソン・ユナイテッドシネマ札幌のほか、旭川、小樽、江別、釧路、北見、苫小牧、帯広で12月5日(金)から絶賛公開中です!

キャプテン・ポップコーン

映画専門ラジオ番組

キャプテン・ポップコーンは、エフエムノースウェーブで毎週木曜日深夜1時半から放送するラジオ番組です。北海道・札幌で映画のお仕事に従事する「まちのえいが屋さん・矢武企画」が気になった映画の情報、映画に関係したまちの情報、そして、映画がもっと近くなるようなお話をお届けします。映画がはじける、映画で踊る夜、きょうも映画と、コミュニケーションしていきましょう!

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