2025.12.28

フランスへ映画留学経験ある中華まん屋さんが東川町に常設映画館を2月オープン 年末までクラファン実施中


「中国茶とおかゆ 奥泉」に隣接する(25年11月撮影)

人口約8,700人、北海道・東川町で「中国茶とおかゆ 奥泉」を営む齋藤裕樹さん。もともと、札幌市中央区で同店を経営していましたが、6年前に同町へ夫婦で移住・移転してきました。その店舗の敷地内に、中国茶や中華まんも楽しめる新しい映画館「LE CINEMA QUATRE(ル・シネマ・キャトル)」が2026年2月末に開館予定です。
齋藤さんは、20代のころ、フランスへ映画の勉強のために留学。帰国後、独立系映画の配給会社などの勤務経験もあり、これまでも映画上映会を10回以上開催してきました。
「札幌ではいろいろな映画が観られたけど、ここ(東川町)では難しくて。最初は、自分が映画館で映画を観たい」というのが常設の映画館をつくろうと思ったキッカケとのこと。

しかし、北海道の年間観客数の全国シェア率は決して高くはなく、ビジネス目線では厳しい土地柄です。それでも、勝算はあるのか聞いてみました。
近隣にシネプレックス旭川とイオンシネマ旭川駅前があり、メジャー作品には気軽にアクセスできる環境ではある一方、独立系やミニシアター系作品が上映される機会は多くはないのが現状。ミニシアターを創る上で「たとえば、北海道出身の三宅唱監督の『夜明けのすべて』(24)も旭川では公開されませんでした」と教えてくれました。
この実態には筆者も「道産子監督作品」「一定数のファンがついている出演者」「数々の映画賞獲得」と道内の興行的には申し分ない条件が揃っていそうなのに、未公開なことに正直驚きました。

映画館の外観(25年11月撮影)


齋藤裕樹さん(25年12月撮影)

まず、充実した機材設備のために、10月から12月末までクラウドファンディングを実施。12月26日の時点で目標金額400万円のうち約95%を達成しています。映画館運営は固定費を抑え、飲食事業との複合経営で持続可能な形を目指しています。中でも、DCP(=映画館の上映データ形式であるデジタルシネマパッケージの略)機材の導入はコスト面などでハードルがあり、Blu-ray上映が可能な配給作品を上映する計画です。約3年間で全国50館ほどのミニシアターを視察した齋藤さんは地域にあった運営モデルを模索しています。
 
齋藤さんは「この映画館は単に作品を上映する場ではなく、地域コミュニティの文化拠点としての役割を担っていきたい」と話します。
住みここちランキング全国第1位に2年連続で選ばれ、移住者が増え続けている東川町。筆者も映画館環境という目線で見れば、近隣のシネマコンプレックスがあることが供給バランスが良く機能し、ミニシアターとしての存在価値を高めていくのではないかと感じました。
12月中旬には、『PERFECT DAYS』(23)の共同プロデューサーであるケイコ・オリビア・トミナガさんがベルリンから訪れ、建造中の映画館を見学し、感動して帰ったとのこと。
小さな町で映画館を運営することは決して不可能なことではなく、日本全国を見渡すと、小さな街や島で経営する常設の映画館はあります。また、フランスの例にはなりますが、地域間の文化格差を縮めるために、小さな町にもアートシアターやミニシアターが存在します。
豊かな自然と確かな地域コミュニティ、バランスのとれた都市機能に交通インフラ、総合的に魅力的な土地に、来年2月、北海道の新たな映画文化の拠点が生まれようとしています。

(text/photo|矢武兄輔[キャプテン・ポップコーン])
 

ロビーから劇場へ続く通路(25年12月撮影)


映画館の外観(25年11月撮影)

しかし、北海道の年間観客数の全国シェア率は決して高くはなく、ビジネス目線では厳しい土地柄です。それでも、勝算はあるのか聞いてみました。
近隣にシネプレックス旭川とイオンシネマ旭川駅前があり、メジャー作品には気軽にアクセスできる環境ではある一方、独立系やミニシアター系作品が上映される機会は多くはないのが現状。ミニシアターを創る上で「たとえば、北海道出身の三宅唱監督の『夜明けのすべて』(24)も旭川では公開されませんでした」と教えてくれました。
この実態には筆者も「道産子監督作品」「一定数のファンがついている出演者」「数々の映画賞獲得」と道内の興行的には申し分ない条件が揃っていそうなのに、未公開なことに正直驚きました。

齋藤裕樹さん(25年12月撮影)

まず、充実した機材設備のために、10月から12月末までクラウドファンディングを実施。12月26日の時点で目標金額400万円のうち約95%を達成しています。映画館運営は固定費を抑え、飲食事業との複合経営で持続可能な形を目指しています。中でも、DCP(=映画館の上映データ形式であるデジタルシネマパッケージの略)機材の導入はコスト面などでハードルがあり、Blu-ray上映が可能な配給作品を上映する計画です。約3年間で全国50館ほどのミニシアターを視察した齋藤さんは地域にあった運営モデルを模索しています。
 

ロビーから劇場へ続く通路(25年12月撮影)

齋藤さんは「この映画館は単に作品を上映する場ではなく、地域コミュニティの文化拠点としての役割を担っていきたい」と話します。
住みここちランキング全国第1位に2年連続で選ばれ、移住者が増え続けている東川町。筆者も映画館環境という目線で見れば、近隣のシネマコンプレックスがあることが供給バランスが良く機能し、ミニシアターとしての存在価値を高めていくのではないかと感じました。
12月中旬には、『PERFECT DAYS』(23)の共同プロデューサーであるケイコ・オリビア・トミナガさんがベルリンから訪れ、建造中の映画館を見学し、感動して帰ったとのこと。
小さな町で映画館を運営することは決して不可能なことではなく、日本全国を見渡すと、小さな街や島で経営する常設の映画館はあります。また、フランスの例にはなりますが、地域間の文化格差を縮めるために、小さな町にもアートシアターやミニシアターが存在します。
豊かな自然と確かな地域コミュニティ、バランスのとれた都市機能に交通インフラ、総合的に魅力的な土地に、来年2月、北海道の新たな映画文化の拠点が生まれようとしています。

(text/photo|矢武兄輔[キャプテン・ポップコーン])
 

矢武兄輔

まちのえいが屋さん/キャプテン・ポップコーン

20歳の1月。札幌映画サークルに入会直後、さぬき映画祭への参加で『踊る大捜査線』の製作陣や深田晃司監督と出逢い、映画界の現実や地方から発信するエンタメの可能性を知る。そこから「映画館へ行く人を増やす」という目標を持ち、カネゴンを呼んでみたり、学生向け媒体をつくったり、休学して東京国際映画祭で勤務、映画館へ就職→退職→「矢武企画」を起業からの今は某局でラジオDJ。 すべては『踊る』の完結が始まりだった。そして、踊るプロジェクト再始動と共に…! ということで、皆さんにとって映画がもっと近くなれますように。

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