2025.12.31

【年末コラム:映画回顧2025中篇】邦画は世界を目指し、洋画は『教皇選挙』から国内興行盛り上がる

あっという間に2026年。キャプテン・ポップコーンこと矢武兄輔が、2025年の映画界の動向を振り返る「映画回顧2025」コラムです。中篇では、『国宝』(25)と『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』(25)のように記録を塗り替えた日本映画の体制。『教皇選挙』など話題になった外国映画について振り返ります。

記録を塗り替えた日本映画


(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

2025年、なんといっても、メガヒットした作品が“すごい”ことです。語彙力を感じないですが、“すごい”としか言いようがないのです。作品は、このコラムに関心を持たれる方は、すぐ勘付くことでしょう。6月公開『国宝』と7月公開『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』です。
前者は『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』(03)の173.5億円の記録を22年ぶりに更新し、実写日本映画歴代1位に。現時点で180億円を超え、大晦日に松竹と東宝が主催する「歌舞伎座大晦日特別上映会&全国同時生中継」が実施されます。まさに業界の垣根を超えたイベントが実現し、米アカデミー賞の国際長編映画賞とメイクアップ&ヘアスタイリング賞のショートリストに入るなど、イベントは続きます。受賞結果次第など、26年もニューストピックが続けば、200億円突破も考えられます。
後者は、前作が400億円突破していますので、今作のメガヒットの予想はつき、興行関係者も期待通りの成績と思われます。北米を始めとした海外配給も快挙を達成、総世界興行収入は11月の時点で7.3億ドル(約1,130億円)に到達したと報じられています。日本映画の総世界興行収入が1000億円を超えるのは史上初めてとのこと。なお、今回の『無限城編』は全3部作で描かれる「最終決戦編」の第1章なので、今後2作品が公開されると国内の歴代興行収入がトップ4を全て劇場版「鬼滅の刃」になる可能性もありますね。
この2作品の製作者には共通点があり、ソニーグループ傘下企業なのです。
「鬼滅の刃」を手がけるのはAniplex(アニプレックス)。 そして『国宝』を手がけるのはオリガミクスパートナーズが社名変更したMYRIAGON STUDIO(ミリアゴンスタジオ)といって、23年にアニプレックスの100%子会社として設立。日本のみでウケる作品ではなく、海外でも通用する作品づくりをクリエイティブの段階からクオリティの高いものを目指しています。ちなみに『国宝』の場合、製作幹事(映画製作で一番責任を負う立場)として役割を担っていました。 どちらの作品も、刀や歌舞伎と海外の方が日本を連想しやすいテーマであり、クオリティやカルチャーなどの表現部分も世界へ発信できる作品でした。製作費を除けば、ハリウッド超大作へ挑める品質であると改めて頷けます。
日本で一番ブランディング化されているスタジオジブリのように、観る作品がどこの制作会社で作品を選ばれる観客が今後増えていくかもしれませんね。

(C)吉田修一/朝日新聞出版 (C)2025映画「国宝」製作委員会

外国映画の動員は回復するのか?


(C) 2025 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

日本の興行成績の結果を考えると、昨今の外国映画と日本映画の動員の差が大きく目立ちます。特に、前述のようなメガヒット作品があっても、大多数であるライト層の映画館へ行く回数は限られるので、どうしても選択せざるを得ないので仕方がないこと。結果、世界各国でランキング1位になるようなハリウッド超大作でも日本では首位にならないことがここ10年ぐらいは増えています。もちろん国内コンテンツの人気、マーケティングと宣伝量の差もありますが、瞬発的な発進で差はあるものの、最終的な日本の興行成績は高水準な海外作品もあります。
そう考えると、ささやかながら、外国映画の興行成績が上がってきた感覚はありました。
特に、第82回ゴールデングローブ賞・脚本賞を受賞した3月公開『教皇選挙』は全国106館で上映がスタート、週末映画ランキングでも8週連続でトップ10入り。さらに5月には、物語の題材にもなったコンクラーベ(教皇選挙)が行われ、国内外で映画へ関心が高まり、作品評に加え、現実世界とシンクロする形でヒットを牽引し、最終的には興行収入が10億円超え。なお、初動110館以下の外国映画で興収10億円突破したのは『英国王のスピーチ』(11)『最強のふたり』(12)の2作のみで、13年ぶりの快挙とのことです。

(C)2024 Conclave Distribution, LLC.


(C) Universal Studios. All Rights Reserved.

3月公開『ウィキッド ふたりの魔女』と5月公開『マインクラフト ザ・ムービー』は共に30億円超えの大ヒットを記録。シリーズ化されている映画ではなく、特に前者はミュージカルや長尺という要素から、大ヒットは嬉しい驚きでした。
フランチャイズムービーの5月公開『ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング』と8月『ジュラシック・ワールド 復活の大地』は50億円前後の成績。
現在『ズートピア2』が4週連続で1位、80億円を突破していますので、26年公開のディズニー配給作品や外国映画の追い風になることを期待したいです。
また、1月公開『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』は公開3ヶ月で興行収入4億円を超え、長期間にわたり話題に。韓国、インド映画に続き、香港映画ブームが再来しそうです。
一方で、23年まで各スタジオで大量製作されてきたアメコミのヒーロー映画は2月『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』、5月『サンダーボルツ』、7月『ヘルボーイ/ザ・クルキッドマン』『スーパーマン』『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』と少なかった心象です。
ほとんどの作品が10億円を超えるか超えないかの成績で日本では横ばい。世界マーケット上でも人気の落ち着きはある状況ですが、26年は7月24日『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』と12月18日『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』が公開予定なので『アベンジャーズ/エンドゲーム』(19)時代の盛り上がりを楽しみにしています。
 

(C) 2025 MARVEL


(C)2025 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED.

24年12月にクリント・イーストウッド監督の最新作『陪審員2番』が日本で劇場公開されずにU-NEXT独占配信になったことが話題になりましたが、25年も『M3GAN/ミーガン2.0』突如公開中止になったりと、映画ファンをざわつかせる出来事がありました。
6月公開『F1(R) エフワン』のように、テック企業であるアップルも製作し、日本では20億円突破と、興行的にも成功した作品もありますが、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーの件もありますので、北米での興行不振や日本での興行が期待できない作品は、劇場公開が見送られるのか、外国映画ファンや興行関係者はソワソワする時期を迎えそうです。

記録を塗り替えた日本映画


(C)吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

2025年、なんといっても、メガヒットした作品が“すごい”ことです。語彙力を感じないですが、“すごい”としか言いようがないのです。作品は、このコラムに関心を持たれる方は、すぐ勘付くことでしょう。6月公開『国宝』と7月公開『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』です。
前者は『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』(03)の173.5億円の記録を22年ぶりに更新し、実写日本映画歴代1位に。現時点で180億円を超え、大晦日に松竹と東宝が主催する「歌舞伎座大晦日特別上映会&全国同時生中継」が実施されます。まさに業界の垣根を超えたイベントが実現し、米アカデミー賞の国際長編映画賞とメイクアップ&ヘアスタイリング賞のショートリストに入るなど、イベントは続きます。受賞結果次第など、26年もニューストピックが続けば、200億円突破も考えられます。
後者は、前作が400億円突破していますので、今作のメガヒットの予想はつき、興行関係者も期待通りの成績と思われます。北米を始めとした海外配給も快挙を達成、総世界興行収入は11月の時点で7.3億ドル(約1,130億円)に到達したと報じられています。日本映画の総世界興行収入が1000億円を超えるのは史上初めてとのこと。なお、今回の『無限城編』は全3部作で描かれる「最終決戦編」の第1章なので、今後2作品が公開されると国内の歴代興行収入がトップ4を全て劇場版「鬼滅の刃」になる可能性もありますね。

(C)吉田修一/朝日新聞出版 (C)2025映画「国宝」製作委員会

この2作品の製作者には共通点があり、ソニーグループ傘下企業なのです。
「鬼滅の刃」を手がけるのはAniplex(アニプレックス)。 そして『国宝』を手がけるのはオリガミクスパートナーズが社名変更したMYRIAGON STUDIO(ミリアゴンスタジオ)といって、23年にアニプレックスの100%子会社として設立。日本のみでウケる作品ではなく、海外でも通用する作品づくりをクリエイティブの段階からクオリティの高いものを目指しています。ちなみに『国宝』の場合、製作幹事(映画製作で一番責任を負う立場)として役割を担っていました。 どちらの作品も、刀や歌舞伎と海外の方が日本を連想しやすいテーマであり、クオリティやカルチャーなどの表現部分も世界へ発信できる作品でした。製作費を除けば、ハリウッド超大作へ挑める品質であると改めて頷けます。
日本で一番ブランディング化されているスタジオジブリのように、観る作品がどこの制作会社で作品を選ばれる観客が今後増えていくかもしれませんね。

外国映画の動員は回復するのか?


(C) 2025 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

日本の興行成績の結果を考えると、昨今の外国映画と日本映画の動員の差が大きく目立ちます。特に、前述のようなメガヒット作品があっても、大多数であるライト層の映画館へ行く回数は限られるので、どうしても選択せざるを得ないので仕方がないこと。結果、世界各国でランキング1位になるようなハリウッド超大作でも日本では首位にならないことがここ10年ぐらいは増えています。もちろん国内コンテンツの人気、マーケティングと宣伝量の差もありますが、瞬発的な発進で差はあるものの、最終的な日本の興行成績は高水準な海外作品もあります。

(C)2024 Conclave Distribution, LLC.

そう考えると、ささやかながら、外国映画の興行成績が上がってきた感覚はありました。
特に、第82回ゴールデングローブ賞・脚本賞を受賞した3月公開『教皇選挙』は全国106館で上映がスタート、週末映画ランキングでも8週連続でトップ10入り。さらに5月には、物語の題材にもなったコンクラーベ(教皇選挙)が行われ、国内外で映画へ関心が高まり、作品評に加え、現実世界とシンクロする形でヒットを牽引し、最終的には興行収入が10億円超え。なお、初動110館以下の外国映画で興収10億円突破したのは『英国王のスピーチ』(11)『最強のふたり』(12)の2作のみで、13年ぶりの快挙とのことです。

(C) Universal Studios. All Rights Reserved.

3月公開『ウィキッド ふたりの魔女』と5月公開『マインクラフト ザ・ムービー』は共に30億円超えの大ヒットを記録。シリーズ化されている映画ではなく、特に前者はミュージカルや長尺という要素から、大ヒットは嬉しい驚きでした。
フランチャイズムービーの5月公開『ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング』と8月『ジュラシック・ワールド 復活の大地』は50億円前後の成績。
現在『ズートピア2』が4週連続で1位、80億円を突破していますので、26年公開のディズニー配給作品や外国映画の追い風になることを期待したいです。
また、1月公開『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』は公開3ヶ月で興行収入4億円を超え、長期間にわたり話題に。韓国、インド映画に続き、香港映画ブームが再来しそうです。

(C) 2025 MARVEL

一方で、23年まで各スタジオで大量製作されてきたアメコミのヒーロー映画は2月『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』、5月『サンダーボルツ』、7月『ヘルボーイ/ザ・クルキッドマン』『スーパーマン』『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』と少なかった心象です。
ほとんどの作品が10億円を超えるか超えないかの成績で日本では横ばい。世界マーケット上でも人気の落ち着きはある状況ですが、26年は7月24日『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』と12月18日『アベンジャーズ/ドゥームズデイ』が公開予定なので『アベンジャーズ/エンドゲーム』(19)時代の盛り上がりを楽しみにしています。
 

(C)2025 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED.

24年12月にクリント・イーストウッド監督の最新作『陪審員2番』が日本で劇場公開されずにU-NEXT独占配信になったことが話題になりましたが、25年も『M3GAN/ミーガン2.0』突如公開中止になったりと、映画ファンをざわつかせる出来事がありました。
6月公開『F1(R) エフワン』のように、テック企業であるアップルも製作し、日本では20億円突破と、興行的にも成功した作品もありますが、ワーナー・ブラザース・ディスカバリーの件もありますので、北米での興行不振や日本での興行が期待できない作品は、劇場公開が見送られるのか、外国映画ファンや興行関係者はソワソワする時期を迎えそうです。

矢武兄輔

まちのえいが屋さん/キャプテン・ポップコーン

20歳の1月。札幌映画サークルに入会直後、さぬき映画祭への参加で『踊る大捜査線』の製作陣や深田晃司監督と出逢い、映画界の現実や地方から発信するエンタメの可能性を知る。そこから「映画館へ行く人を増やす」という目標を持ち、カネゴンを呼んでみたり、学生向け媒体をつくったり、休学して東京国際映画祭で勤務、映画館へ就職→退職→「矢武企画」を起業からの今は某局でラジオDJ。 すべては『踊る』の完結が始まりだった。そして、踊るプロジェクト再始動と共に…! ということで、皆さんにとって映画がもっと近くなれますように。

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