(C)2026映画「90メートル」製作委員会
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2026.3.11

映画『90メートル』レビュー|菅野美穂と山時聡真が体現する、近くて遠い親子の距離。涙でスクリーンが滲む静かな衝撃作

2026年3月27日(金)公開の『90メートル』は、病を抱える母と、その支えとなる高校生の息子を描いた親子の物語です。介護と青春のはざまで揺れる少年と、息子の未来を想いながらも葛藤を抱える母。2人は同じ屋根の下にいる。それでも、届かない声があります。「90メートル」という数字が示すものとは何なのか。物語は、やがてその距離の正体を静かに明らかにしていきます。

ヤングケアラーという現実

映画『90メートル』レビュー|菅野美穂と山時聡真、西野七瀬

(C)2026映画「90メートル」製作委員会

物語の中心にいるのは、高校生の息子・佑(山時聡真)。難病を抱える母・美咲(菅野美穂)を支えるため、大好きだったバスケットボールをやめる決断をします。部活動、友人との時間、将来への夢。本来なら当たり前にあるはずの青春の一部が、失われていく日々。

介護は右も左もわからない状態からのスタート。介護ヘルパーの支援を受けながらも、心の孤独は簡単には埋まりません。友人に打ち明けることもできず、胸の奥にたまっていくわだかまり。思春期特有の葛藤に、介護という重圧が重なります。

本作はひとりの少年の日常を通して、ヤングケアラーの現実を映し出す物語。そのさりげなさが、かえって胸に刺さります。

母の願いと矛盾が観る者の心を切なくさせる

美咲は、佑に自分の人生を生きてほしいと願っています。けれど同時に、できるならずっと一緒にいたいという思いも抱えている。その矛盾した感情が、とても人間らしい。難病と向き合う苦しみは計り知れません。それでも彼女が最も気にかけているのは、息子の未来。弱さを見せながらも、最後まで母であり続けようとする姿に胸を打たれます。

主演の菅野美穂は、言葉が少しずつ不自由になっていく役柄を繊細に表現。発せられる言葉の1つひとつが、まるで願いのように響きます。声のかすれ、ほんのわずかな間の取り方。そのわずかな表現だけで揺れる心情を伝える演技。圧倒的な存在感。
映画『90メートル』レビュー|菅野美穂

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息子の成長と、越えていく距離。涙なしには語れない親子の愛

映画『90メートル』レビュー|菅野美穂と山時聡真

(C)2026映画「90メートル」製作委員会

佑を演じた山時聡真の演技も見事です。美咲に向ける目線の変化だけで、心の揺れが伝わってきました。最初はどこか突き放すような態度やぶっきらぼうな返事を繰り返しますが、その裏にあるのは、戸惑いと不安、そして言葉にできない愛情です。

特に印象的なのは、自分の進路について美咲と向き合う場面。ベッドの下でうずくまり、視線を落としたまま言葉を絞り出す姿です。感情を爆発させるのではなく、抑え込んだ感情を静かににじませることで、少年の未熟さと優しさが同時に浮かび上がります。あの小さく丸まった背中には、これまで抱え込んできた葛藤が凝縮されていました。
介護のために失われた時間。しかし佑はやがて、美咲がこれまで自分に注いできた時間の重みに気づいていきます。奪われたものだけでなく、与えられていたものにも目を向けられるようになる。その変化こそが、この物語の核心です。

そして終盤。佑はようやく、自分の想いを美咲に伝えます。ためらいながらも、真正面から言葉を差し出す。その頭をやさしくなでる美咲の手が、2人の距離の変化を静かに物語っていました。
映画『90メートル』レビュー|菅野美穂

(C)2026映画「90メートル」製作委員会

『90メートル』が問いかける、本当の距離。

映画『90メートル』レビュー|山時聡真と西野七瀬

(C)2026映画「90メートル」製作委員会

本作はたしかに、涙なくしては観られません。けれどそれは、ただ悲しいからではなく、感情が“届きそうで届かない瞬間”を何度も目撃するからです。

タイトルの「90メートル」という数字には、この物語を象徴する意味が込められています。その距離が示すものに気づいた時、母と息子の関係がより深く胸に響きます。
同じ屋根の下にいても、言葉にできないことがある。優しさゆえに飲み込んでしまう想いもある。守りたい気持ちが、かえって沈黙を選ばせてしまうこともあります。本作が映し出すのは、離れているから遠いのではなく、近くにいるからこそ見えなくなる心の距離。その距離は、数歩で埋まるはずなのに、ためらいひとつで途方もなく伸びてしまう。

観終えたあと、自分と家族の距離をふと考えさせられます。いま隣にいる人の声は、きちんと届いているのか。こちらの想いは、伝わっているのか。『90メートル』は、親子の再生と自立を描いた、胸に長く残る物語。
映画『90メートル』レビュー|菅野美穂と山時聡真

(C)2026映画「90メートル」製作委員会

映画『90メートル』基本情報

映画『90メートル』レビュー|ポスター

(C)2026映画「90メートル」製作委員会

■公開日:2026年3月27日(金)

■出演:山時聡真、菅野美穂
南琴奈、田中偉登/西野七瀬
荻野みかん、朝井大智、藤本沙紀、オラキオ
金澤美穂、市原茉莉、少路勇介

■監督・脚本:中川駿

■公式HP:https://movie90m.com/
 

ヤングケアラーという現実

映画『90メートル』レビュー|菅野美穂と山時聡真、西野七瀬

(C)2026映画「90メートル」製作委員会

物語の中心にいるのは、高校生の息子・佑(山時聡真)。難病を抱える母・美咲(菅野美穂)を支えるため、大好きだったバスケットボールをやめる決断をします。部活動、友人との時間、将来への夢。本来なら当たり前にあるはずの青春の一部が、失われていく日々。

介護は右も左もわからない状態からのスタート。介護ヘルパーの支援を受けながらも、心の孤独は簡単には埋まりません。友人に打ち明けることもできず、胸の奥にたまっていくわだかまり。思春期特有の葛藤に、介護という重圧が重なります。

本作はひとりの少年の日常を通して、ヤングケアラーの現実を映し出す物語。そのさりげなさが、かえって胸に刺さります。

母の願いと矛盾が観る者の心を切なくさせる

映画『90メートル』レビュー|菅野美穂

(C)2026映画「90メートル」製作委員会

美咲は、佑に自分の人生を生きてほしいと願っています。けれど同時に、できるならずっと一緒にいたいという思いも抱えている。その矛盾した感情が、とても人間らしい。難病と向き合う苦しみは計り知れません。それでも彼女が最も気にかけているのは、息子の未来。弱さを見せながらも、最後まで母であり続けようとする姿に胸を打たれます。

主演の菅野美穂は、言葉が少しずつ不自由になっていく役柄を繊細に表現。発せられる言葉の1つひとつが、まるで願いのように響きます。声のかすれ、ほんのわずかな間の取り方。そのわずかな表現だけで揺れる心情を伝える演技。圧倒的な存在感。

息子の成長と、越えていく距離。涙なしには語れない親子の愛

映画『90メートル』レビュー|菅野美穂と山時聡真

(C)2026映画「90メートル」製作委員会

佑を演じた山時聡真の演技も見事です。美咲に向ける目線の変化だけで、心の揺れが伝わってきました。最初はどこか突き放すような態度やぶっきらぼうな返事を繰り返しますが、その裏にあるのは、戸惑いと不安、そして言葉にできない愛情です。

特に印象的なのは、自分の進路について美咲と向き合う場面。ベッドの下でうずくまり、視線を落としたまま言葉を絞り出す姿です。感情を爆発させるのではなく、抑え込んだ感情を静かににじませることで、少年の未熟さと優しさが同時に浮かび上がります。あの小さく丸まった背中には、これまで抱え込んできた葛藤が凝縮されていました。
映画『90メートル』レビュー|菅野美穂

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介護のために失われた時間。しかし佑はやがて、美咲がこれまで自分に注いできた時間の重みに気づいていきます。奪われたものだけでなく、与えられていたものにも目を向けられるようになる。その変化こそが、この物語の核心です。

そして終盤。佑はようやく、自分の想いを美咲に伝えます。ためらいながらも、真正面から言葉を差し出す。その頭をやさしくなでる美咲の手が、2人の距離の変化を静かに物語っていました。

『90メートル』が問いかける、本当の距離。

映画『90メートル』レビュー|山時聡真と西野七瀬

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本作はたしかに、涙なくしては観られません。けれどそれは、ただ悲しいからではなく、感情が“届きそうで届かない瞬間”を何度も目撃するからです。

タイトルの「90メートル」という数字には、この物語を象徴する意味が込められています。その距離が示すものに気づいた時、母と息子の関係がより深く胸に響きます。
映画『90メートル』レビュー|菅野美穂と山時聡真

(C)2026映画「90メートル」製作委員会

同じ屋根の下にいても、言葉にできないことがある。優しさゆえに飲み込んでしまう想いもある。守りたい気持ちが、かえって沈黙を選ばせてしまうこともあります。本作が映し出すのは、離れているから遠いのではなく、近くにいるからこそ見えなくなる心の距離。その距離は、数歩で埋まるはずなのに、ためらいひとつで途方もなく伸びてしまう。

観終えたあと、自分と家族の距離をふと考えさせられます。いま隣にいる人の声は、きちんと届いているのか。こちらの想いは、伝わっているのか。『90メートル』は、親子の再生と自立を描いた、胸に長く残る物語。

映画『90メートル』基本情報

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■公開日:2026年3月27日(金)

■出演:山時聡真、菅野美穂
南琴奈、田中偉登/西野七瀬
荻野みかん、朝井大智、藤本沙紀、オラキオ
金澤美穂、市原茉莉、少路勇介

■監督・脚本:中川駿

■公式HP:https://movie90m.com/
 

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