2026.4.4

映画を届けるためには「自分たちの祭り」にすることが重要 『プペル』最新作、西野亮廣さんインタビュー

毎週・木曜日の25:30から北海道・札幌のFM NORTH WAVE(JFL系)で放送されている、矢武企画制作・映画系トーク番組「キャプテン・ポップコーン」の内容をSASARU movieでも配信!
キャプテン・ポップコーンこと矢武企画・矢武兄輔が、映画の情報はもちろん、映画に関係するまちの情報、映画がもっと近くなる内容をお届けします。

※この記事では映画系トーク番組「キャプテン・ポップコーン」3月26日(木)の放送内容をお届けしています。

『映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~』作品情報


(C)西野亮廣/「映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~」製作委員会

絵本から映画、ミュージカル、歌舞伎へと広がる「プペル」ワールド。ひとつの物語が多様な形で支持され続ける理由とは何か。絶賛公開中の『映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~』より、製作総指揮・原作・脚本の西野亮廣さんにその原動力を伺いました。放送ではやむを得ずカットされた内容も含め、ディレクターズカット版としてお届けします。

『映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~』

親友のゴミ人間・プペルを失った少年ルビッチは、時を支配する異世界「千年砦」に迷い込む。そこには、壊れていないのに“11時59分”で止まっている不思議な時計台があった。ルビッチは元の世界に戻るため、新たな相棒の異世界ネコ・モフと共に止まった時計台の謎を追う中、約束を信じ待つ人々と出会う。もう1度“信じる勇気”を取り戻したとき、ハロウィンの夜に奇跡が起こる冒険ファンタジー。

前作同様、製作総指揮・原作・脚本を西野亮廣さん、監督を廣田裕介さん、アニメーション制作をSTUDIO4℃が担当。

 

ヒットを生み出す原動力は?

矢武:早速ですが、『えんとつ町のプペル』という作品を拝見していて感じるのが、ひとつの物語をさまざまな形に展開し、それぞれでヒットを生み出している点です。その原動力はどこにあるのでしょうか??

西野:特別なノウハウがあるわけではありません。本当に行き当たりばったりで、意地で続けてきたというのが正直なところです。絵本であれば手売りで届け、映画であれば前売り券を直接販売する。そうした積み重ねで広げてきました。明確な戦略があったわけではありません。

(C)西野亮廣/「映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~」製作委員会


(C)西野亮廣/「映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~」製作委員会

矢武:いわゆるメディアミックスの展開ですよね。同じ題材でも、作品ごとにクリエイティブが進化している印象があります。そうした点での苦労はありましたか??

西野:メディアを移動する際に、ひとつ徹底していることがあります。それは“コピペ禁止”です。絵本の絵をそのまま映画に使うことも、映画のビジュアルを舞台に流用することも行いません。例えば、アニメーション作品を舞台化したとき、キャラクターのデフォルメをそのまま再現すると違和感が生まれることがあります。アニメーションでは成立していた表現でも、舞台では別の意味を持ってしまう。だからこそ、本質だけを抽出し、そのメディアに適した形で再構築する必要があると考えています。
西野:これは苦労でもありますが、その分、作品として受け入れてもらえる理由にもなっていると思います。例えばルビッチは、絵本や映画ではシルクハットをかぶっていますが、舞台では変更しています。3階席から見ると帽子のつばで顔が隠れてしまい、表現として成立しないためです。衣装やビジュアルはすべて1から設計し直します。それでも“ルビッチらしさ”をどう表現するかを毎回考える。その繰り返しです。

矢武:確かに、同じビジュアルだけで展開されるグッズなどを見ると、物足りなさを感じることもあります。「ああ、この画像しか使用許諾されてないのね」って。

(C)西野亮廣/「映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~」製作委員会


(C)西野亮廣/「映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~」製作委員会

西野:まさにそこだと思います。制約がある中で、どうすればファンに新しい驚きを届けられるか。それを考えること自体が仕事だと思っています。そうした積み重ねがIP(知的財産)への信頼につながり、「このチームが作るなら間違いない」と思っていただける。その信頼関係があるからこそ、絵本から映画、ミュージカル、さらに別のメディアへと広がっていくのだと思います。

物語の元ネタは「20代の頃の実体験」と長針と短針が重ならない時間帯

矢武:今回の新作では映画祭にも参加されていますよね。前作の上海などアジア圏に加え、今回はベルリン国際映画祭にも出品されていますが、現地での反応に変化はありましたか??

西野:ベルリンには先日行ってきましたが、反応は非常に良かったです。上映中に歓声が上がったり、拍手が起こったりと、分かりやすいリアクションがありました。今回の作品はタイトルに、続編であるという意味の「2」と付けていませんが、実際には前作から1年後の世界を描いた続編です。ベルリンの観客の多くは前作を観ていない状態だったと思いますが、それでもしっかり反応が返ってきたというのは、大きな手応えになりました。

(C)西野亮廣/「映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~」製作委員会


(C)西野亮廣/「映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~」製作委員会

矢武:今作は実体験がもとになっていると伺いました。西野さんご自身のどのような経験や感情が、物語に込められているのでしょうか??

西野:大きく2つあります。ひとつは、キングコングとしての過去の出来事です。僕らはデビューが早く、実力も伴わないまま多くの仕事をいただいていました。ただ、結果を出せない中で、相方の梶原君が精神的に追い込まれ、失踪してしまったことがありました。数日後に見つかったものの、会話ができる状態ではなく、活動は無期限停止に。そのとき、キングコングの“時計の針”が止まったような感覚がありました。
西野:しばらくして、吉本興業から「ひとりで活動するか」という提案もありましたが、もしそこでうまくいってしまったら、梶原君が戻る場所がなくなる。それだけは避けたいと思い、「待つ」と決断しました。振り返ると、あの瞬間が人生で最も覚悟を要した選択だったと思います。そして「待つ」という行為は、何もしないことではなく、相手を信じ抜くことだと実感しました。帰ってこないかもしれない相手を信じる。その行為自体が、大きな“冒険”になると感じ、この物語につながっています。

(C)西野亮廣/「映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~」製作委員会


(C)西野亮廣/「映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~」製作委員会

西野:もうひとつは、身の回りにあるものに物語を宿せたら面白いのではないか、という発想です。例えば煙突を見てサンタクロースを想像するように、日常の中にあるものが物語によって豊かになる。その延長で「時計」に目を向けました。時計は毎日必ず見るものですし、そこに物語があれば日常が楽しくなる。そう思って観察していると、長針と短針は1日の中で何度も重なりますが、11時台だけは重ならないんです。次に重なるのは12時、鐘が鳴る瞬間。その直前には“重ならない時間”がある。その構造が、どこか人生のようにも感じられて、とてもドラマチックだと思いました。
西野:さらに調べると、時計の針は英語で“needle”かと思っていたら“hand”と言うことを知りました。2つの“手”が重なった瞬間に鐘が鳴る。まるでハイタッチのようで、それだけで物語になると感じました。このロマンを形にしないわけにはいかない。そうして、時計を軸にしたファンタジーが生まれました。

(C)西野亮廣/「映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~」製作委員会

ムビチケを地球で1番手売りする!自分たちの祭りに!


(C)西野亮廣/「映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~」製作委員会

矢武:重なると言えば、ファンとのコミュニケーションも非常に密に行われていますよね。中でも「玄関プペル」は象徴的な取り組みだと感じています。全国何か所くらい回られますか??

西野:手売りもしていますが、オンラインでチケットをまとめて購入してくださった方のもとへ、直接届けに行く取り組みです。全国で何百カ所も回っていて、離島にも足を運びました。船で移動して、インターホンを押して「西野です」と名乗る。そうすると、ご家族や親戚の方が集まってくださることも多く、その場で作品を応援していただけるようになります。この“地上戦”が、今はとても重要だと感じています。
矢武:これまでで1番移動が大変だった場所はどこになりますか。

西野:やはり離島ですね。沖縄や鹿児島の離島は、飛行機に乗って1度で辿り着けない場所も多く、陸路しかない場所が多いため大変です。九州の島原なども時間がかかりました。


 

(C)西野亮廣/「映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~」製作委員会

矢武:北海道も陸路しかない地方は多いですよね。

西野:そうなんです。根室や釧路のエリアは、中標津空港からさらに車で2〜3時間かかることもあります。

矢武:仕事で別海町によく行くのですが、あのあたりは本当に距離があり、空港からも高速道路がないため、移動に時間がかかります。場合によっては、車で東京から大阪へ向かうほうが早いかもしれません(笑)。
西野:いまは、単に宣伝でビジュアルを露出するだけでは映画は届きにくい時代です。「誰かの作品」ではなく、「自分たちの祭り」として受け取ってもらえるかどうかが重要だと思います。そのためには、直接会って、手渡して、関係を築くしかない。だからこそ、自分の中で「地球で1番手売りする映画関係者になる」と決めました。10年ぐらい映画の仕事をやられていて、いまの「映画宣伝」の仕方をどう思いますか?

矢武:確かに、映画1本1本を大切にできていないと感じる場面もあります。宣伝がルーティンになっていて。お客さんにバレていると思いますよ、誤魔化しても隠せない、いまはSNSとかあるから。やはり「正直ベース」も大切だと思います。片面で見たら、ネガティブだけど、意外と受け入れて観てくれることもあると思うんですよね。

西野:そう思います。どれだけ広告で取り繕っても、その姿勢は伝わってしまう。だからこそ、正直に、真正面から届けることが大切だと感じています。

(C)西野亮廣/「映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~」製作委員会

矢武:最後に、前作から5年を経て制作された本作ですが、『映画 えんとつ町のプ
ペル 〜約束の時計台〜』を通じて届けたいメッセージを教えてください。

西野:テーマは「待つ」ということです。実は前作も、自分自身の経験がベースになっていました。当時は、自分を信じて挑戦し続けること。その強さを描いていたと思います。ただ本作では、それ以上に難しいテーマに向き合いました。それが「相手を信じる」ということです。自分を信じるよりも、誰かを信じるほうが、はるかに難しい。例えば、帰ってこないかもしれない相手を信じて待つこと。あるいは子育ての中で、失敗すると分かっていても口を出さず、見守ること。簡単ではありませんが、相手を信じるからこそできる行為だと思います。そうした“待つ”という選択は、大きな挑戦でもあります。今、何かに挑戦している方や、誰かを信じて踏みとどまっている方に向けて、エールを届けたい。そうした思いで、この映画を作りました。

『映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~』(G)は、札幌シネマフロンティア、ローソン・ユナイテッドシネマ札幌、TOHOシネマズ すすきののほか、旭川、江別、小樽、北見、釧路、函館、帯広、苫小牧で3月27日(金)から絶賛公開中です。

 

映画系トーク番組「キャプテン・ポップコーン」

映画系トーク番組「キャプテン・ポップコーン」は、北海道外にお住まいの方、もしくは聴き逃した方でも、インターネットで聴けるradikoで一定期間は聴取することが可能です。
この記事では3月26日(木)に放送した番組内容をお届けしています。進行台本と放送内容を基に記事を作成しています。そのため、実際の放送内容とは違う表現・補足(話し言葉と書き言葉等)並びに、放送ではカットされた内容を含む場合がございます。 また、公開される映画館名や作品情報、イベントは上記日程の放送または収録時点のものになりますのでご留意ください。

【提供】キャプテン・ポップコーン/矢武企画

『映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~』作品情報


(C)西野亮廣/「映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~」製作委員会

絵本から映画、ミュージカル、歌舞伎へと広がる「プペル」ワールド。ひとつの物語が多様な形で支持され続ける理由とは何か。絶賛公開中の『映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~』より、製作総指揮・原作・脚本の西野亮廣さんにその原動力を伺いました。放送ではやむを得ずカットされた内容も含め、ディレクターズカット版としてお届けします。

『映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~』

親友のゴミ人間・プペルを失った少年ルビッチは、時を支配する異世界「千年砦」に迷い込む。そこには、壊れていないのに“11時59分”で止まっている不思議な時計台があった。ルビッチは元の世界に戻るため、新たな相棒の異世界ネコ・モフと共に止まった時計台の謎を追う中、約束を信じ待つ人々と出会う。もう1度“信じる勇気”を取り戻したとき、ハロウィンの夜に奇跡が起こる冒険ファンタジー。

前作同様、製作総指揮・原作・脚本を西野亮廣さん、監督を廣田裕介さん、アニメーション制作をSTUDIO4℃が担当。

 

ヒットを生み出す原動力は?


(C)西野亮廣/「映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~」製作委員会

矢武:早速ですが、『えんとつ町のプペル』という作品を拝見していて感じるのが、ひとつの物語をさまざまな形に展開し、それぞれでヒットを生み出している点です。その原動力はどこにあるのでしょうか??

西野:特別なノウハウがあるわけではありません。本当に行き当たりばったりで、意地で続けてきたというのが正直なところです。絵本であれば手売りで届け、映画であれば前売り券を直接販売する。そうした積み重ねで広げてきました。明確な戦略があったわけではありません。

(C)西野亮廣/「映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~」製作委員会

矢武:いわゆるメディアミックスの展開ですよね。同じ題材でも、作品ごとにクリエイティブが進化している印象があります。そうした点での苦労はありましたか??

西野:メディアを移動する際に、ひとつ徹底していることがあります。それは“コピペ禁止”です。絵本の絵をそのまま映画に使うことも、映画のビジュアルを舞台に流用することも行いません。例えば、アニメーション作品を舞台化したとき、キャラクターのデフォルメをそのまま再現すると違和感が生まれることがあります。アニメーションでは成立していた表現でも、舞台では別の意味を持ってしまう。だからこそ、本質だけを抽出し、そのメディアに適した形で再構築する必要があると考えています。

(C)西野亮廣/「映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~」製作委員会

西野:これは苦労でもありますが、その分、作品として受け入れてもらえる理由にもなっていると思います。例えばルビッチは、絵本や映画ではシルクハットをかぶっていますが、舞台では変更しています。3階席から見ると帽子のつばで顔が隠れてしまい、表現として成立しないためです。衣装やビジュアルはすべて1から設計し直します。それでも“ルビッチらしさ”をどう表現するかを毎回考える。その繰り返しです。

矢武:確かに、同じビジュアルだけで展開されるグッズなどを見ると、物足りなさを感じることもあります。「ああ、この画像しか使用許諾されてないのね」って。

(C)西野亮廣/「映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~」製作委員会

西野:まさにそこだと思います。制約がある中で、どうすればファンに新しい驚きを届けられるか。それを考えること自体が仕事だと思っています。そうした積み重ねがIP(知的財産)への信頼につながり、「このチームが作るなら間違いない」と思っていただける。その信頼関係があるからこそ、絵本から映画、ミュージカル、さらに別のメディアへと広がっていくのだと思います。

物語の元ネタは「20代の頃の実体験」と長針と短針が重ならない時間帯


(C)西野亮廣/「映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~」製作委員会

矢武:今回の新作では映画祭にも参加されていますよね。前作の上海などアジア圏に加え、今回はベルリン国際映画祭にも出品されていますが、現地での反応に変化はありましたか??

西野:ベルリンには先日行ってきましたが、反応は非常に良かったです。上映中に歓声が上がったり、拍手が起こったりと、分かりやすいリアクションがありました。今回の作品はタイトルに、続編であるという意味の「2」と付けていませんが、実際には前作から1年後の世界を描いた続編です。ベルリンの観客の多くは前作を観ていない状態だったと思いますが、それでもしっかり反応が返ってきたというのは、大きな手応えになりました。

(C)西野亮廣/「映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~」製作委員会

矢武:今作は実体験がもとになっていると伺いました。西野さんご自身のどのような経験や感情が、物語に込められているのでしょうか??

西野:大きく2つあります。ひとつは、キングコングとしての過去の出来事です。僕らはデビューが早く、実力も伴わないまま多くの仕事をいただいていました。ただ、結果を出せない中で、相方の梶原君が精神的に追い込まれ、失踪してしまったことがありました。数日後に見つかったものの、会話ができる状態ではなく、活動は無期限停止に。そのとき、キングコングの“時計の針”が止まったような感覚がありました。

(C)西野亮廣/「映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~」製作委員会

西野:しばらくして、吉本興業から「ひとりで活動するか」という提案もありましたが、もしそこでうまくいってしまったら、梶原君が戻る場所がなくなる。それだけは避けたいと思い、「待つ」と決断しました。振り返ると、あの瞬間が人生で最も覚悟を要した選択だったと思います。そして「待つ」という行為は、何もしないことではなく、相手を信じ抜くことだと実感しました。帰ってこないかもしれない相手を信じる。その行為自体が、大きな“冒険”になると感じ、この物語につながっています。

(C)西野亮廣/「映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~」製作委員会

西野:もうひとつは、身の回りにあるものに物語を宿せたら面白いのではないか、という発想です。例えば煙突を見てサンタクロースを想像するように、日常の中にあるものが物語によって豊かになる。その延長で「時計」に目を向けました。時計は毎日必ず見るものですし、そこに物語があれば日常が楽しくなる。そう思って観察していると、長針と短針は1日の中で何度も重なりますが、11時台だけは重ならないんです。次に重なるのは12時、鐘が鳴る瞬間。その直前には“重ならない時間”がある。その構造が、どこか人生のようにも感じられて、とてもドラマチックだと思いました。

(C)西野亮廣/「映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~」製作委員会

西野:さらに調べると、時計の針は英語で“needle”かと思っていたら“hand”と言うことを知りました。2つの“手”が重なった瞬間に鐘が鳴る。まるでハイタッチのようで、それだけで物語になると感じました。このロマンを形にしないわけにはいかない。そうして、時計を軸にしたファンタジーが生まれました。

ムビチケを地球で1番手売りする!自分たちの祭りに!


(C)西野亮廣/「映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~」製作委員会

矢武:重なると言えば、ファンとのコミュニケーションも非常に密に行われていますよね。中でも「玄関プペル」は象徴的な取り組みだと感じています。全国何か所くらい回られますか??

西野:手売りもしていますが、オンラインでチケットをまとめて購入してくださった方のもとへ、直接届けに行く取り組みです。全国で何百カ所も回っていて、離島にも足を運びました。船で移動して、インターホンを押して「西野です」と名乗る。そうすると、ご家族や親戚の方が集まってくださることも多く、その場で作品を応援していただけるようになります。この“地上戦”が、今はとても重要だと感じています。
矢武:これまでで1番移動が大変だった場所はどこになりますか。

西野:やはり離島ですね。沖縄や鹿児島の離島は、飛行機に乗って1度で辿り着けない場所も多く、陸路しかない場所が多いため大変です。九州の島原なども時間がかかりました。


 

(C)西野亮廣/「映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~」製作委員会

矢武:北海道も陸路しかない地方は多いですよね。

西野:そうなんです。根室や釧路のエリアは、中標津空港からさらに車で2〜3時間かかることもあります。

矢武:仕事で別海町によく行くのですが、あのあたりは本当に距離があり、空港からも高速道路がないため、移動に時間がかかります。場合によっては、車で東京から大阪へ向かうほうが早いかもしれません(笑)。

(C)西野亮廣/「映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~」製作委員会

西野:いまは、単に宣伝でビジュアルを露出するだけでは映画は届きにくい時代です。「誰かの作品」ではなく、「自分たちの祭り」として受け取ってもらえるかどうかが重要だと思います。そのためには、直接会って、手渡して、関係を築くしかない。だからこそ、自分の中で「地球で1番手売りする映画関係者になる」と決めました。10年ぐらい映画の仕事をやられていて、いまの「映画宣伝」の仕方をどう思いますか?

矢武:確かに、映画1本1本を大切にできていないと感じる場面もあります。宣伝がルーティンになっていて。お客さんにバレていると思いますよ、誤魔化しても隠せない、いまはSNSとかあるから。やはり「正直ベース」も大切だと思います。片面で見たら、ネガティブだけど、意外と受け入れて観てくれることもあると思うんですよね。

西野:そう思います。どれだけ広告で取り繕っても、その姿勢は伝わってしまう。だからこそ、正直に、真正面から届けることが大切だと感じています。
矢武:最後に、前作から5年を経て制作された本作ですが、『映画 えんとつ町のプ
ペル 〜約束の時計台〜』を通じて届けたいメッセージを教えてください。

西野:テーマは「待つ」ということです。実は前作も、自分自身の経験がベースになっていました。当時は、自分を信じて挑戦し続けること。その強さを描いていたと思います。ただ本作では、それ以上に難しいテーマに向き合いました。それが「相手を信じる」ということです。自分を信じるよりも、誰かを信じるほうが、はるかに難しい。例えば、帰ってこないかもしれない相手を信じて待つこと。あるいは子育ての中で、失敗すると分かっていても口を出さず、見守ること。簡単ではありませんが、相手を信じるからこそできる行為だと思います。そうした“待つ”という選択は、大きな挑戦でもあります。今、何かに挑戦している方や、誰かを信じて踏みとどまっている方に向けて、エールを届けたい。そうした思いで、この映画を作りました。

『映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~』(G)は、札幌シネマフロンティア、ローソン・ユナイテッドシネマ札幌、TOHOシネマズ すすきののほか、旭川、江別、小樽、北見、釧路、函館、帯広、苫小牧で3月27日(金)から絶賛公開中です。

 

映画系トーク番組「キャプテン・ポップコーン」

映画系トーク番組「キャプテン・ポップコーン」は、北海道外にお住まいの方、もしくは聴き逃した方でも、インターネットで聴けるradikoで一定期間は聴取することが可能です。
この記事では3月26日(木)に放送した番組内容をお届けしています。進行台本と放送内容を基に記事を作成しています。そのため、実際の放送内容とは違う表現・補足(話し言葉と書き言葉等)並びに、放送ではカットされた内容を含む場合がございます。 また、公開される映画館名や作品情報、イベントは上記日程の放送または収録時点のものになりますのでご留意ください。

【提供】キャプテン・ポップコーン/矢武企画

キャプテン・ポップコーン

映画専門ラジオ番組

キャプテン・ポップコーンは、エフエムノースウェーブで毎週木曜日深夜1時半から放送するラジオ番組です。北海道・札幌で映画のお仕事に従事する「まちのえいが屋さん・矢武企画」が気になった映画の情報、映画に関係したまちの情報、そして、映画がもっと近くなるようなお話をお届けします。映画がはじける、映画で踊る夜、きょうも映画と、コミュニケーションしていきましょう!

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