(C)2024 Head Office Film Limited All Rights Reserved.
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2026.7.27

ロマンス詐欺から始まった関係に芽生える想い――札幌の街が映し出す大人の恋|映画『ラブ・ライズ』レビュー

9月4日(金)より全国順次公開される映画『ラブ・ライズ』は、香港と札幌を舞台に描かれる、大人のための“恋と詐欺”の物語です。

主人公は、夫を亡くした過去を抱える52歳の産婦人科医ベロニカ。彼女がマッチングアプリで出会うのは、「フランス人石油技師」と偽る26歳の青年ジョーです。もちろん、ロマンス詐欺は犯罪です。けれど本作が描くのは、単純に「騙す側」と「騙される側」だけでは割り切れない、嘘の中に生まれてしまった感情の揺らぎでした。

固い表情がほどけていく、ベロニカの魅力


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本作で何より印象に残るのは、ベロニカという女性の魅力です。
最初の彼女は、夫と死別した喪失感を抱えながら、産婦人科医として日々を淡々と過ごしています。心にぽっかりと穴が空いたようで、表情もどこか固く、ストレスを内側にため込んでいるように見えます。そんなベロニカが、マッチングアプリで“アラン”と名乗るジョーと出会い、少しずつ変わっていく。その変化がとてもチャーミングです。

彼を心配する顔。彼の言葉に胸を弾ませる顔。メッセージを受け取った瞬間に、喜びがこぼれ出てしまう表情。大人の女性でありながら、恋をした瞬間に少女のような輝きを取り戻していくベロニカが、とてもキュートに映ります。

会えない、話せない。それでも温度が上がっていく

直接会わないまま深まっていく恋——そこに本作の面白さがあります。

ジョーは「フランス人石油技師」と偽っているため、電話で話すこともできません。2人をつなぐのは、マッチングアプリ上の文字のやり取りだけです。それでも、短いメッセージの積み重ねの中で、少しずつ言葉に温度が宿っていきます。最初は仕事としてベロニカに近づいていたジョーも、やがて彼女の孤独や痛みに触れ、ただのターゲットとして見られなくなっていきます。
 

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年齢も立場も、暮らしている世界もまったく違う2人。しかも、その関係は嘘から始まっています。それでも観ているうちに、「これは確かに恋だったのではないか」と思えてくるのです。

ベロニカが口にする「愛は信じれば本物よ」という言葉は、この映画の核心を静かに突いています。嘘から始まった関係であっても、彼女が感じた喜びやときめきまで偽物だったわけではない。その思いが、このひと言に凝縮されています。

詐欺団の描写にある、コミカルな面白さ

ジョーが所属する国際ロマンス詐欺団の描写には、どこかコミカルな面白さがあります。役柄設定、会話のマニュアル、相手の心を動かすための言葉選び。人の感情を利用する行為でありながら、その裏側がどこか滑稽にも描かれることで、作品にテンポと軽やかさが生まれています。

特にジョーは、悪人としてだけでは片づけられない存在です。もちろん彼のしていることは許されるものではありません。けれど、ベロニカを知るほどに罪悪感を抱き、彼女を気にかけるようになっていく姿には、人としての未熟さと優しさが同時に滲んでいます。

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札幌の街が、2人の感情を映し出す


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北海道に住む人にとって、札幌の街が物語の重要な舞台として描かれていることも、本作の大きな見どころです。

ベロニカは、亡き夫と旅した記憶をたどるように、札幌の街をひとりで歩きます。札幌は単なる観光地としてではなく、彼女が過去の喪失と向き合いながら、新しい感情へと踏み出していく場所として映し出されています。

中でも印象的なのが、札幌市電の場面です。街を静かに進む市電の速度は、少しずつ心を開いていくベロニカの変化と重なります。涙を流す彼女を気にかけ、市電の中で眠ってしまった彼女にそっと寄り添うジョー。その姿からは、彼女を、単なる詐欺のターゲットとしては見られなくなっていることが伝わります。
創成川公園では、亡き夫と撮影した写真と同じ構図を見つめるベロニカの姿が描かれます。過去の思い出を抱えた彼女と、少し離れた場所から見守るジョー。過去を忘れるのではなく、その記憶を抱えたまま新しい誰かを思い始める——そんなベロニカの心の揺れが、札幌の風景の中に静かに浮かび上がります。

狸小路商店街、東洋カメラハウス、下町ウルフおさかな店、大通公園、さっぽろテレビ塔など、札幌の見慣れた場所が物語に自然に溶け込んでいるのも、本作ならではの魅力です。

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陽だまりのような映像が、物語を温かく包む

映像のトーンも、本作の魅力を支えています。
画面を包むのは、陽だまりのような柔らかな光。明るさの中にわずかな寂しさを残した映像が、ベロニカの喪失と、新たに芽生える感情の両方を映し出します。ゆったりと流れる時間も、ベロニカとジョーの関係を温かく包み込んでいました。
『ラブ・ライズ』は、人を信じたい気持ち、誰かに想われたいという願い、そして何歳になっても恋をしてしまう心を、ユーモアと優しさを交えて描いた作品です。

嘘から始まった関係は、本物と呼べるのか。
その答えを簡単には決めつけず、信じた時間や、そこで生まれた感情まで偽物になるのかを、観客の胸にそっと残してくれる1本です。

映画『ラブ・ライズ』作品概要

■公開日:9月4日(金)

■北海道の上映劇場:札幌シネマフロンティア

■出演:サンドラ・ン、MCチョン・ティンフー、ステフィー・タン、チャン・ファイホン、エモーション・チョン

■監督・脚本:ホー・ミウケイ

■プロデューサー・脚本:チャン・ヒンガー

■プロデューサー:ジャネット・チョン

■配給・宣伝:サロンジャパン

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固い表情がほどけていく、ベロニカの魅力


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本作で何より印象に残るのは、ベロニカという女性の魅力です。
最初の彼女は、夫と死別した喪失感を抱えながら、産婦人科医として日々を淡々と過ごしています。心にぽっかりと穴が空いたようで、表情もどこか固く、ストレスを内側にため込んでいるように見えます。そんなベロニカが、マッチングアプリで“アラン”と名乗るジョーと出会い、少しずつ変わっていく。その変化がとてもチャーミングです。

彼を心配する顔。彼の言葉に胸を弾ませる顔。メッセージを受け取った瞬間に、喜びがこぼれ出てしまう表情。大人の女性でありながら、恋をした瞬間に少女のような輝きを取り戻していくベロニカが、とてもキュートに映ります。

会えない、話せない。それでも温度が上がっていく


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直接会わないまま深まっていく恋——そこに本作の面白さがあります。

ジョーは「フランス人石油技師」と偽っているため、電話で話すこともできません。2人をつなぐのは、マッチングアプリ上の文字のやり取りだけです。それでも、短いメッセージの積み重ねの中で、少しずつ言葉に温度が宿っていきます。最初は仕事としてベロニカに近づいていたジョーも、やがて彼女の孤独や痛みに触れ、ただのターゲットとして見られなくなっていきます。
 

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年齢も立場も、暮らしている世界もまったく違う2人。しかも、その関係は嘘から始まっています。それでも観ているうちに、「これは確かに恋だったのではないか」と思えてくるのです。

ベロニカが口にする「愛は信じれば本物よ」という言葉は、この映画の核心を静かに突いています。嘘から始まった関係であっても、彼女が感じた喜びやときめきまで偽物だったわけではない。その思いが、このひと言に凝縮されています。

詐欺団の描写にある、コミカルな面白さ


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ジョーが所属する国際ロマンス詐欺団の描写には、どこかコミカルな面白さがあります。役柄設定、会話のマニュアル、相手の心を動かすための言葉選び。人の感情を利用する行為でありながら、その裏側がどこか滑稽にも描かれることで、作品にテンポと軽やかさが生まれています。

特にジョーは、悪人としてだけでは片づけられない存在です。もちろん彼のしていることは許されるものではありません。けれど、ベロニカを知るほどに罪悪感を抱き、彼女を気にかけるようになっていく姿には、人としての未熟さと優しさが同時に滲んでいます。

札幌の街が、2人の感情を映し出す


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北海道に住む人にとって、札幌の街が物語の重要な舞台として描かれていることも、本作の大きな見どころです。

ベロニカは、亡き夫と旅した記憶をたどるように、札幌の街をひとりで歩きます。札幌は単なる観光地としてではなく、彼女が過去の喪失と向き合いながら、新しい感情へと踏み出していく場所として映し出されています。

中でも印象的なのが、札幌市電の場面です。街を静かに進む市電の速度は、少しずつ心を開いていくベロニカの変化と重なります。涙を流す彼女を気にかけ、市電の中で眠ってしまった彼女にそっと寄り添うジョー。その姿からは、彼女を、単なる詐欺のターゲットとしては見られなくなっていることが伝わります。

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創成川公園では、亡き夫と撮影した写真と同じ構図を見つめるベロニカの姿が描かれます。過去の思い出を抱えた彼女と、少し離れた場所から見守るジョー。過去を忘れるのではなく、その記憶を抱えたまま新しい誰かを思い始める——そんなベロニカの心の揺れが、札幌の風景の中に静かに浮かび上がります。

狸小路商店街、東洋カメラハウス、下町ウルフおさかな店、大通公園、さっぽろテレビ塔など、札幌の見慣れた場所が物語に自然に溶け込んでいるのも、本作ならではの魅力です。

陽だまりのような映像が、物語を温かく包む

映像のトーンも、本作の魅力を支えています。
画面を包むのは、陽だまりのような柔らかな光。明るさの中にわずかな寂しさを残した映像が、ベロニカの喪失と、新たに芽生える感情の両方を映し出します。ゆったりと流れる時間も、ベロニカとジョーの関係を温かく包み込んでいました。

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『ラブ・ライズ』は、人を信じたい気持ち、誰かに想われたいという願い、そして何歳になっても恋をしてしまう心を、ユーモアと優しさを交えて描いた作品です。

嘘から始まった関係は、本物と呼べるのか。
その答えを簡単には決めつけず、信じた時間や、そこで生まれた感情まで偽物になるのかを、観客の胸にそっと残してくれる1本です。

映画『ラブ・ライズ』作品概要

■公開日:9月4日(金)

■北海道の上映劇場:札幌シネマフロンティア

■出演:サンドラ・ン、MCチョン・ティンフー、ステフィー・タン、チャン・ファイホン、エモーション・チョン

■監督・脚本:ホー・ミウケイ

■プロデューサー・脚本:チャン・ヒンガー

■プロデューサー:ジャネット・チョン

■配給・宣伝:サロンジャパン

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