2026.9.17

美術館のある町・奈義。PR映画にせず深田監督に見えた地方を等身大で描く カンヌ出品『ナギダイアリー』

毎週・木曜日の25:30から北海道・札幌のFM NORTH WAVE(JFL系)で放送されている、矢武企画制作・映画系トーク番組「キャプテン・ポップコーン」の内容をSASARU movieでも配信!
キャプテン・ポップコーンこと矢武企画・矢武兄輔が、映画の情報はもちろん、映画に関係するまちの情報、映画がもっと近くなる内容をお届けします。地上波「キャプテン・ポップコーン」では放送時間は7分ぐらいですが、「ポッドキャストもキャプテン・ポップコーン」では未放送分も含め25分間のインタビューを9月17日(木)26時に配信されます。

※この記事では映画系トーク番組「キャプテン・ポップコーン」9月10日(木)の放送内容をお届けしています。

 

【前篇】深田監督インタビュー!ご当地PR映画にはしない 監督が描きたかった「等身大の地方」


(C)2026 ナギダイアリー・パートナーズ (スターサンズ/八朔ラボ/ワンダーストラック) / Survivance / Momo Film Co.

2026年9月25日(金)公開の映画『ナギダイアリー』。今回は、キャプテンポップコーンこと矢武兄輔が深田晃司監督にインタビュー!作品の着想や平田オリザさんとのつながり、岡山県奈義町を舞台に映画を作ることになった経緯、地方を描くうえで意識したことについて伺いました。

映画『ナギダイアリー』

自然豊かな町・ナギで創作活動に打ち込む彫刻家の寄子のもとを、東京から建築家の友梨が訪れます。友梨は寄子の弟の元妻で、2人は義理の姉妹でした。寄子は友梨をモデルに彫刻を制作することに。若くして妻を亡くした好浩や、その息子・春樹、春樹の親友・圭太ら、ナギで暮らす人々との時間を重ねるなかで、異なる場所で生きてきた寄子と友梨の再会は、穏やかに町の日常へ小さな揺らぎをもたらしていきます。
 
矢武:今回の映画は、平田オリザさんの「東京ノート」にインスパイアされていると思うんですが、どのような部分が反映されているんですか?

深田:平田オリザさんが、映画の舞台になった奈義町で文化関係の仕事をされていて、そこで「東京ノート」という劇団青年団の代表作を映画化したら面白いんじゃないか、という提案をいただいたんです。「東京ノート」は東京の美術館を舞台にした演劇で、まずは「とりあえず下見に行ってきます」ということで、奈義町の美術館を訪れました。その美術館が、想像以上にすごくいい場所だったんです。メインの展示が荒川修作さんや宮脇愛子さんの空間インスタレーションで、持ち運べるものではなく、そこに行かないと見られない。建築そのものが美術館の作品のようになっているんです。磯崎新さんの建築で、窓からは奈義の山も見える。そこで「ここを東京という設定にするのはもったいないな」と思いました。それなら奈義町を舞台にした、別の新しい映画にしたいと思うようになって、『ナギダイアリー』につながっていきました。

(C)2026 ナギダイアリー・パートナーズ (スターサンズ/八朔ラボ/ワンダーストラック) / Survivance / Momo Film Co.


(C)2026 ナギダイアリー・パートナーズ (スターサンズ/八朔ラボ/ワンダーストラック) / Survivance / Momo Film Co.

矢武:平田オリザさんとは、どんなお話をされたんですか? 劇団青年団にも深田監督が入られているので、いわばBOSSのような存在ですよね。

深田:そうですね。でも、この映画に関しては、ほとんど何も話していないです。ただ、「東京ノート」という作品は自分がとても好きなので、『ナギダイアリー』は原作という形にはしていませんが、自分の中では勝手に続編を作っているような意識があります。「東京ノート」にいろいろとインスパイアされたり、オマージュを捧げたりしている要素は、ちらほらあります。

 
矢武:平田さんとの作品でいうと、『さようなら』(15)ぶりですか?

深田:『さようなら』と『転校生』(25)という作品もあります。高校生向けの難民理解促進のための教材映像で、ドラマ形式で作るというものなんですが、脚本を平田さんが書いて、自分が監督をしました。意外と最近は縁があります。

矢武:上映規模がかなり限定的だったので、結構レアな映画ですよね。

深田:よく把握されていますね(笑)。こういうイベントでしか見られない短編は、結構レアなものが多いです。平田さんが作った『転校生』も、基本的には映像作品ではなく教材用の映像なので、上映する機会がないんです。

(C)2026 ナギダイアリー・パートナーズ (スターサンズ/八朔ラボ/ワンダーストラック) / Survivance / Momo Film Co.


(C)2026 ナギダイアリー・パートナーズ (スターサンズ/八朔ラボ/ワンダーストラック) / Survivance / Momo Film Co.

矢武:実際、奈義町には10年ぐらい定期的に滞在されていたということですが、東京出身・東京育ちの深田監督から見た「地方」は、どんな感じでしたか?

深田:非常に興味深かったです。まず、奈義町はユニークな場所ですよね。初めて奈義町に着いて、最初にすれ違ったのが戦車だったことにも驚きましたし、のどかな田園風景の中に突然、近代的な美術館が建っているのも面白かった。それから、ここで映画を撮りたいと思った理由としては、もっと素朴に、町の人たちが面白かったというのもあります。非常に優しかったですし、美術館があるからというのもあると思うんですが、文化芸術に対して理解があるというか、寛容な方もすごく多かった。そういったこともあって、「ここで撮りたい」という気持ちがだんだんと高まっていったという感じです。

 
矢武:実際に映画を観て、僕がすごく好きだったのは、よくあるご当地PR映画ではなかったところです。

深田:ありがとうございます。でも、それは「そうならないようにする」というのが、最初の絶対条件みたいなところでした。PR映画を撮っても、やっぱりそれを誰も観たいとは思わないですし、その土地をモチーフにして作ることは、別にいい面ばかりを描くということではないと思っています。ただ、こういう作品って、どうしても都会の人が地方を描くと偏りがちなんですよね。

(C)2026 ナギダイアリー・パートナーズ (スターサンズ/八朔ラボ/ワンダーストラック) / Survivance / Momo Film Co.


(C)2026 ナギダイアリー・パートナーズ (スターサンズ/八朔ラボ/ワンダーストラック) / Survivance / Momo Film Co.

深田:自分自身が東京育ちなので、やっぱり都会側の人間なんですが、地方を描くとなると、豊かな自然やスローライフといったユートピアのような描き方になったり、逆に田舎の閉鎖的な部分や村八分などをネガティブに描いたり、どちらかに偏りがちだと思うんです。そのどちらでもない、本当に等身大の姿、自分なりに見た地方の姿みたいなものを描ければと思っていました。

矢武:まだまだお話を聞きたいところですが、公開前の前篇はこの辺で。次回後篇は、10月1日(木)の「キャプテンポップコーン」で、キャストの方たちのお話を中心に伺いたいと思います。

映画『ナギダイアリー』(G)は、札幌シネマフロンティア、シアターキノ、函館シネマアイリス、イオンシネマ釧路で9月25日(金)から公開。東川のル・シネマ・キャトルは10月2日(金)から、苫小牧シネマ・トーラスは、10月3日(土)、浦河大黒座は順次公開。

映画系トーク番組「キャプテン・ポップコーン」

映画系トーク番組「キャプテン・ポップコーン」は、北海道外にお住まいの方、もしくは聴き逃した方でも、インターネットで聴けるradikoで一定期間は聴取することが可能です。また番組の一部を「ポッドキャストもキャプテン・ポップコーン」で毎週木曜日の26時から配信中。
この記事では9月10日(木)に放送した番組内容をお届けしています。進行台本と放送内容を基に記事を作成しています。そのため、実際の放送内容とは違う表現・補足(話し言葉と書き言葉等)並びに、放送ではカットされた内容を含む場合がございます。 また、公開される映画館名や作品情報、イベントは上記日程の放送または収録時点のものになりますのでご留意ください。

【提供】キャプテン・ポップコーン/矢武企画

【前篇】深田監督インタビュー!ご当地PR映画にはしない 監督が描きたかった「等身大の地方」


(C)2026 ナギダイアリー・パートナーズ (スターサンズ/八朔ラボ/ワンダーストラック) / Survivance / Momo Film Co.

2026年9月25日(金)公開の映画『ナギダイアリー』。今回は、キャプテンポップコーンこと矢武兄輔が深田晃司監督にインタビュー!作品の着想や平田オリザさんとのつながり、岡山県奈義町を舞台に映画を作ることになった経緯、地方を描くうえで意識したことについて伺いました。

映画『ナギダイアリー』

自然豊かな町・ナギで創作活動に打ち込む彫刻家の寄子のもとを、東京から建築家の友梨が訪れます。友梨は寄子の弟の元妻で、2人は義理の姉妹でした。寄子は友梨をモデルに彫刻を制作することに。若くして妻を亡くした好浩や、その息子・春樹、春樹の親友・圭太ら、ナギで暮らす人々との時間を重ねるなかで、異なる場所で生きてきた寄子と友梨の再会は、穏やかに町の日常へ小さな揺らぎをもたらしていきます。
 

(C)2026 ナギダイアリー・パートナーズ (スターサンズ/八朔ラボ/ワンダーストラック) / Survivance / Momo Film Co.

矢武:今回の映画は、平田オリザさんの「東京ノート」にインスパイアされていると思うんですが、どのような部分が反映されているんですか?

深田:平田オリザさんが、映画の舞台になった奈義町で文化関係の仕事をされていて、そこで「東京ノート」という劇団青年団の代表作を映画化したら面白いんじゃないか、という提案をいただいたんです。「東京ノート」は東京の美術館を舞台にした演劇で、まずは「とりあえず下見に行ってきます」ということで、奈義町の美術館を訪れました。その美術館が、想像以上にすごくいい場所だったんです。メインの展示が荒川修作さんや宮脇愛子さんの空間インスタレーションで、持ち運べるものではなく、そこに行かないと見られない。建築そのものが美術館の作品のようになっているんです。磯崎新さんの建築で、窓からは奈義の山も見える。そこで「ここを東京という設定にするのはもったいないな」と思いました。それなら奈義町を舞台にした、別の新しい映画にしたいと思うようになって、『ナギダイアリー』につながっていきました。

(C)2026 ナギダイアリー・パートナーズ (スターサンズ/八朔ラボ/ワンダーストラック) / Survivance / Momo Film Co.

矢武:平田オリザさんとは、どんなお話をされたんですか? 劇団青年団にも深田監督が入られているので、いわばBOSSのような存在ですよね。

深田:そうですね。でも、この映画に関しては、ほとんど何も話していないです。ただ、「東京ノート」という作品は自分がとても好きなので、『ナギダイアリー』は原作という形にはしていませんが、自分の中では勝手に続編を作っているような意識があります。「東京ノート」にいろいろとインスパイアされたり、オマージュを捧げたりしている要素は、ちらほらあります。

 

(C)2026 ナギダイアリー・パートナーズ (スターサンズ/八朔ラボ/ワンダーストラック) / Survivance / Momo Film Co.

矢武:平田さんとの作品でいうと、『さようなら』(15)ぶりですか?

深田:『さようなら』と『転校生』(25)という作品もあります。高校生向けの難民理解促進のための教材映像で、ドラマ形式で作るというものなんですが、脚本を平田さんが書いて、自分が監督をしました。意外と最近は縁があります。

矢武:上映規模がかなり限定的だったので、結構レアな映画ですよね。

深田:よく把握されていますね(笑)。こういうイベントでしか見られない短編は、結構レアなものが多いです。平田さんが作った『転校生』も、基本的には映像作品ではなく教材用の映像なので、上映する機会がないんです。

(C)2026 ナギダイアリー・パートナーズ (スターサンズ/八朔ラボ/ワンダーストラック) / Survivance / Momo Film Co.

矢武:実際、奈義町には10年ぐらい定期的に滞在されていたということですが、東京出身・東京育ちの深田監督から見た「地方」は、どんな感じでしたか?

深田:非常に興味深かったです。まず、奈義町はユニークな場所ですよね。初めて奈義町に着いて、最初にすれ違ったのが戦車だったことにも驚きましたし、のどかな田園風景の中に突然、近代的な美術館が建っているのも面白かった。それから、ここで映画を撮りたいと思った理由としては、もっと素朴に、町の人たちが面白かったというのもあります。非常に優しかったですし、美術館があるからというのもあると思うんですが、文化芸術に対して理解があるというか、寛容な方もすごく多かった。そういったこともあって、「ここで撮りたい」という気持ちがだんだんと高まっていったという感じです。

 

(C)2026 ナギダイアリー・パートナーズ (スターサンズ/八朔ラボ/ワンダーストラック) / Survivance / Momo Film Co.

矢武:実際に映画を観て、僕がすごく好きだったのは、よくあるご当地PR映画ではなかったところです。

深田:ありがとうございます。でも、それは「そうならないようにする」というのが、最初の絶対条件みたいなところでした。PR映画を撮っても、やっぱりそれを誰も観たいとは思わないですし、その土地をモチーフにして作ることは、別にいい面ばかりを描くということではないと思っています。ただ、こういう作品って、どうしても都会の人が地方を描くと偏りがちなんですよね。

(C)2026 ナギダイアリー・パートナーズ (スターサンズ/八朔ラボ/ワンダーストラック) / Survivance / Momo Film Co.

深田:自分自身が東京育ちなので、やっぱり都会側の人間なんですが、地方を描くとなると、豊かな自然やスローライフといったユートピアのような描き方になったり、逆に田舎の閉鎖的な部分や村八分などをネガティブに描いたり、どちらかに偏りがちだと思うんです。そのどちらでもない、本当に等身大の姿、自分なりに見た地方の姿みたいなものを描ければと思っていました。

矢武:まだまだお話を聞きたいところですが、公開前の前篇はこの辺で。次回後篇は、10月1日(木)の「キャプテンポップコーン」で、キャストの方たちのお話を中心に伺いたいと思います。

映画『ナギダイアリー』(G)は、札幌シネマフロンティア、シアターキノ、函館シネマアイリス、イオンシネマ釧路で9月25日(金)から公開。東川のル・シネマ・キャトルは10月2日(金)から、苫小牧シネマ・トーラスは、10月3日(土)、浦河大黒座は順次公開。

映画系トーク番組「キャプテン・ポップコーン」

映画系トーク番組「キャプテン・ポップコーン」は、北海道外にお住まいの方、もしくは聴き逃した方でも、インターネットで聴けるradikoで一定期間は聴取することが可能です。また番組の一部を「ポッドキャストもキャプテン・ポップコーン」で毎週木曜日の26時から配信中。
この記事では9月10日(木)に放送した番組内容をお届けしています。進行台本と放送内容を基に記事を作成しています。そのため、実際の放送内容とは違う表現・補足(話し言葉と書き言葉等)並びに、放送ではカットされた内容を含む場合がございます。 また、公開される映画館名や作品情報、イベントは上記日程の放送または収録時点のものになりますのでご留意ください。

【提供】キャプテン・ポップコーン/矢武企画

キャプテン・ポップコーン

映画専門ラジオ番組

キャプテン・ポップコーンは、エフエムノースウェーブで毎週木曜日深夜1時半から放送するラジオ番組です。北海道・札幌で映画のお仕事に従事する「まちのえいが屋さん・矢武企画」が気になった映画の情報、映画に関係したまちの情報、そして、映画がもっと近くなるようなお話をお届けします。映画がはじける、映画で踊る夜、きょうも映画と、コミュニケーションしていきましょう!

eventイベント・キャンペーン

point注目映画一覧(外部サイト)

The Odyssey

オデュッセイア

2026-09-11

トロイア戦争の終結後、イタケーの伝説的な王オデュッセウスは、故郷への長く危険に満ちた帰還の旅に出る。その航海の途上、彼は神々の気まぐれや神話の怪物たち、そして自身の知略と人間性の双方を極限まで試す過酷な試練に立ち向かうことを余儀なくされる――。

The End of Oak Street

オークストリートの異変

2026-08-14

郊外の住宅地に暮らすデニースとグレッグは夫婦仲がギクシャクしており、子供たちも気をもんでいた。しかし町が深夜に謎の閃光に包まれ、翌朝 目覚めると信じられない事態になっていた。

Backrooms

バックルームズ

2026-09-04

舞台は、都市伝説とされていた空間“Backrooms”。「ある日突然 “現実世界の裏側”へ墜ちてしまったら…?」どこまでも続く黄色い壁紙の部屋、終わりのない廊下。不自然な間取りと、意味を失い床に埋まった設置物。 わずかに現実からズレている――そんな出口のない“リミナルスペース”で、観客は“最高密度の不安と恐怖”を体験する。

The Dog Stars

ラスト・サバイバー

2026-08-28

謎のパンデミックにより人口の大半が失われ、生き残った者たちが奪い合いを繰り広げる荒廃した世界。パイロットのヒッグは、元軍人のバングリーと共同戦線を張ることで日々を生き延びていた。心の拠り所は、愛犬ジャスパーの存在と亡き妻の記憶だけ。そんなある日、彼のもとに無線を通じて謎の声が届く。世界の終わりになお希望が残されているかもしれないと考えたヒッグは、その声に導かれるように、未知の空へと飛び立つ決意を固める。だがその先に広がっていたのは、凶暴な動物や容赦ない襲撃者がはびこる、殺すか殺されるかの過酷な現実だった。

劇場版 魔法少女まどか☆マギカ〈ワルプルギスの廻天〉

劇場版 魔法少女まどか☆マギカ〈ワルプルギスの廻天〉

2026-08-28

『叛逆の物語』の事件を経て、世界は表向き均衡を取り戻したかに見えた。しかし、その平和はあまりにも脆い。ワルプルギスの夜にまつわる新たな脅威が姿を現し始めたとき、暁美ほむらは自らが下した選択の代償と向き合うことになる——まどかを守るために、自分はどこまで踏み込む覚悟があるのか。

The Drama

ドラマなふたり

2026-08-21

ボストンのカフェで運命的な出会いを果たしたチャーリーとエマは、この上なく幸せな日々を送っていた。結婚式まであと7日と迫った夜、付添人の親友夫婦と4人での食事中、これまでにやらかした最悪の行いを告白することに。軽い気持ちで始めたゲームだったが、エマの【最悪の秘密】に全員がドン引き。チャーリーはエマには想像を絶する別の顔があるのではないかと恐れを抱く。幸せの絶頂は一転、疑心暗鬼のどん底へと墜落するが、結婚式の準備を止める術はなく、遂に当日を迎えるー。