(C)2026「汝、星のごとく」製作委員会 (C)凪良ゆう/講談社
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2026.9.27

『汝、星のごとく』レビュー|横浜流星×広瀬すずが描く「愛していても同じ人生を選べない」15年

2026年10月9日(金)公開の映画『汝、星のごとく』は、凪良ゆうの同名小説を、横浜流星と広瀬すずのW主演、藤井道人監督で映画化した作品です。

瀬戸内の島で出会った青埜櫂(横浜流星)と井上暁海(広瀬すず)。家庭にわだかまりを抱える2人は互いを唯一の心の支えとして恋に落ちますが、高校卒業後、夢を追って上京する櫂と、家族のため島に残る暁海は別々の道へ。本作が描くのは、ただ長く続く恋ではありません。好きな人と同じ人生を選べないこと。その切なさが、2人の15年を通して浮かび上がってきます。
 

櫂を愛していても、母を置いてはいけない暁海

『汝、星のごとく』レビュー_広瀬すず&木村佳乃

(C)2026「汝、星のごとく」製作委員会 (C)凪良ゆう/講談社

暁海と母・志穂(木村佳乃)の関係を見ていると、母と娘の難しさを考えずにはいられません。夫が不倫相手のもとへ去ったことで心のバランスを崩した母を間近で見てきた暁海は、「自分は母のようにはなりたくない」と願いながらも、心を病んだ母をひとり残して島を出ることができません。

そこに重なるのが、閉ざされた島のコミュニティです。誰かの出来事はすぐに噂になり、本人のいないところで批判される。家族だけではなく、周囲の視線からも逃れにくい環境のなかで、暁海を高校時代から見守る北原先生(長谷川博己)は、彼女が自分の人生をどう生きるのかを考えるきっかけを与えていきます。

 
そして、暁海が惹かれていくのが、父の不倫相手・瞳子(石田ゆり子)の生き方です。自分の仕事を持ち、自分の意思で生きる瞳子は、暁海にとって、誰かに人生を預けず、自分の足で立つ女性の姿でもあります。

広瀬すずは、そんな母への思い、島での息苦しさ、自分の人生を生きたいという思いの間で揺れる暁海を、年齢とともに変化する表情で見せていきます。
 
『汝、星のごとく』レビュー_石田ゆり子

(C)2026「汝、星のごとく」製作委員会 (C)凪良ゆう/講談社

夢を叶えた櫂にも、思い通りにならない人生がある

『汝、星のごとく』レビュー_横浜流星

(C)2026「汝、星のごとく」製作委員会 (C)凪良ゆう/講談社

一方の櫂は島を出て東京へ向かい、漫画原作者として成功していきます。家族や島から離れられない暁海に対して、櫂は夢を選び、外の世界へ出ることができました。

櫂は望んだ仕事を手にし、大人になっていきます。それでも人生には、自分の努力や選択だけではどうにもならない局面が訪れる。島を離れたからといって、孤独や過去まで切り離せるわけではないのです。

 
横浜流星は、夢を追っていた高校生の櫂から、成功した大人、そして岐路に立たされた姿までを大きな落差で見せます。若い頃のまっすぐな表情が次第に影を帯びていくことで、櫂が過ごした時間の重さが伝わってきます。

そんな櫂を支えるのが、編集者の植木(濱田岳)。暁海には高校時代から見守る北原先生(長谷川博己)や瞳子がいて、櫂には植木がいる。互いが特別な存在であっても、2人だけで人生が完結しているわけではない。その描き方も、この恋愛を現実の延長線上に感じさせます。
『汝、星のごとく』レビュー_濱田岳

(C)2026「汝、星のごとく」製作委員会 (C)凪良ゆう/講談社

近くにいるのに届かない――画面の距離が映す2人のすれ違い

『汝、星のごとく』レビュー_広瀬すず&横浜流星

(C)2026「汝、星のごとく」製作委員会 (C)凪良ゆう/講談社

本作で忘れがたいのが、海や星、花火を見つめる櫂と暁海の後ろ姿です。藤井道人監督は、感情を台詞だけで説明するのではなく、引きの画に2人を置き、シルエットや沈黙、互いの距離から関係を見せていきます。

象徴的なのが、成功した櫂の都会の部屋を暁海が訪れる場面です。そこは櫂が夢を叶えて手に入れた生活の場所。しかし暁海は、どこかその空間になじめていません。同じ部屋にいる2人を映すことで、それぞれが歩んできた時間のズレが浮かび上がります。

海や星を前にしたときには、言葉がなくても通じているように見えた2人。それが同じ空間にいてもすれ違ってしまう。その反転を画面の距離と沈黙で見せるところに、この映画ならではの切なさがあります。
 

愛する人のために、人生を“誤る”ことはできるのか

そんな2人の物語を象徴するのが、北原先生の「正しさなんて誰もわからない。だから君ももう捨ててしまいなさい」という言葉です。母のそばにいるのか。島を出るのか。愛する人を選ぶのか。自分の望む道へ進むのか。

人生の岐路に、誰にでも当てはまる正解はありません。櫂と暁海が15年をかけて見せるのは、愛があれば同じ道を歩める、という単純な恋ではありません。この映画が描く愛は、2人の距離をなくすことではなく、同じ人生を選べなくても、互いの存在が人生に残り続けることなのかもしれません。 海や星、花火の前に並ぶ2人の後ろ姿には、そんな関係の切なさが静かに刻まれています。
『汝、星のごとく』レビュー_広瀬すず&横浜流星

(C)2026「汝、星のごとく」製作委員会 (C)凪良ゆう/講談社

『汝、星のごとく』基本情報

『汝、星のごとく』レビュー_ポスター

(C)2026「汝、星のごとく」製作委員会 (C)凪良ゆう/講談社

■公開日:2026年10月9日(金)

■出演:横浜流星 広瀬すず
    松村北斗 中村アン 濱田岳/尾野真千子 木村佳乃
    石田ゆり子 長谷川博己

■原作:凪良ゆう『汝、星のごとく』(講談社文庫)

■監督:藤井道人

■脚本:安達奈緒子

■音楽:大間々昂

■制作プロダクション:TOHOスタジオ ドラゴンフライ

■配給:東宝

■公式サイト
https://nanji.toho-movie.jp

櫂を愛していても、母を置いてはいけない暁海

『汝、星のごとく』レビュー_広瀬すず&木村佳乃

(C)2026「汝、星のごとく」製作委員会 (C)凪良ゆう/講談社

暁海と母・志穂(木村佳乃)の関係を見ていると、母と娘の難しさを考えずにはいられません。夫が不倫相手のもとへ去ったことで心のバランスを崩した母を間近で見てきた暁海は、「自分は母のようにはなりたくない」と願いながらも、心を病んだ母をひとり残して島を出ることができません。

そこに重なるのが、閉ざされた島のコミュニティです。誰かの出来事はすぐに噂になり、本人のいないところで批判される。家族だけではなく、周囲の視線からも逃れにくい環境のなかで、暁海を高校時代から見守る北原先生(長谷川博己)は、彼女が自分の人生をどう生きるのかを考えるきっかけを与えていきます。

 
『汝、星のごとく』レビュー_石田ゆり子

(C)2026「汝、星のごとく」製作委員会 (C)凪良ゆう/講談社

そして、暁海が惹かれていくのが、父の不倫相手・瞳子(石田ゆり子)の生き方です。自分の仕事を持ち、自分の意思で生きる瞳子は、暁海にとって、誰かに人生を預けず、自分の足で立つ女性の姿でもあります。

広瀬すずは、そんな母への思い、島での息苦しさ、自分の人生を生きたいという思いの間で揺れる暁海を、年齢とともに変化する表情で見せていきます。
 

夢を叶えた櫂にも、思い通りにならない人生がある

『汝、星のごとく』レビュー_横浜流星

(C)2026「汝、星のごとく」製作委員会 (C)凪良ゆう/講談社

一方の櫂は島を出て東京へ向かい、漫画原作者として成功していきます。家族や島から離れられない暁海に対して、櫂は夢を選び、外の世界へ出ることができました。

櫂は望んだ仕事を手にし、大人になっていきます。それでも人生には、自分の努力や選択だけではどうにもならない局面が訪れる。島を離れたからといって、孤独や過去まで切り離せるわけではないのです。

 
『汝、星のごとく』レビュー_濱田岳

(C)2026「汝、星のごとく」製作委員会 (C)凪良ゆう/講談社

横浜流星は、夢を追っていた高校生の櫂から、成功した大人、そして岐路に立たされた姿までを大きな落差で見せます。若い頃のまっすぐな表情が次第に影を帯びていくことで、櫂が過ごした時間の重さが伝わってきます。

そんな櫂を支えるのが、編集者の植木(濱田岳)。暁海には高校時代から見守る北原先生(長谷川博己)や瞳子がいて、櫂には植木がいる。互いが特別な存在であっても、2人だけで人生が完結しているわけではない。その描き方も、この恋愛を現実の延長線上に感じさせます。

近くにいるのに届かない――画面の距離が映す2人のすれ違い

『汝、星のごとく』レビュー_広瀬すず&横浜流星

(C)2026「汝、星のごとく」製作委員会 (C)凪良ゆう/講談社

本作で忘れがたいのが、海や星、花火を見つめる櫂と暁海の後ろ姿です。藤井道人監督は、感情を台詞だけで説明するのではなく、引きの画に2人を置き、シルエットや沈黙、互いの距離から関係を見せていきます。

象徴的なのが、成功した櫂の都会の部屋を暁海が訪れる場面です。そこは櫂が夢を叶えて手に入れた生活の場所。しかし暁海は、どこかその空間になじめていません。同じ部屋にいる2人を映すことで、それぞれが歩んできた時間のズレが浮かび上がります。

海や星を前にしたときには、言葉がなくても通じているように見えた2人。それが同じ空間にいてもすれ違ってしまう。その反転を画面の距離と沈黙で見せるところに、この映画ならではの切なさがあります。
 

愛する人のために、人生を“誤る”ことはできるのか

『汝、星のごとく』レビュー_広瀬すず&横浜流星

(C)2026「汝、星のごとく」製作委員会 (C)凪良ゆう/講談社

そんな2人の物語を象徴するのが、北原先生の「正しさなんて誰もわからない。だから君ももう捨ててしまいなさい」という言葉です。母のそばにいるのか。島を出るのか。愛する人を選ぶのか。自分の望む道へ進むのか。

人生の岐路に、誰にでも当てはまる正解はありません。櫂と暁海が15年をかけて見せるのは、愛があれば同じ道を歩める、という単純な恋ではありません。この映画が描く愛は、2人の距離をなくすことではなく、同じ人生を選べなくても、互いの存在が人生に残り続けることなのかもしれません。 海や星、花火の前に並ぶ2人の後ろ姿には、そんな関係の切なさが静かに刻まれています。

『汝、星のごとく』基本情報

『汝、星のごとく』レビュー_ポスター

(C)2026「汝、星のごとく」製作委員会 (C)凪良ゆう/講談社

■公開日:2026年10月9日(金)

■出演:横浜流星 広瀬すず
    松村北斗 中村アン 濱田岳/尾野真千子 木村佳乃
    石田ゆり子 長谷川博己

■原作:凪良ゆう『汝、星のごとく』(講談社文庫)

■監督:藤井道人

■脚本:安達奈緒子

■音楽:大間々昂

■制作プロダクション:TOHOスタジオ ドラゴンフライ

■配給:東宝

■公式サイト
https://nanji.toho-movie.jp

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