2024.12.30

【年末特集】映画回顧2024前編。話題作や北海道が舞台の映画、映画界の動向を振り返る!

あっという間に年末ですね。キャプテン・ポップコーンこと矢武兄輔が、2024年の話題作や北海道ロケ映画、映画界の動向を振り返る「映画回顧2024」です。
前編は「興行収入ランキング10」「興行収入から読み取る」「レジェンド警察官が帰ってきた!」「日本映画の国際的な評価と活躍」についてです。

興行収入ランキング10


舞台となった函館市内の映画館、コナンを盛り上げ続ける(12月撮影)

<日本映画>
・『名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)』 157.1億円
・『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』 115.5億円
・『キングダム 大将軍の帰還』 79.8億円
・『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』 63.2億円
・『ラストマイル』 59.1億円
・『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』 53.0億円
・『変な家』 50.5億円
・『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら』 45.3億円
・『映画ドラえもん のび太の地球交響楽(シンフォニー)』 43.0億円
・『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ユアネクスト』 35.3億円

 
<外国映画>
・『インサイド・ヘッド2』 53.5億円
・『怪盗グルーのミニオン超変身』 45.1億円
・『ウィッシュ』 36.0億円
・『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』 23.7億円
・『デッドプール&ウルヴァリン』 20.7億円
・『オッペンハイマー』 18.0億円
・『ゴジラxコング 新たなる帝国』 17.1億円
・『ヴェノム:ザ・ラストダンス』 15.0億円
・『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』 11.5億円
・『エイリアン:ロムルス』 9.7億円
・『マッドマックス フュリオサ』 9.7億円

※2023年12月〜2024年11月に公開された映画の興行収入ランキング
※興行収入の売上額は興行通信社や映画ニュースからの出典。
※2024年に公開された興行収入は、25年2月前後に各配給会社から発表される売上が最終的な数字になります。
 

(C)2024 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

興行収入から読み取る


(C)Universal Pictures. All Rights Reserved.

日本映画の興行収入上位10作品中6作品をアニメーションが占めており、例年通り、安定の成績だったと言えるでしょう。特に北海道函館市が舞台の『名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)』が「劇場版コナン」シリーズ最高の成績を記録。年間興行収入ランキングにおいても1位を打ち出し、道民として嬉しく思います。
パンデミックからの回復の兆しがより見えた1年にもなりました。国内では、東宝の年間興行収入が900億円台に達し、『君の名は。』や『シン・ゴジラ』などが公開された2016年の約854億円を超えて歴代1位の成績です。また、ウォルト・ディズニー・カンパニーの映画興行収入が、コロナ禍以降ではじめて年間累計で50億ドル(全世界)を突破しました。国内外で映画市場を牽引する映画会社が好成績を残すことは産業としても喜ばしいことです。
 
一方、国内では「大ヒット作品」と「それ以外の作品」の興行収入の差がどんどん開いていく傾向が気になるところです。特に外国映画を取り巻く環境は、23年よりも深刻な状況です。昨年は『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』(140.2億円)がありましたが、本年は100億円超えはなし。これは、外国映画の盛り上がり(継続的に多くのお客さんを呼び込む映画)を牽引するフランチャイズムービーが少なかったことも要因として考えられます。また、少なくなった理由の1つはハリウッドで23年5月から約7ヶ月間に渡り、実行された2つのストライキです(待遇改善など必要な主張内容)。スタジオの仕事はストップするので、この間、スタッフは失業します。その影響を取り戻すには少し時間が必要。再び制作(撮影〜編集〜完成・納品)開始するので、24年は必然的に少なくなったのではないでしょうか。
 
また、ジョージ・クルーニーとブラッド・ピットが共演する『ウルフズ』が日本の劇場公開を急遽中止に。クリント・イーストウッド監督最新作『陪審員2番』は、世界的にも劇場公開は小規模でしたが、日本国内はU-NEXT独占配信のみに。配給会社の経営判断なので仕方がないことですが、映画ファンには寂しいニュースでした。
 
それでも作品の性質上、年配層や映画ファンがターゲットに思われる、王道SF映画のスピンオフ『エイリアン:ロムルス』や歴史映画『オッペンハイマー』は、劇場に行ってみると若年層の動員も目立っていました。筆者の個人的な感覚になりますが、SNSなどで宣伝や評判が強く印象付けられた作品はきちんと届くのだな、と嬉しくなった記憶があります。
 

(C)2024 20th Century Studios. All Rights Reserved.


(C)& TM DC(C) 2024 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

また、前作より成績が下がったにしろ、本国での評判は芳しくなかった『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』が日本で10億円超えしたことは特筆すべきことです。

19年は、年間興収は歴代1位の2611.8億円を記録し、興行収入ランキングトップ10のうち、6本は外国映画でうち3本は100億円超えです。映画館が盛り上がるには、作品の多様性が必要です。大ヒットが続くと、映画館へ継続的に人を呼び込み、予告編やフライヤーで次の映画と出逢う。そこから、メジャーからインディーズ系まで、いろいろなジャンルの映画を観てみてほしいです。その気持ちを後押しできるような情報を「SASARU movie」も、お手伝いしていきたいですね!

レジェンド警察官が帰ってきた!

24年映画の特徴の一つに、国内外の映画で20年以上前から銀幕で活躍した警察官たちが続々と帰ってきたことです。

①『帰ってきた あぶない刑事』 [レンタル&配信あり]
1986年のテレビ放送以来、劇場版7作品が製作。舘ひろし&柴田恭兵主演の人気シリーズ8年ぶりの劇場作品。刑事を定年したタカ&ユージ、探偵として横浜に帰ってきます。

②『特捜戦隊デカレンジャー 20th ファイヤーボール・ブースター』 [レンタル&配信あり]
04年から1年間放送されたスーパー戦隊シリーズ28作目「特捜戦隊デカレンジャー」。放送20周年を記念して製作された作品です。エイリアン特区から高知県へ捜査に向かいます。

③『バッドボーイズ RIDE OR DIE』 [レンタル&配信あり]
ウィル・スミス&マーティン・ローレンス共演による『バッドボーイズ』シリーズ4作目。マイクとマーカスは罠にハマり、容疑者として警察からも敵組織からも追われてしまいます。

④『ビバリーヒルズ・コップ アクセル・フォーリー』 [配信あり]
エディ・マーフィ主演による『ビバリーヒルズ・コップ』シリーズの30年ぶりの続編で4作目。Netflix映画。ビリーやジョン、新しい相棒と一緒に、事件を暴いていきます。

⑤『室井慎次 敗れざる者』と『室井慎次 生き続ける者』の2部作 [絶賛上映中]
「踊る大捜査線」シリーズの室井慎次が主役の2部作。12年ぶりのシリーズ続編です。退官し故郷・秋田県で里子と暮らす室井さん。ある日、自宅近くの土の中から死体が見つかる。



 

(C)2024「帰ってきた あぶない刑事」製作委員会


(C)2024 フジテレビジョン ビーエスフジ 東宝

令和に、タカ&ユージ、そして室井さんと青島くんをスクリーンで観られるとは誰が予想していたことでしょう。かなり胸熱な復活劇でした。3作品とも、興行収入は15億円越えの大ヒットで、人気は健在でした。ちなみに、98年公開の『あぶない刑事フォーエヴァー THE MOVIE』と『踊る大捜査線 THE MOVIE 湾岸署史上最悪の三日間』ぶりに公開年が重なるなんて、なんだかエモいです。
『帰ってきた あぶない刑事』は38年間の歴史や“お約束”は継承しつつ、監督はBABEL LABELの映像作家として活動する原廣利さんが務め、若手も参加する新体制で制作。その効果か、スベらない演出に仕上がり、新旧どちらのお客さんも満足する内容だったんじゃないかと思います。筆者がDJ・制作をするラジオ番組「キャプテン・ポップコーン」へ全国から「アブデカ」のリスナーメッセージが寄せられ、その6割が10〜20代で驚愕しました。
「『室井慎次』2部作」は、踊るシリーズ従来のアップテンポ感はなく、スローライフな作風に。これまでシリーズを観ていなかった層から共感する声をよく耳にしました。あと、大事件ばかりの警察ドラマらしいことではなく、人間にフォーカスする部分が「踊る」らしさだったと個人的には感じています。室井さん自身が本編中に「楽しかった」と語り、前作から12年間の間に何があったのか語られるだけで尊い…。26年には『踊る大捜査線 N.E.W.』が公開決定です。

日本映画の国際的な評価と活躍

24年3月に発表された米国アカデミーでは、宮崎駿監督作品『君たちはどう生きるか』(23)が長編アニメーション賞、山崎貴監督作品『ゴジラ -1.0』(23)が視覚効果賞を受賞。視覚効果賞はスタッフが受賞するケースが多く、監督の受賞は『2001年宇宙の旅』(68)のスタンリー・キューブリック監督以来、2人目とのことです。また、5月のカンヌ国際映画祭では審査員に『万引き家族』(18)の是枝裕和監督が選ばれました。河瀬直美監督以来、11年ぶりで映画監督としては2人目です。
 
カンヌの「ある視点」部門には、奥山大史監督の『ぼくのお日さま』(24)が招待されました。北海道苫小牧市などで撮影され、雪が降りはじめてから雪がとけるまでの小さな恋たちの物語。奥山監督は日本人として史上最年少選出です。
山中瑶子監督の『ナミビアの砂漠』(24)は、カンヌの「ある監督週間」に出品され、国際映画批評家連盟賞を女性監督として最年少受賞しました。物語は現代日本の若者たちの恋愛や人生を鋭い視点で描く青春ドラマです。
 
10月、東宝は北米でスタジオジブリの作品など日本アニメを配給する米企業「GKIDS」買収し、これを皮切りに長期計画で世界戦略を実施します。
米ソニー・ピクチャーズ配給の長編映画『グランドギア(原題)/Grandgear』で、山崎貴監督が脚本と監督を務めると11月に発表されました。プロデューサーは『スター・ウォーズ』シリーズなどのJ・J・エイブラムスさん。『ミッション:インポッシブル』シリーズなどでお馴染みの制作会社バッド・ロボット・プロダクションも携わります。ちなみに山崎監督作品は国内で製作する場合、制作会社「ROBOT」と主に映画をつくります。偶然にも社名に「ロボット」つながり…、感慨深いです。

(C)2024「ナミビアの砂漠」製作委員会

興行収入ランキング10


舞台となった函館市内の映画館、コナンを盛り上げ続ける(12月撮影)

<日本映画>
・『名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)』 157.1億円
・『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』 115.5億円
・『キングダム 大将軍の帰還』 79.8億円
・『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』 63.2億円
・『ラストマイル』 59.1億円
・『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』 53.0億円
・『変な家』 50.5億円
・『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら』 45.3億円
・『映画ドラえもん のび太の地球交響楽(シンフォニー)』 43.0億円
・『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ユアネクスト』 35.3億円

 

(C)2024 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

<外国映画>
・『インサイド・ヘッド2』 53.5億円
・『怪盗グルーのミニオン超変身』 45.1億円
・『ウィッシュ』 36.0億円
・『ウォンカとチョコレート工場のはじまり』 23.7億円
・『デッドプール&ウルヴァリン』 20.7億円
・『オッペンハイマー』 18.0億円
・『ゴジラxコング 新たなる帝国』 17.1億円
・『ヴェノム:ザ・ラストダンス』 15.0億円
・『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』 11.5億円
・『エイリアン:ロムルス』 9.7億円
・『マッドマックス フュリオサ』 9.7億円

※2023年12月〜2024年11月に公開された映画の興行収入ランキング
※興行収入の売上額は興行通信社や映画ニュースからの出典。
※2024年に公開された興行収入は、25年2月前後に各配給会社から発表される売上が最終的な数字になります。
 

興行収入から読み取る


(C)Universal Pictures. All Rights Reserved.

日本映画の興行収入上位10作品中6作品をアニメーションが占めており、例年通り、安定の成績だったと言えるでしょう。特に北海道函館市が舞台の『名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)』が「劇場版コナン」シリーズ最高の成績を記録。年間興行収入ランキングにおいても1位を打ち出し、道民として嬉しく思います。
パンデミックからの回復の兆しがより見えた1年にもなりました。国内では、東宝の年間興行収入が900億円台に達し、『君の名は。』や『シン・ゴジラ』などが公開された2016年の約854億円を超えて歴代1位の成績です。また、ウォルト・ディズニー・カンパニーの映画興行収入が、コロナ禍以降ではじめて年間累計で50億ドル(全世界)を突破しました。国内外で映画市場を牽引する映画会社が好成績を残すことは産業としても喜ばしいことです。
 

(C)2024 20th Century Studios. All Rights Reserved.

一方、国内では「大ヒット作品」と「それ以外の作品」の興行収入の差がどんどん開いていく傾向が気になるところです。特に外国映画を取り巻く環境は、23年よりも深刻な状況です。昨年は『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』(140.2億円)がありましたが、本年は100億円超えはなし。これは、外国映画の盛り上がり(継続的に多くのお客さんを呼び込む映画)を牽引するフランチャイズムービーが少なかったことも要因として考えられます。また、少なくなった理由の1つはハリウッドで23年5月から約7ヶ月間に渡り、実行された2つのストライキです(待遇改善など必要な主張内容)。スタジオの仕事はストップするので、この間、スタッフは失業します。その影響を取り戻すには少し時間が必要。再び制作(撮影〜編集〜完成・納品)開始するので、24年は必然的に少なくなったのではないでしょうか。
 
また、ジョージ・クルーニーとブラッド・ピットが共演する『ウルフズ』が日本の劇場公開を急遽中止に。クリント・イーストウッド監督最新作『陪審員2番』は、世界的にも劇場公開は小規模でしたが、日本国内はU-NEXT独占配信のみに。配給会社の経営判断なので仕方がないことですが、映画ファンには寂しいニュースでした。
 
それでも作品の性質上、年配層や映画ファンがターゲットに思われる、王道SF映画のスピンオフ『エイリアン:ロムルス』や歴史映画『オッペンハイマー』は、劇場に行ってみると若年層の動員も目立っていました。筆者の個人的な感覚になりますが、SNSなどで宣伝や評判が強く印象付けられた作品はきちんと届くのだな、と嬉しくなった記憶があります。
 

(C)& TM DC(C) 2024 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

また、前作より成績が下がったにしろ、本国での評判は芳しくなかった『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』が日本で10億円超えしたことは特筆すべきことです。

19年は、年間興収は歴代1位の2611.8億円を記録し、興行収入ランキングトップ10のうち、6本は外国映画でうち3本は100億円超えです。映画館が盛り上がるには、作品の多様性が必要です。大ヒットが続くと、映画館へ継続的に人を呼び込み、予告編やフライヤーで次の映画と出逢う。そこから、メジャーからインディーズ系まで、いろいろなジャンルの映画を観てみてほしいです。その気持ちを後押しできるような情報を「SASARU movie」も、お手伝いしていきたいですね!

レジェンド警察官が帰ってきた!


(C)2024「帰ってきた あぶない刑事」製作委員会

24年映画の特徴の一つに、国内外の映画で20年以上前から銀幕で活躍した警察官たちが続々と帰ってきたことです。

①『帰ってきた あぶない刑事』 [レンタル&配信あり]
1986年のテレビ放送以来、劇場版7作品が製作。舘ひろし&柴田恭兵主演の人気シリーズ8年ぶりの劇場作品。刑事を定年したタカ&ユージ、探偵として横浜に帰ってきます。

②『特捜戦隊デカレンジャー 20th ファイヤーボール・ブースター』 [レンタル&配信あり]
04年から1年間放送されたスーパー戦隊シリーズ28作目「特捜戦隊デカレンジャー」。放送20周年を記念して製作された作品です。エイリアン特区から高知県へ捜査に向かいます。

③『バッドボーイズ RIDE OR DIE』 [レンタル&配信あり]
ウィル・スミス&マーティン・ローレンス共演による『バッドボーイズ』シリーズ4作目。マイクとマーカスは罠にハマり、容疑者として警察からも敵組織からも追われてしまいます。

④『ビバリーヒルズ・コップ アクセル・フォーリー』 [配信あり]
エディ・マーフィ主演による『ビバリーヒルズ・コップ』シリーズの30年ぶりの続編で4作目。Netflix映画。ビリーやジョン、新しい相棒と一緒に、事件を暴いていきます。

⑤『室井慎次 敗れざる者』と『室井慎次 生き続ける者』の2部作 [絶賛上映中]
「踊る大捜査線」シリーズの室井慎次が主役の2部作。12年ぶりのシリーズ続編です。退官し故郷・秋田県で里子と暮らす室井さん。ある日、自宅近くの土の中から死体が見つかる。



 

(C)2024 フジテレビジョン ビーエスフジ 東宝

令和に、タカ&ユージ、そして室井さんと青島くんをスクリーンで観られるとは誰が予想していたことでしょう。かなり胸熱な復活劇でした。3作品とも、興行収入は15億円越えの大ヒットで、人気は健在でした。ちなみに、98年公開の『あぶない刑事フォーエヴァー THE MOVIE』と『踊る大捜査線 THE MOVIE 湾岸署史上最悪の三日間』ぶりに公開年が重なるなんて、なんだかエモいです。
『帰ってきた あぶない刑事』は38年間の歴史や“お約束”は継承しつつ、監督はBABEL LABELの映像作家として活動する原廣利さんが務め、若手も参加する新体制で制作。その効果か、スベらない演出に仕上がり、新旧どちらのお客さんも満足する内容だったんじゃないかと思います。筆者がDJ・制作をするラジオ番組「キャプテン・ポップコーン」へ全国から「アブデカ」のリスナーメッセージが寄せられ、その6割が10〜20代で驚愕しました。
「『室井慎次』2部作」は、踊るシリーズ従来のアップテンポ感はなく、スローライフな作風に。これまでシリーズを観ていなかった層から共感する声をよく耳にしました。あと、大事件ばかりの警察ドラマらしいことではなく、人間にフォーカスする部分が「踊る」らしさだったと個人的には感じています。室井さん自身が本編中に「楽しかった」と語り、前作から12年間の間に何があったのか語られるだけで尊い…。26年には『踊る大捜査線 N.E.W.』が公開決定です。

日本映画の国際的な評価と活躍


(C)2024「ナミビアの砂漠」製作委員会

24年3月に発表された米国アカデミーでは、宮崎駿監督作品『君たちはどう生きるか』(23)が長編アニメーション賞、山崎貴監督作品『ゴジラ -1.0』(23)が視覚効果賞を受賞。視覚効果賞はスタッフが受賞するケースが多く、監督の受賞は『2001年宇宙の旅』(68)のスタンリー・キューブリック監督以来、2人目とのことです。また、5月のカンヌ国際映画祭では審査員に『万引き家族』(18)の是枝裕和監督が選ばれました。河瀬直美監督以来、11年ぶりで映画監督としては2人目です。
 
カンヌの「ある視点」部門には、奥山大史監督の『ぼくのお日さま』(24)が招待されました。北海道苫小牧市などで撮影され、雪が降りはじめてから雪がとけるまでの小さな恋たちの物語。奥山監督は日本人として史上最年少選出です。
山中瑶子監督の『ナミビアの砂漠』(24)は、カンヌの「ある監督週間」に出品され、国際映画批評家連盟賞を女性監督として最年少受賞しました。物語は現代日本の若者たちの恋愛や人生を鋭い視点で描く青春ドラマです。
 
10月、東宝は北米でスタジオジブリの作品など日本アニメを配給する米企業「GKIDS」買収し、これを皮切りに長期計画で世界戦略を実施します。
米ソニー・ピクチャーズ配給の長編映画『グランドギア(原題)/Grandgear』で、山崎貴監督が脚本と監督を務めると11月に発表されました。プロデューサーは『スター・ウォーズ』シリーズなどのJ・J・エイブラムスさん。『ミッション:インポッシブル』シリーズなどでお馴染みの制作会社バッド・ロボット・プロダクションも携わります。ちなみに山崎監督作品は国内で製作する場合、制作会社「ROBOT」と主に映画をつくります。偶然にも社名に「ロボット」つながり…、感慨深いです。

矢武兄輔

まちのえいが屋さん/キャプテン・ポップコーン

20歳の1月。札幌映画サークルに入会直後、さぬき映画祭への参加で『踊る大捜査線』の製作陣や深田晃司監督と出逢い、映画界の現実や地方から発信するエンタメの可能性を知る。そこから「映画館へ行く人を増やす」という目標を持ち、カネゴンを呼んでみたり、学生向け媒体をつくったり、休学して東京国際映画祭で勤務、映画館へ就職→退職→「矢武企画」を起業からの今は某局でラジオDJ。 すべては『踊る』の完結が始まりだった。そして、踊るプロジェクト再始動と共に…! ということで、皆さんにとって映画がもっと近くなれますように。

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