2025.5.12

“ティダ”に託された信念の光 『太陽の運命』札幌の舞台挨拶で佐古監督が語ったリーダーの姿と沖縄の記憶

5月31日(土)より札幌のシアターキノ、6月7日(土)より苫小牧シネマ・トーラスで公開されるドキュメンタリー映画『太陽の運命』。本作は、沖縄の“リーダー”として歴史に名を刻んだ2人の元知事、大田昌秀と翁長雄志の歩みと信念を通して、復帰後の沖縄現代史を記録した意欲作です。
公開に先がけ、札幌市のシアターキノで5月7日(火)に開催された先行上映会には、本作を手がけた佐古忠彦監督が登壇しました。佐古監督は、作品に込めた想いや制作の背景、そして「太陽(ティダ)」というタイトルに託した意味を語っています。今回は、その舞台挨拶の様子をレポートします。

沖縄現代史を記録し続けてきた佐古監督の集大成

本作は、沖縄の2人の元知事──大田昌秀(1990〜98年)と翁長雄志(2014〜18年)──の軌跡を通して、辺野古移設問題を中心とした沖縄の現代史と、日本という国家の姿勢を浮き彫りにする作品です。

佐古監督は「復帰のその先」を描くために、30年におよぶ辺野古をめぐる経緯を中心に据えました。起点として描かれるのが、軍用地強制使用に抗い、代理署名を拒否した大田知事と、辺野古埋め立て承認を取り消し、現職のまま亡くなった翁長知事。ともに政治的立場は異なり、かつては激しく対立していましたが、晩年には言葉や思想が重なり合うようになっていきます。そこに沖縄と国家との関係の“答え”があると語りました。

映像と記録が“線”になるとき

このドキュメンタリーは、琉球放送との共同制作として始動。30年分の映像資料をもとに、取材映像や証言を一本の“線”として再構築する作業が進められました。

監督は、琉球放送の映像ライブラリーに何日もこもり、時系列で整理した映像と証言を結び直しました。「あの出来事があったから、今がある」。そうした“線”の発見こそが、記録映画の力であり、この作品の背骨となったと感じます。

辺野古が「唯一の選択肢」として語られるようになった背景には、丁寧に積み上げられた沖縄の主張が忘れ去られている現実があります。だからこそ、過去をもう1度紐解く必要があると語りました。

(C)2025 映画「太陽の運命」製作委員会

“太陽(ティダ)”という名のリーダーたち


(C)2025 映画「太陽の運命」製作委員会

映画のタイトル『太陽の運命』には、沖縄の言葉で「太陽」や「リーダー」を意味する“ティダ”という想いが込められています。知事というリーダーの姿を通して見えてくるのは、沖縄の人々の歩みであり、民意そのものです。

「これは沖縄の問題ではなく、日本全体の問題なんです」と監督は力を込める。民主主義のあり方、当事者意識の欠如──本作は“沖縄だけの話”として片づけられがちな現実に対し、静かに警鐘を鳴らします。

観る人の心に届いた“希望”の声──若者の言葉と各地の反響

本作は、各地の上映会でも多くの感想が寄せられています。監督が中でも印象的だと語ったのが、ある若い観客の言葉です。「先輩たちがこんなにも頑張っていたことを知って、私は希望が見えました」。そのひと言に、作品を悲しみや怒りではなく、“希望”として受け止める声の力を感じたといいます。
また監督は、「涙を流しながら観てくれた方も多く、沖縄では“今この瞬間”に向き合う当事者としての姿が強く印象に残った」と話しました。東京や大阪など本土での上映でも、「沖縄のことを知っていたつもりだったが、いかに傍観者だったかを痛感した」「沖縄を孤独にしてはいけない」といった声も上がっています。

(C)2025 映画「太陽の運命」製作委員会

記録が語り継ぐ、政治と感情のリアル


(C)2025 映画「太陽の運命」製作委員会

編集段階で削られたものの、ウイスキーの銘柄をめぐって県議会で論争が起きたエピソードなどもあり、そうした人間的なやり取りも含めて、政治家の姿には“感情”があり、その感情こそが時に政治を動かす原動力にもなっていると監督は語っています。

記録が未来をつなぐ。アーカイブや資料の蓄積があったからこそ、この映画は生まれました。報道に携わるすべての人にとって、大切な資産になると心から感じます。

映画『太陽の運命』は、かつて“ティダ(太陽)”と呼ばれた2人のリーダーの姿を通して、いま私たちが生きる日本社会の「現在地」を見つめ直す作品となっています。この作品が問うのは、かつての出来事だけではありません。いま、この国で“ティダ”となるべき存在とは誰なのか。その問いを、私たちひとりひとりが受け止める時代が来ているのかもしれません。

『太陽の運命』の作品概要

・監督:佐古忠彦

・撮影:福田安美

・音声:町田英史

・編集:庄子尚慶

・語り:山根基世

・音楽:兼松衆、阿部玲子、澤田佳歩、佐久間奏、栗原真葉、三木 深

・選曲・サウンドデザイン:御園雅也

・音楽制作プロデューサー:水田大介

・音響効果:田久保貴昭

・プロデューサー:小濱裕、嘉陽順、嘉手納央揮、米田浩一郎、松田崇裕、津村有紀

・テーマ曲:「艦砲ぬ喰ぇー残さー」 作詞・作曲:比嘉恒敏

・劇中歌歌唱:でいご娘 / エンディングテーマ演奏:辺土名直子

・公式サイト:https://tida-unmei.com/

(C)2025 映画「太陽の運命」製作委員会

沖縄現代史を記録し続けてきた佐古監督の集大成

本作は、沖縄の2人の元知事──大田昌秀(1990〜98年)と翁長雄志(2014〜18年)──の軌跡を通して、辺野古移設問題を中心とした沖縄の現代史と、日本という国家の姿勢を浮き彫りにする作品です。

佐古監督は「復帰のその先」を描くために、30年におよぶ辺野古をめぐる経緯を中心に据えました。起点として描かれるのが、軍用地強制使用に抗い、代理署名を拒否した大田知事と、辺野古埋め立て承認を取り消し、現職のまま亡くなった翁長知事。ともに政治的立場は異なり、かつては激しく対立していましたが、晩年には言葉や思想が重なり合うようになっていきます。そこに沖縄と国家との関係の“答え”があると語りました。

映像と記録が“線”になるとき


(C)2025 映画「太陽の運命」製作委員会

このドキュメンタリーは、琉球放送との共同制作として始動。30年分の映像資料をもとに、取材映像や証言を一本の“線”として再構築する作業が進められました。

監督は、琉球放送の映像ライブラリーに何日もこもり、時系列で整理した映像と証言を結び直しました。「あの出来事があったから、今がある」。そうした“線”の発見こそが、記録映画の力であり、この作品の背骨となったと感じます。

辺野古が「唯一の選択肢」として語られるようになった背景には、丁寧に積み上げられた沖縄の主張が忘れ去られている現実があります。だからこそ、過去をもう1度紐解く必要があると語りました。

“太陽(ティダ)”という名のリーダーたち


(C)2025 映画「太陽の運命」製作委員会

映画のタイトル『太陽の運命』には、沖縄の言葉で「太陽」や「リーダー」を意味する“ティダ”という想いが込められています。知事というリーダーの姿を通して見えてくるのは、沖縄の人々の歩みであり、民意そのものです。

「これは沖縄の問題ではなく、日本全体の問題なんです」と監督は力を込める。民主主義のあり方、当事者意識の欠如──本作は“沖縄だけの話”として片づけられがちな現実に対し、静かに警鐘を鳴らします。

観る人の心に届いた“希望”の声──若者の言葉と各地の反響


(C)2025 映画「太陽の運命」製作委員会

本作は、各地の上映会でも多くの感想が寄せられています。監督が中でも印象的だと語ったのが、ある若い観客の言葉です。「先輩たちがこんなにも頑張っていたことを知って、私は希望が見えました」。そのひと言に、作品を悲しみや怒りではなく、“希望”として受け止める声の力を感じたといいます。
また監督は、「涙を流しながら観てくれた方も多く、沖縄では“今この瞬間”に向き合う当事者としての姿が強く印象に残った」と話しました。東京や大阪など本土での上映でも、「沖縄のことを知っていたつもりだったが、いかに傍観者だったかを痛感した」「沖縄を孤独にしてはいけない」といった声も上がっています。

記録が語り継ぐ、政治と感情のリアル


(C)2025 映画「太陽の運命」製作委員会

編集段階で削られたものの、ウイスキーの銘柄をめぐって県議会で論争が起きたエピソードなどもあり、そうした人間的なやり取りも含めて、政治家の姿には“感情”があり、その感情こそが時に政治を動かす原動力にもなっていると監督は語っています。

記録が未来をつなぐ。アーカイブや資料の蓄積があったからこそ、この映画は生まれました。報道に携わるすべての人にとって、大切な資産になると心から感じます。

映画『太陽の運命』は、かつて“ティダ(太陽)”と呼ばれた2人のリーダーの姿を通して、いま私たちが生きる日本社会の「現在地」を見つめ直す作品となっています。この作品が問うのは、かつての出来事だけではありません。いま、この国で“ティダ”となるべき存在とは誰なのか。その問いを、私たちひとりひとりが受け止める時代が来ているのかもしれません。

『太陽の運命』の作品概要


(C)2025 映画「太陽の運命」製作委員会

・監督:佐古忠彦

・撮影:福田安美

・音声:町田英史

・編集:庄子尚慶

・語り:山根基世

・音楽:兼松衆、阿部玲子、澤田佳歩、佐久間奏、栗原真葉、三木 深

・選曲・サウンドデザイン:御園雅也

・音楽制作プロデューサー:水田大介

・音響効果:田久保貴昭

・プロデューサー:小濱裕、嘉陽順、嘉手納央揮、米田浩一郎、松田崇裕、津村有紀

・テーマ曲:「艦砲ぬ喰ぇー残さー」 作詞・作曲:比嘉恒敏

・劇中歌歌唱:でいご娘 / エンディングテーマ演奏:辺土名直子

・公式サイト:https://tida-unmei.com/

早川真澄

ライター・編集者

北海道の情報誌の編集者として勤務し映画や観光、人材など地域密着の幅広いジャンルの制作を手掛ける。現在は編集プロダクションを運営し雑誌、webなど媒体を問わず企画制作を行っています。

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