photo|矢武兄輔[キャプテン・ポップコーン]
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2025.11.6

北海道野付半島で撮影『恒星の向こう側』舞台挨拶レポート 5日、福地桃子と河瀬直美が最優秀女優賞を獲得

北海道別海町など道内でも撮影された『恒星の向こう側』は、第38回東京国際映画祭でコンペティション部門において108の国と地域から1970本の応募がある中で選出された注目の日本映画です。本作は、『四月の永い夢』(17)などで鮮烈な印象を残した中川龍太郎監督が挑む“喪失と再生”をテーマにした3部作の最終章。11月5日(水)に行われたクロージングセレモニーでは、主人公・未知役の福地桃子さんと、母親・可那子役の河瀬直美さんがふたり揃って最優秀女優賞に輝きました。

SASARU movieでは、俳優の寛一郎さん、河瀬さん、中川監督が10月29日(水)に登壇したワールドプレミアの舞台挨拶を。そして、同回上映後の中川監督と、サプライズで河瀬さんが登壇した質疑応答の様子をキャプテン・ポップコーンこと矢武企画・矢武兄輔が東京国際映画祭(以下「TIFF」と記載)からレポートします。

※河瀬直美さんの「瀬」の字は正しくは右側が「刀」の下に「頁」と書きます。


(C) 2025映画「恒星の向こう側」製作委員会

この映画は、母の余命を知り故郷に戻った娘・未知(福地桃子)は、寄り添おうとしながらも拒絶する母・可那子(河瀬直美)と衝突を重ねる。夫・登志蔵(寛一郎)との間に子を宿しながらも、亡き親友への想いに揺れる彼の姿に不安を募らせる未知。母の遺したカセットテープから“もうひとつの愛”を知ったとき、彼女は初めて母を理解し、母から託された愛を胸に進んでいく、という物語。

2015年、仲野太賀が初めて映画の主演を務めた『走れ、絶望に追いつかれない速さで』(16)がTIFFの日本映画スプラッシュ部門で上映された中川監督は「(TIFFで)上映したところから、監督としてのキャリアの始まりでした。こうして、10年以上の時間を経て、新しい仲間と一緒にこの場に戻ってこられて、とても嬉しいです」と感謝を口にした。
「えー、中川龍太郎の仲間の河瀬です」と、『あん』(15)などの映画監督として著名な河瀬さんが出演者として登壇。「こういった舞台挨拶は監督として出ることがほとんどであり、“女優”として出ていると思うと、何を言ったらいいのか…。なかなか難しい」と、戸惑いながらも挨拶した。寛一郎さんは「(この映画を)みなさんに観ていただく場は初めてなので、楽しんでください」と、本作がワールドプレミア上映であることに触れた。
 
中川監督は「原点回帰という気持ちでつくった作品。少し作品の幅も変わってきたところで、自分の中で1番最初に自主映画を撮っていた時の気持ちに戻ってつくりました。それを(上映の)原点であり、TIFFで市山尚三(TIFFプログラミングディレクター)さんに選んでいただいて上映できるということはすごく感慨深いです」と気持ちを明かす。

出演者の寛一郎 (撮影|矢武企画)


映画監督でもある河瀬直美 (撮影|矢武企画)

河瀬さんは「いつも自分の映画で俳優に対して、役積みをして役そのものになってほしいと言っているので、そういう役割を、若手の一線を行く中川監督から“やってほしい”と言われたとき『そういうことできません!』とは一切言えず(笑)。もうやるしかないと、命を懸けてやりました」と撮影時のことを振り返り苦笑い。一方、司会者から「映画監督に俳優を頼むのは勇気のある行動では?」とオファーに至った理由を聞かれ、中川監督は「皆さんもご存知の通り、河瀬さんは映画監督の中でも1番緊張するような感じはある(笑)。でも実は河瀬さんの映画にも少しだけ出演させていただいています。その時、河瀬さんの人としての存在感がすさまじいものがあって、俳優は技術だけではなく、魂として存在感があることがすごく重要だと思っている。本当にパワーの必要な役だったから『これは直美さんしかいない!』と思い、怖かったけど(笑)!! オファーした感じです」と経緯を語った。
出演した寛一郎は「偶然の連鎖というか、必然かもしれませんが、中川監督は20代前半の時から知っており、(先に)役者として共演をしていました。そのときいろいろ話して、作品(本作)のオファーを頂きました。(その共演作も)主演が福地桃子さんで「お母さん役は誰ですか?」と聞いたとき、河瀬さんと聞いて『マジで?!』となったのを覚えています。(笑)」と驚きを隠せなかった模様。一方、言葉では恐怖感を醸し出しているが、3人は俳優、監督として何度も一緒に仕事をしているそうで「ここ、ファミリーみたい」と観客と共に笑いが起こっていた。ちなみに、中川監督は原案として参加している『そこにきみはいて』(11月28日公開)に中野慎吾役で出演。

写真左から中川・河瀬・寛一郎 (撮影|矢武企画)


(C) 2025映画「恒星の向こう側」製作委員会

すると、河瀬さんが「だから監督+俳優(=中川)、監督+俳優(=河瀬)。俳優+俳優(=寛一郎)だから次は監督にならなあかん」と言い、続けて中川監督が「(この流れだと)寛一郎も監督にならないといけないから俺たち出るよ!」と提案すると「いや〜嫌ですね、めんどくさい(笑)」と拒否しつつ、本作では演出家の役のため「僕の役は中川さんをベースに作って、ずっと観察しながらやっていましたね」と、役作りのモデルは中川監督と明かした。「この作品は、これまでの自分の作品に出てくれた俳優さんばかり出演してくれていて、(寛一郎を見て)みんな笑うんですよ『喋り方と歩き方がそっくり』だって」と中川監督は絶賛。一方、河瀬は「そういう意味では中川監督の集大成であり、2000近くある応募の中からの15作品に選ばれ、到達点みたいなものがある」と今回のノミネートを称えた。
上映終了後は満席の劇場内から質疑応答が行われた。中川監督と急遽、河瀬さんも登壇。SASARU movieでは、抜粋して2つの質問を紹介する。
 
[質問①]奈良の他に北海道別海町の野付を選ばれた理由を教えてください。奈良の鹿、エゾシカ・・・鹿繋がり?
 
中川「奈良は日本という国で1番古い場所ですよね。野付半島は、ある意味日本人の大和民族としての文化がすごく離れているところ。つまり、縄文的なものと弥生的なものが、この日本という国の中で、とても対比があると思っていて、そのことを意識してつくりました。奈良を舞台にしたのは、本当に直美さんが出てるから。『私は奈良弁でしか芝居ができへん!』と言うので(笑)。でも、本当に奈良の映画祭に招待していただいたとき、素晴らしい場所なので、その文化としての対比というのがこの物語には必要だと思いました。鹿はたまたまです(笑)。」

監督の中川龍太郎 (撮影|矢武企画)


観客からの質問に答える2人 (撮影|矢武企画)

[質問②]監督として撮り続けていたら、新たなチャレンジとして俳優業をしたくなったのですか?
 
中川「『僕の樹木希林になってください!』とお願いしました(笑)」
河瀬「龍ちゃん、本当に(芝居が)上手いんですよ。ディレクターより俳優の方がいいんじゃないって。ぜひ、(河瀬・中川で)共演を(笑)」
中川「あの、真面目に質問に答えるとですね(笑)。映画をつくるって、自主制作からやりだしているから、“映画をつくる”と“自分が出る”ということの距離は、そこまで大きく離れているわけではない感じがします。自分がカメラの前に立つことでしか“知れない感情”があり、自分も演出家として、かなり行き詰まりを感じていたところで、直美さんの演出を受けたりして、すごい『なるほど!』と思うところも多くて。『そこにきみはいて』と河瀬さん、2つの作品に出演して、自分自身が演出家として進みたい道も開けました。それは別々のものではなくて、繋がっているものと感じています。」

映画『恒星の向こう側』作品情報

『走れ、絶望に追い付かれない速さで』(16)、『四月の永い夢』(17)で鮮烈な印象を残した中川龍太郎監督が挑む“喪失と再生”がテーマの3部作の最終章。
 
母の余命を知り故郷に戻った娘・未知は、寄り添おうとしながらも拒絶する母・可那子と衝突を重ねる。夫・登志蔵との間に子を宿しながらも、亡き親友への想いに揺れる彼の姿に不安を募らせる未知。母の遺したテープから“もう一つの愛”を知ったとき、彼女は初めて母を理解し、母から託された愛を胸に進んでいく。

※記事内の文章・画像は無断転載・使用を禁止します。
 

(C) 2025映画「恒星の向こう側」製作委員会


(C) 2025映画「恒星の向こう側」製作委員会

この映画は、母の余命を知り故郷に戻った娘・未知(福地桃子)は、寄り添おうとしながらも拒絶する母・可那子(河瀬直美)と衝突を重ねる。夫・登志蔵(寛一郎)との間に子を宿しながらも、亡き親友への想いに揺れる彼の姿に不安を募らせる未知。母の遺したカセットテープから“もうひとつの愛”を知ったとき、彼女は初めて母を理解し、母から託された愛を胸に進んでいく、という物語。

2015年、仲野太賀が初めて映画の主演を務めた『走れ、絶望に追いつかれない速さで』(16)がTIFFの日本映画スプラッシュ部門で上映された中川監督は「(TIFFで)上映したところから、監督としてのキャリアの始まりでした。こうして、10年以上の時間を経て、新しい仲間と一緒にこの場に戻ってこられて、とても嬉しいです」と感謝を口にした。

出演者の寛一郎 (撮影|矢武企画)

「えー、中川龍太郎の仲間の河瀬です」と、『あん』(15)などの映画監督として著名な河瀬さんが出演者として登壇。「こういった舞台挨拶は監督として出ることがほとんどであり、“女優”として出ていると思うと、何を言ったらいいのか…。なかなか難しい」と、戸惑いながらも挨拶した。寛一郎さんは「(この映画を)みなさんに観ていただく場は初めてなので、楽しんでください」と、本作がワールドプレミア上映であることに触れた。
 
中川監督は「原点回帰という気持ちでつくった作品。少し作品の幅も変わってきたところで、自分の中で1番最初に自主映画を撮っていた時の気持ちに戻ってつくりました。それを(上映の)原点であり、TIFFで市山尚三(TIFFプログラミングディレクター)さんに選んでいただいて上映できるということはすごく感慨深いです」と気持ちを明かす。

映画監督でもある河瀬直美 (撮影|矢武企画)

河瀬さんは「いつも自分の映画で俳優に対して、役積みをして役そのものになってほしいと言っているので、そういう役割を、若手の一線を行く中川監督から“やってほしい”と言われたとき『そういうことできません!』とは一切言えず(笑)。もうやるしかないと、命を懸けてやりました」と撮影時のことを振り返り苦笑い。一方、司会者から「映画監督に俳優を頼むのは勇気のある行動では?」とオファーに至った理由を聞かれ、中川監督は「皆さんもご存知の通り、河瀬さんは映画監督の中でも1番緊張するような感じはある(笑)。でも実は河瀬さんの映画にも少しだけ出演させていただいています。その時、河瀬さんの人としての存在感がすさまじいものがあって、俳優は技術だけではなく、魂として存在感があることがすごく重要だと思っている。本当にパワーの必要な役だったから『これは直美さんしかいない!』と思い、怖かったけど(笑)!! オファーした感じです」と経緯を語った。

写真左から中川・河瀬・寛一郎 (撮影|矢武企画)

出演した寛一郎は「偶然の連鎖というか、必然かもしれませんが、中川監督は20代前半の時から知っており、(先に)役者として共演をしていました。そのときいろいろ話して、作品(本作)のオファーを頂きました。(その共演作も)主演が福地桃子さんで「お母さん役は誰ですか?」と聞いたとき、河瀬さんと聞いて『マジで?!』となったのを覚えています。(笑)」と驚きを隠せなかった模様。一方、言葉では恐怖感を醸し出しているが、3人は俳優、監督として何度も一緒に仕事をしているそうで「ここ、ファミリーみたい」と観客と共に笑いが起こっていた。ちなみに、中川監督は原案として参加している『そこにきみはいて』(11月28日公開)に中野慎吾役で出演。

(C) 2025映画「恒星の向こう側」製作委員会

すると、河瀬さんが「だから監督+俳優(=中川)、監督+俳優(=河瀬)。俳優+俳優(=寛一郎)だから次は監督にならなあかん」と言い、続けて中川監督が「(この流れだと)寛一郎も監督にならないといけないから俺たち出るよ!」と提案すると「いや〜嫌ですね、めんどくさい(笑)」と拒否しつつ、本作では演出家の役のため「僕の役は中川さんをベースに作って、ずっと観察しながらやっていましたね」と、役作りのモデルは中川監督と明かした。「この作品は、これまでの自分の作品に出てくれた俳優さんばかり出演してくれていて、(寛一郎を見て)みんな笑うんですよ『喋り方と歩き方がそっくり』だって」と中川監督は絶賛。一方、河瀬は「そういう意味では中川監督の集大成であり、2000近くある応募の中からの15作品に選ばれ、到達点みたいなものがある」と今回のノミネートを称えた。

監督の中川龍太郎 (撮影|矢武企画)

上映終了後は満席の劇場内から質疑応答が行われた。中川監督と急遽、河瀬さんも登壇。SASARU movieでは、抜粋して2つの質問を紹介する。
 
[質問①]奈良の他に北海道別海町の野付を選ばれた理由を教えてください。奈良の鹿、エゾシカ・・・鹿繋がり?
 
中川「奈良は日本という国で1番古い場所ですよね。野付半島は、ある意味日本人の大和民族としての文化がすごく離れているところ。つまり、縄文的なものと弥生的なものが、この日本という国の中で、とても対比があると思っていて、そのことを意識してつくりました。奈良を舞台にしたのは、本当に直美さんが出てるから。『私は奈良弁でしか芝居ができへん!』と言うので(笑)。でも、本当に奈良の映画祭に招待していただいたとき、素晴らしい場所なので、その文化としての対比というのがこの物語には必要だと思いました。鹿はたまたまです(笑)。」

観客からの質問に答える2人 (撮影|矢武企画)

[質問②]監督として撮り続けていたら、新たなチャレンジとして俳優業をしたくなったのですか?
 
中川「『僕の樹木希林になってください!』とお願いしました(笑)」
河瀬「龍ちゃん、本当に(芝居が)上手いんですよ。ディレクターより俳優の方がいいんじゃないって。ぜひ、(河瀬・中川で)共演を(笑)」
中川「あの、真面目に質問に答えるとですね(笑)。映画をつくるって、自主制作からやりだしているから、“映画をつくる”と“自分が出る”ということの距離は、そこまで大きく離れているわけではない感じがします。自分がカメラの前に立つことでしか“知れない感情”があり、自分も演出家として、かなり行き詰まりを感じていたところで、直美さんの演出を受けたりして、すごい『なるほど!』と思うところも多くて。『そこにきみはいて』と河瀬さん、2つの作品に出演して、自分自身が演出家として進みたい道も開けました。それは別々のものではなくて、繋がっているものと感じています。」

映画『恒星の向こう側』作品情報


(C) 2025映画「恒星の向こう側」製作委員会

『走れ、絶望に追い付かれない速さで』(16)、『四月の永い夢』(17)で鮮烈な印象を残した中川龍太郎監督が挑む“喪失と再生”がテーマの3部作の最終章。
 
母の余命を知り故郷に戻った娘・未知は、寄り添おうとしながらも拒絶する母・可那子と衝突を重ねる。夫・登志蔵との間に子を宿しながらも、亡き親友への想いに揺れる彼の姿に不安を募らせる未知。母の遺したテープから“もう一つの愛”を知ったとき、彼女は初めて母を理解し、母から託された愛を胸に進んでいく。

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矢武兄輔

まちのえいが屋さん/キャプテン・ポップコーン

20歳の1月。札幌映画サークルに入会直後、さぬき映画祭への参加で『踊る大捜査線』の製作陣や深田晃司監督と出逢い、映画界の現実や地方から発信するエンタメの可能性を知る。そこから「映画館へ行く人を増やす」という目標を持ち、カネゴンを呼んでみたり、学生向け媒体をつくったり、休学して東京国際映画祭で勤務、映画館へ就職→退職→「矢武企画」を起業からの今は某局でラジオDJ。 すべては『踊る』の完結が始まりだった。そして、踊るプロジェクト再始動と共に…! ということで、皆さんにとって映画がもっと近くなれますように。

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