(C) 2026 20th Century Studios. All Rights Reserved.
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2026.5.1

『プラダを着た悪魔2』全方位レビュー|20年後のミランダとアンディの「ケミストリー」は、デジタル時代にどう進化したのか

2026年5月1日(金)公開の映画『プラダを着た悪魔2』を試写で観て、まず思ったことはひとつ。ミランダは、やっぱりミランダでした。

あの鋭い視線、空気を一瞬で凍らせるひと言、誰も逆らえない存在感は健在。けれど、20年後の「ランウェイ」は前作と同じ世界ではありません。紙の雑誌が絶対だった時代から、webで読まれ、拡散され、時に炎上する時代へ。懐かしい再会を楽しませながら、この続編は今のメディア環境や働き方の息苦しさまで、しっかり描いていました。

ミランダは健在、でも“そのままの悪魔”ではいられない

『プラダを着た悪魔2』_レビュー_ミランダ

(C) 2026 20th Century Studios. All Rights Reserved.

続編で1番うれしかったのは、ミランダが安易に「丸くなった人」として描かれていないことでした。

もちろん、20年前と同じように周囲を圧倒します。部屋に入ってくるだけで空気が変わり、部下たちは今も彼女の一挙手一投足に反応する。ただし、その権威の見せ方は少し変わっていました。

象徴的なのが、会議でミランダの発言に対してアシスタントから指摘が入る場面。前作のミランダなら、誰も正面からそんなことを言えなかったはずです。けれど今は、どれほど伝説的な編集長であっても、言葉の扱いを問われる時代。彼女自身も、その変化から逃げられません。

さらに印象的だったのが、コートやバッグの扱い。前作では出社するなり、脱ぎ捨てたコートをアシスタントが当然のように受け止めていたものを今作ではミランダ自身がハンガーにかける場面があります。ほんの小さな動きですが、かなり大きな変化です。

ミランダの迫力が消えたわけではありません。むしろ、強さを残したまま、時代に合わせて権威の見せ方を変えている。そのさじ加減が、とても今作らしいところです。

アンディの成長と、デジタル時代の「ランウェイ」

今回の物語の核にいるのは、やはりアンディです。
本作の彼女は、ジャーナリストとしてキャリアを積み、賞も獲得しています。あの時、自分の道を選んだアンディは、確かに前へ進んでいました。けれど本作は、そこを単純な成功物語にはしません。実績があっても、仕事を失うことがある。理想を持っていても、環境に振り回されることがある。そのあたりの厳しさにリアリティがあります。そんなアンディが、ミランダの炎上をきっかけに「ランウェイ」へ戻る。ここがおもしろいところでした。アンディは、ただ昔の職場に帰ってくるわけではありません。かつて自分が去った場所に、今度は編集者として戻ってきます。

彼女が大切にしているのは、きちんと取材し、読み応えのある質の高い記事を作ること。けれど現在の「ランウェイ」は、紙の美しいページだけで成立する世界ではなくなっています。webでどれだけ読まれるか、どれだけ数字が取れるか。記事の価値が、クリックや閲覧数で測られていく。その現実がアンディの前に立ちはだかります。
『プラダを着た悪魔2』_レビュー_アンディ

(C) 2026 20th Century Studios. All Rights Reserved.

だから今回は「お仕事映画」としても刺さる

『プラダを着た悪魔2』_レビュー_ミランダ&アンディ

(C) 2026 20th Century Studios. All Rights Reserved.

『プラダを着た悪魔』といえば、ファッション映画であり、成長物語であり、ミランダという強烈なキャラクターを楽しむ映画でもあります。けれど『プラダを着た悪魔2』は、それに加えて“仕事映画”として刺さる作品でした。

特に、編集やメディアに関わる仕事を少しでも知っている人なら、アンディの悩みはとても身近に感じるはずです。丁寧に作った記事が必ずしも読まれるとは限らない。逆に、軽く見えるものが一気に数字を取ることもある。理想と現実の間で、自分が何を守るのかを問われ続けます。その苦しさが、華やかな画面の下にきちんと描かれています。

「ランウェイ」の世界観は相変わらず煌びやかです。でも、その中で働く人たちのしんどさは、キャリアや責任を背負った大人ならではの悩みに変化しているのも特徴のひとつ。夢の職場に見える場所にも、時代の変化や数字の圧力がある。そこを描いているから、この続編は懐かしいだけで終わりません。

ファッションは“大人のアンディ”を語っている

もちろん、ファッションの楽しさもたっぷりあります。ただ今回は、単に「衣装が素敵」で終わらないのがいいところでした。服がキャラクターの変化をきちんと語っています。

前作のアンディは、ファッションによって“変身していく”キャラクターでした。少しずつ「ランウェイ」の世界になじみ、かわいらしさと華やかさをまとっていく。その変化には、観ているこちらまでワクワクする高揚感があります。

今作のアンディは、パンツスタイルを多く取り入れ、甘さよりも芯の強さが際立つ着こなしに変化しています。誰かに見出されて変わるのではなく、自分の力でキャリアを築いてきたことが伝わる装いで、ジャーナリストとしての経験の積み重ねがにじみます。それでもドレス姿は圧巻で、華やかさを持ちながら、成熟した魅力をまとったアンディの輪郭を、ファッションがしっかりと支えています。
 
『プラダを着た悪魔2』_レビュー_ミランダ&アンディ2

(C) 2026 20th Century Studios. All Rights Reserved.

ナイジェルとエミリーが“続編らしさ”を支える

『プラダを着た悪魔2』_レビュー_エミリー

(C) 2026 20th Century Studios. All Rights Reserved.

ナイジェルは、今回もアンディの理解者として登場します。前作で彼がアンディに与えた言葉や距離感を覚えている人ほど、再会の場面にはじんわりくるはず。立場や年齢は変わっても、アンディを導く存在であることは変わらない。その安心感がありました。

そしてエミリー。アンディに冷たく、でもどこか憎めない存在だった彼女が、今作ではラグジュアリーブランドの幹部として登場します。「ランウェイ」存続の鍵を握る立場にいるという設定も、おもしろいところ。相変わらずの鋭さや冷たさは残しつつ、アンディとの関係性には確かな変化があります。かつて同じ場所でミランダに振り回されていた2人が、20年後にまったく違う立場で向き合う。その時間の流れこそ、続編ならではのみどころです。

あの“服が切り替わる魔法”も健在

重たいテーマもありますが、やっぱり『プラダを着た悪魔』らしい楽しさも忘れていません。特にうれしかったのが、前作でも印象的だった車などが通り過ぎる瞬間に“服がパッと切り替わる”ような演出。今回もこの演出は健在!どんなスタイルが登場するかはぜひ劇場でチェックしてください。

この映画の魅力は、仕事の厳しさを描きながらも、しっかり映画的な魔法を残しているところ。現実は甘くない。でも、スクリーンの中ではファッションが背筋を伸ばしてくれる。あの高揚感が今作にもありました。
『プラダを着た悪魔2』_レビュー_ミランダ&ナイジェル

(C) 2026 20th Century Studios. All Rights Reserved.

映画『プラダを着た悪魔2』基本情報

『プラダを着た悪魔2』_レビュー_ポスター

(C) 2026 20th Century Studios. All Rights Reserved.

■公開日:2026年5月1日(金)

■監督:デヴィッド・フランケル

■脚本:アライン・ブロッシュ・マッケンナ

■キャスト:メリル・ストリープ、アン・ハサウェイ
エミリー・ブラント、スタンリー・トゥッチ
トレイシー・トムズ、ティボー・フェルドマン
ケネス・ブラナー、シモーヌ・アシュリー
ジャスティン・セロー、ルーシー・リュー
パトリック・ブラモール、ケイレブ・ヒーロン
ヘレン・J・シェン、ポーリーン・シャラメ
B・J・ノヴァク、コンラッド・リカモラ

■配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン

■公式HP:https://www.20thcenturystudios.jp/movies/devil-wears-prada2

ミランダは健在、でも“そのままの悪魔”ではいられない

『プラダを着た悪魔2』_レビュー_ミランダ

(C) 2026 20th Century Studios. All Rights Reserved.

続編で1番うれしかったのは、ミランダが安易に「丸くなった人」として描かれていないことでした。

もちろん、20年前と同じように周囲を圧倒します。部屋に入ってくるだけで空気が変わり、部下たちは今も彼女の一挙手一投足に反応する。ただし、その権威の見せ方は少し変わっていました。

象徴的なのが、会議でミランダの発言に対してアシスタントから指摘が入る場面。前作のミランダなら、誰も正面からそんなことを言えなかったはずです。けれど今は、どれほど伝説的な編集長であっても、言葉の扱いを問われる時代。彼女自身も、その変化から逃げられません。

さらに印象的だったのが、コートやバッグの扱い。前作では出社するなり、脱ぎ捨てたコートをアシスタントが当然のように受け止めていたものを今作ではミランダ自身がハンガーにかける場面があります。ほんの小さな動きですが、かなり大きな変化です。

ミランダの迫力が消えたわけではありません。むしろ、強さを残したまま、時代に合わせて権威の見せ方を変えている。そのさじ加減が、とても今作らしいところです。

アンディの成長と、デジタル時代の「ランウェイ」

『プラダを着た悪魔2』_レビュー_アンディ

(C) 2026 20th Century Studios. All Rights Reserved.

今回の物語の核にいるのは、やはりアンディです。
本作の彼女は、ジャーナリストとしてキャリアを積み、賞も獲得しています。あの時、自分の道を選んだアンディは、確かに前へ進んでいました。けれど本作は、そこを単純な成功物語にはしません。実績があっても、仕事を失うことがある。理想を持っていても、環境に振り回されることがある。そのあたりの厳しさにリアリティがあります。そんなアンディが、ミランダの炎上をきっかけに「ランウェイ」へ戻る。ここがおもしろいところでした。アンディは、ただ昔の職場に帰ってくるわけではありません。かつて自分が去った場所に、今度は編集者として戻ってきます。

彼女が大切にしているのは、きちんと取材し、読み応えのある質の高い記事を作ること。けれど現在の「ランウェイ」は、紙の美しいページだけで成立する世界ではなくなっています。webでどれだけ読まれるか、どれだけ数字が取れるか。記事の価値が、クリックや閲覧数で測られていく。その現実がアンディの前に立ちはだかります。

だから今回は「お仕事映画」としても刺さる

『プラダを着た悪魔2』_レビュー_ミランダ&アンディ

(C) 2026 20th Century Studios. All Rights Reserved.

『プラダを着た悪魔』といえば、ファッション映画であり、成長物語であり、ミランダという強烈なキャラクターを楽しむ映画でもあります。けれど『プラダを着た悪魔2』は、それに加えて“仕事映画”として刺さる作品でした。

特に、編集やメディアに関わる仕事を少しでも知っている人なら、アンディの悩みはとても身近に感じるはずです。丁寧に作った記事が必ずしも読まれるとは限らない。逆に、軽く見えるものが一気に数字を取ることもある。理想と現実の間で、自分が何を守るのかを問われ続けます。その苦しさが、華やかな画面の下にきちんと描かれています。

「ランウェイ」の世界観は相変わらず煌びやかです。でも、その中で働く人たちのしんどさは、キャリアや責任を背負った大人ならではの悩みに変化しているのも特徴のひとつ。夢の職場に見える場所にも、時代の変化や数字の圧力がある。そこを描いているから、この続編は懐かしいだけで終わりません。

ファッションは“大人のアンディ”を語っている

『プラダを着た悪魔2』_レビュー_ミランダ&アンディ2

(C) 2026 20th Century Studios. All Rights Reserved.

もちろん、ファッションの楽しさもたっぷりあります。ただ今回は、単に「衣装が素敵」で終わらないのがいいところでした。服がキャラクターの変化をきちんと語っています。

前作のアンディは、ファッションによって“変身していく”キャラクターでした。少しずつ「ランウェイ」の世界になじみ、かわいらしさと華やかさをまとっていく。その変化には、観ているこちらまでワクワクする高揚感があります。

今作のアンディは、パンツスタイルを多く取り入れ、甘さよりも芯の強さが際立つ着こなしに変化しています。誰かに見出されて変わるのではなく、自分の力でキャリアを築いてきたことが伝わる装いで、ジャーナリストとしての経験の積み重ねがにじみます。それでもドレス姿は圧巻で、華やかさを持ちながら、成熟した魅力をまとったアンディの輪郭を、ファッションがしっかりと支えています。
 

ナイジェルとエミリーが“続編らしさ”を支える

『プラダを着た悪魔2』_レビュー_エミリー

(C) 2026 20th Century Studios. All Rights Reserved.

ナイジェルは、今回もアンディの理解者として登場します。前作で彼がアンディに与えた言葉や距離感を覚えている人ほど、再会の場面にはじんわりくるはず。立場や年齢は変わっても、アンディを導く存在であることは変わらない。その安心感がありました。

そしてエミリー。アンディに冷たく、でもどこか憎めない存在だった彼女が、今作ではラグジュアリーブランドの幹部として登場します。「ランウェイ」存続の鍵を握る立場にいるという設定も、おもしろいところ。相変わらずの鋭さや冷たさは残しつつ、アンディとの関係性には確かな変化があります。かつて同じ場所でミランダに振り回されていた2人が、20年後にまったく違う立場で向き合う。その時間の流れこそ、続編ならではのみどころです。

あの“服が切り替わる魔法”も健在

『プラダを着た悪魔2』_レビュー_ミランダ&ナイジェル

(C) 2026 20th Century Studios. All Rights Reserved.

重たいテーマもありますが、やっぱり『プラダを着た悪魔』らしい楽しさも忘れていません。特にうれしかったのが、前作でも印象的だった車などが通り過ぎる瞬間に“服がパッと切り替わる”ような演出。今回もこの演出は健在!どんなスタイルが登場するかはぜひ劇場でチェックしてください。

この映画の魅力は、仕事の厳しさを描きながらも、しっかり映画的な魔法を残しているところ。現実は甘くない。でも、スクリーンの中ではファッションが背筋を伸ばしてくれる。あの高揚感が今作にもありました。

映画『プラダを着た悪魔2』基本情報

『プラダを着た悪魔2』_レビュー_ポスター

(C) 2026 20th Century Studios. All Rights Reserved.

■公開日:2026年5月1日(金)

■監督:デヴィッド・フランケル

■脚本:アライン・ブロッシュ・マッケンナ

■キャスト:メリル・ストリープ、アン・ハサウェイ
エミリー・ブラント、スタンリー・トゥッチ
トレイシー・トムズ、ティボー・フェルドマン
ケネス・ブラナー、シモーヌ・アシュリー
ジャスティン・セロー、ルーシー・リュー
パトリック・ブラモール、ケイレブ・ヒーロン
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■公式HP:https://www.20thcenturystudios.jp/movies/devil-wears-prada2

早川真澄

ライター・編集者

北海道の情報誌の編集者として勤務し映画や観光、人材など地域密着の幅広いジャンルの制作を手掛ける。現在は編集プロダクションを運営し雑誌、webなど媒体を問わず企画制作を行っています。

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