(C)2025 N.R.E
(C)2025 N.R.E

2026.7.13

共感と現実、理想と正論を行き来し観客の倫理が試される『四月の余白』 監督が学校教育の違和感を問う映画

毎週・木曜日の25:30から北海道・札幌のFM NORTH WAVE(JFL系)で放送されている、矢武企画制作・映画系トーク番組「キャプテン・ポップコーン」の内容をSASARU movieでも配信!

※この記事では「キャプテン・ポップコーン」7月2日(木)の放送内容をお届けしています。

カツオ節のゆーへい、どきどきっ映画くじ #114


(C)2025 N.R.E

このコーナーは、年内の劇場鑑賞·110作品を目指す鰹節ノ富樫政雄商店・ゆーへいさんに、映画館での劇場体験を。そして、クジで引かなければ、観なかったであろう映画を運命的にマッチングするコーナーです!!

映画『4月の余白』

更生施設を運営する元受刑者の西と、暴力的な生徒・海斗に悩む中学教師の冬子。冬子は海斗を施設へ預け、彼は更生の兆しを見せるが、脱走し再犯してしまう。さらに、西の過去も露呈し施設は窮地に陥る。問題児の更生に挑む人々と、過酷な現実に直面する姿を描く。

脚本・監督は『ミッシング』(24)などの吉田恵輔。主演は『炎上』(26)などの一ノ瀬ワタル。

ゆーへい:教育や更生をテーマに、「人は変われるのか」を問いかける作品です。暴力は決して肯定できるものではありません。しかし、きれい事だけでは解決できない現実も描かれており、簡単に答えを導き出せない重いテーマについて深く考えさせられました。また、タイトルにある『四月の余白』は、卒業や新生活が始まる4月という節目の中で、それぞれが悩みや迷いを抱えながら未来へ踏み出していく“余白”を表しているように感じました。

 
矢武:そのタイトルの解釈は、ほぼ間違っていないと思います。作品をご覧になった方なら分かると思いますが、『四月の余白』というタイトルの意味は、タイトルバックが映し出されるタイミングにも込められていると思います。ぜひ映画を観て、その演出にも注目してみてください。ちなみに監督によると、本作のテーマは「対話だけで解決しようとする学校教育への違和感」だそうです。

 

(C)2025 N.R.E


(C)2025 N.R.E

ゆーへい:印象に残ったのは、教師や更生施設で働く職員、そして親たちの苦悩です。子どもたちを救いたいという思いだけでは解決できない現実があり、理想と現実の狭間で葛藤する姿が丁寧に描かれていました。また、作中で施設の職員が語る「理由もなく問題行動を起こしてしまう子もいる」という言葉も印象的でした。人の行動は単純に善悪だけで判断できるものではないと、改めて考えさせられます。学校で問題行動を繰り返し、更生施設へ入ることになった海斗は、寮長の西と衝突を重ねながらも、その真剣な向き合い方に少しずつ心を開き、変化していく姿が印象に残りました。
矢武:海斗を演じた上阪隼人さんが、非常に印象的でした。監督によると、「天然パーマで少し姿勢が悪いひょろっとした少年が“ヤバい奴”というイメージ」があるらしく、多くのオーディション参加者の中から高坂さんを選んだそうです。さらに、他の子どもたちを演じたキャストについても、経歴よりリアリティを重視して選んだとのことです。また、詩役の山崎七海さんの演技も素晴らしかったですね。派手さはないものの、静かな存在感があり、感情がしっかりと伝わってくる演技が印象的でした。さらに、教育現場での過酷な労働環境の中で、摩耗していく教師たちの姿もリアルでした。一ノ瀬ワタルさん演じる西の「その疲れを誰も感謝も評価もしてくれないのが問題」という言葉は、とても印象に残るセリフでした。

※山崎七海さんの「崎」は正式には「たつさき」

(C)2025 N.R.E


(C)2025 N.R.E

ゆーへい:更生施設を出たからといって、すべてが解決するわけではありません。社会へ戻ってからも迷い、苦しみ、ときには過ちを犯しながら生きていかなければならない現実まで描いている点も印象的でした。「過去の過ちは一生消えないのか」「それでも人は前へ進めるのか」。そんな問いを観客にも投げかける作品だったと思います。鑑賞後も「自分ならどう向き合うだろう」と考え続けてしまう作品でした。難解ではありませんが、登場人物それぞれの立場や葛藤を考えながら観るため、とても頭を使う作品でした。

 
矢武:その感覚はよく分かります。作品自体はシンプルなヒューマンドラマですが、観ている間は共感と現実、理想と正論の間を何度も行き来させられます。観客自身の倫理観が問われる作品なので、観ていて疲れました。一方で、オープニングの入り方やタイトルバックの見せ方、そしてラストの締めくくりは非常に映画的でスタイリッシュ。本当に監督が作りたかった1本なのだと感じさせる演出で、最後まで強く印象に残りました。

映画『四月の余白』(G)は、札幌シネマフロンティア、イオンシネマ旭川駅前、イオンシネマ釧路で絶賛公開中です!

(C)2025 N.R.E

映画系トーク番組「キャプテン・ポップコーン」

映画系トーク番組「キャプテン・ポップコーン」は、北海道外にお住まいの方、もしくは聴き逃した方でも、インターネットで聴けるradikoで一定期間は聴取することが可能です。また番組の一部を「ポッドキャストもキャプテン・ポップコーン」で毎週木曜日の26時から配信中。
この記事では7月2日(木)に放送した番組内容をお届けしています。進行台本と放送内容を基に記事を作成しています。そのため、実際の放送内容とは違う表現・補足(話し言葉と書き言葉等)並びに、放送ではカットされた内容を含む場合がございます。 また、公開される映画館名や作品情報、イベントは上記日程の放送または収録時点のものになりますのでご留意ください。

【提供】キャプテン・ポップコーン/矢武企画

カツオ節のゆーへい、どきどきっ映画くじ #114


(C)2025 N.R.E

このコーナーは、年内の劇場鑑賞·110作品を目指す鰹節ノ富樫政雄商店・ゆーへいさんに、映画館での劇場体験を。そして、クジで引かなければ、観なかったであろう映画を運命的にマッチングするコーナーです!!

映画『4月の余白』

更生施設を運営する元受刑者の西と、暴力的な生徒・海斗に悩む中学教師の冬子。冬子は海斗を施設へ預け、彼は更生の兆しを見せるが、脱走し再犯してしまう。さらに、西の過去も露呈し施設は窮地に陥る。問題児の更生に挑む人々と、過酷な現実に直面する姿を描く。

脚本・監督は『ミッシング』(24)などの吉田恵輔。主演は『炎上』(26)などの一ノ瀬ワタル。

ゆーへい:教育や更生をテーマに、「人は変われるのか」を問いかける作品です。暴力は決して肯定できるものではありません。しかし、きれい事だけでは解決できない現実も描かれており、簡単に答えを導き出せない重いテーマについて深く考えさせられました。また、タイトルにある『四月の余白』は、卒業や新生活が始まる4月という節目の中で、それぞれが悩みや迷いを抱えながら未来へ踏み出していく“余白”を表しているように感じました。

 

(C)2025 N.R.E

矢武:そのタイトルの解釈は、ほぼ間違っていないと思います。作品をご覧になった方なら分かると思いますが、『四月の余白』というタイトルの意味は、タイトルバックが映し出されるタイミングにも込められていると思います。ぜひ映画を観て、その演出にも注目してみてください。ちなみに監督によると、本作のテーマは「対話だけで解決しようとする学校教育への違和感」だそうです。

 

(C)2025 N.R.E

ゆーへい:印象に残ったのは、教師や更生施設で働く職員、そして親たちの苦悩です。子どもたちを救いたいという思いだけでは解決できない現実があり、理想と現実の狭間で葛藤する姿が丁寧に描かれていました。また、作中で施設の職員が語る「理由もなく問題行動を起こしてしまう子もいる」という言葉も印象的でした。人の行動は単純に善悪だけで判断できるものではないと、改めて考えさせられます。学校で問題行動を繰り返し、更生施設へ入ることになった海斗は、寮長の西と衝突を重ねながらも、その真剣な向き合い方に少しずつ心を開き、変化していく姿が印象に残りました。

(C)2025 N.R.E

矢武:海斗を演じた上阪隼人さんが、非常に印象的でした。監督によると、「天然パーマで少し姿勢が悪いひょろっとした少年が“ヤバい奴”というイメージ」があるらしく、多くのオーディション参加者の中から高坂さんを選んだそうです。さらに、他の子どもたちを演じたキャストについても、経歴よりリアリティを重視して選んだとのことです。また、詩役の山崎七海さんの演技も素晴らしかったですね。派手さはないものの、静かな存在感があり、感情がしっかりと伝わってくる演技が印象的でした。さらに、教育現場での過酷な労働環境の中で、摩耗していく教師たちの姿もリアルでした。一ノ瀬ワタルさん演じる西の「その疲れを誰も感謝も評価もしてくれないのが問題」という言葉は、とても印象に残るセリフでした。

※山崎七海さんの「崎」は正式には「たつさき」

(C)2025 N.R.E

ゆーへい:更生施設を出たからといって、すべてが解決するわけではありません。社会へ戻ってからも迷い、苦しみ、ときには過ちを犯しながら生きていかなければならない現実まで描いている点も印象的でした。「過去の過ちは一生消えないのか」「それでも人は前へ進めるのか」。そんな問いを観客にも投げかける作品だったと思います。鑑賞後も「自分ならどう向き合うだろう」と考え続けてしまう作品でした。難解ではありませんが、登場人物それぞれの立場や葛藤を考えながら観るため、とても頭を使う作品でした。

 

(C)2025 N.R.E

矢武:その感覚はよく分かります。作品自体はシンプルなヒューマンドラマですが、観ている間は共感と現実、理想と正論の間を何度も行き来させられます。観客自身の倫理観が問われる作品なので、観ていて疲れました。一方で、オープニングの入り方やタイトルバックの見せ方、そしてラストの締めくくりは非常に映画的でスタイリッシュ。本当に監督が作りたかった1本なのだと感じさせる演出で、最後まで強く印象に残りました。

映画『四月の余白』(G)は、札幌シネマフロンティア、イオンシネマ旭川駅前、イオンシネマ釧路で絶賛公開中です!

映画系トーク番組「キャプテン・ポップコーン」

映画系トーク番組「キャプテン・ポップコーン」は、北海道外にお住まいの方、もしくは聴き逃した方でも、インターネットで聴けるradikoで一定期間は聴取することが可能です。また番組の一部を「ポッドキャストもキャプテン・ポップコーン」で毎週木曜日の26時から配信中。
この記事では7月2日(木)に放送した番組内容をお届けしています。進行台本と放送内容を基に記事を作成しています。そのため、実際の放送内容とは違う表現・補足(話し言葉と書き言葉等)並びに、放送ではカットされた内容を含む場合がございます。 また、公開される映画館名や作品情報、イベントは上記日程の放送または収録時点のものになりますのでご留意ください。

【提供】キャプテン・ポップコーン/矢武企画

キャプテン・ポップコーン

映画専門ラジオ番組

キャプテン・ポップコーンは、エフエムノースウェーブで毎週木曜日深夜1時半から放送するラジオ番組です。北海道・札幌で映画のお仕事に従事する「まちのえいが屋さん・矢武企画」が気になった映画の情報、映画に関係したまちの情報、そして、映画がもっと近くなるようなお話をお届けします。映画がはじける、映画で踊る夜、きょうも映画と、コミュニケーションしていきましょう!

point注目映画一覧(外部サイト)

Spider-Man: Brand New Day

スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ

2026-07-31

愛する人たちを守るために、彼らの記憶から自らの存在を消すという決断をした『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の出来事から4年。大人になったピーター・パーカーはスパイダーマンとして、ニューヨークの人々を守り、彼らを脅かす犯罪と戦う日々に全力を尽くしていた。そんななか、人々の期待を背負う彼の体に驚くべき身体的変異が起こり始める。同時に、街では姿なき不可解な犯罪が頻発。“親愛なる隣人”に、かつて直面したことのない大きな脅威が迫る──。

Minions & Monsters

ミニオンズ&モンスターズ

2026-08-07

最強最悪のボスを求めて旅するミニオンズがたどり着いたのは夢あふれるハリウッドの世界。ひょんなことから自分たちでモンスター映画を作ろうと本物のモンスターを召喚するが…超危険なヤツらが次々と解き放たれ、街は大パニックに!さらに仲間割れまで勃発し、ミニオンズ史上最大のピンチが訪れる。大切な仲間と力を合わせれば…きっと世界を救える…ハズ!?

Obsession

オブセッション 災愛

2026-07-17

主人公は孤独で内向的な青年ベア(マイケル・ジョンストン)。想いを寄せる女性ニッキー(インディ・ナヴァレッティ)との距離を縮めたい一心で、“願いを叶える”という不気味なまじない「ワン・ウィッシュ・ウィロー」に手を出したことから、彼の日常は少しずつ狂い始める。純粋だったはずの恋愛感情は執着へと変貌し、“最愛”が“災愛”へと反転していく──。

The End of Oak Street

オークストリートの異変

2026-08-14

郊外の住宅地に暮らすデニースとグレッグは夫婦仲がギクシャクしており、子供たちも気をもんでいた。しかし町が深夜に謎の閃光に包まれ、翌朝 目覚めると信じられない事態になっていた。

クレヨンしんちゃん 奇々怪々!オラの妖怪バケ~ション

クレヨンしんちゃん 奇々怪々!オラの妖怪バケ~ション

2026-07-31

テレビアニメ「クレヨンしんちゃん」の劇場版第33作。妖怪の国に迷い込んでしまった野原家が、どこか懐かしくも奇々怪々な世界で繰り広げる大冒険を描く。

Bring Her Back

ブリング・ハー・バック

2026-07-10

父親を亡くしたアンディと目の不自由なパイパーの兄妹は、とても親切な里親ローラの元で暮らし始めることに。そこには言葉を話さない男の子オリヴァーが住んでいた。ローラの異様なまでの愛情にアンディは違和感を覚えながらも、新たな生活を始める。ある日を境にこの家で次々と起こる不穏な出来事、家の周りに点在する謎の円のモチーフ、そしてオリヴァーの存在──それらが全て繋がった時、隠されていたローラの“恐るべき願い”が明かされる──。