2026.2.7

「なぜ距離感が壊れてしまうのか?」映画祭ツアーで気づいた3層の反応 『恋愛裁判』深田晃司監督[後篇]

毎週・木曜日の25:30から北海道・札幌のFM NORTH WAVE(JFL系)で放送されている、矢武企画制作・映画系トーク番組「キャプテン・ポップコーン」の内容をSASARU movieでも配信!
キャプテン・ポップコーンこと矢武企画・矢武兄輔が、映画の情報はもちろん、映画に関係するまちの情報、映画がもっと近くなる内容をお届けします。
 

映画系トーク番組「キャプテン・ポップコーン」は、北海道外にお住まいの方、もしくは聴き逃した方でも、インターネットで聴けるradikoで一定期間は聴取することが可能です。
この記事では1月29日(木)に放送した番組内容をお届けしています。 進行台本と放送内容を基に記事を作成しています。そのため、実際の放送内容とは違う表現・補足(話し言葉と書き言葉等)並びに、放送ではカットされた内容を含む場合がございます。 また、公開される映画館名や作品情報、イベントは上記日程の放送または収録時点のものになりますのでご留意ください。

【提供】キャプテン・ポップコーン/矢武企画

映画『恋愛裁判』深田晃司監督インタビュー【後篇】

1月23日(金)から絶賛公開中の映画『恋愛裁判』の深田晃司監督がゲストとして登場。前回に引き続き、深田監督インタビュー後篇を、ディレクターズカット版でご紹介します。

映画『恋愛裁判』

「アイドルが恋をすることは罪なのか?」
この映画の劇中アイドルグループ「ハッピー☆ファンファーレ」のセンターを務める女性が「恋愛禁止ルール」を破ったことで裁判にかけられる物語を通じて、華やかな世界の裏側に潜む孤独や犠牲、そして自己を取り戻すための闘いを、痛切なリアリティで描く。アイドルの恋愛禁止ルールを題材に実際の裁判に着想を得て描いたオリジナル作品で、主演は元・日向坂46の齊藤京子さんが映画初主演で、アイドルの内面的な葛藤をリアルに体現しています。

(C)2025「恋愛裁判」製作委員会


25年10月、東京国際映画祭での舞台挨拶の様子 (C)2025「恋愛裁判」製作委員会

矢武:深田さんは、これまでの作品でも多くの映画祭を経験されていますが、今回はキャストと早い段階から国内外を回られた印象があります。現地での反応はいかがでしたか。

深田:今回はキャストと一緒に映画祭を巡れたことが、まず純粋に楽しい思い出になっています。最初は昨年5月のカンヌで、斉藤京子さんと参加しました。ちょうど別作品の撮影期間と重なっていて、トレードマークだったロングヘアをばっさり切った状態で現地に来ていました。その変化に、周囲も驚いていましたし、とてもよく似合っていました。
深田:特に印象的だったのは、カンヌでのフォトセッションです。欧米各国のメディアから一斉にフラッシュを浴びる場面でも、斉藤さんは非常に落ち着いていて、表情の作り方や立ち振る舞いも自然でした。俳優でも難しい場面だと思いますが、その対応力に、改めてアイドルとしての経験値の高さを感じました。
また、中国で開催されたジャ・ジャンクー監督主催の平遥国際映画祭では、「私立恵比寿中学」の仲村悠菜さんと、小川未祐さんに参加してもらいました。上映後は、街を歩いているだけで多くの人に囲まれ、サインを求められるほどの熱狂ぶりでした。小川さんは、50人ほどにサインをしたと話していたほど大人気でした。

(C)2025「恋愛裁判」製作委員会


25年10月、東京国際映画祭での舞台挨拶の様子 (C)2025「恋愛裁判」製作委員会

矢武:昨年10月の東京国際映画祭では、主要キャスト5人が揃いましたよね。

深田:あの場で初めて全員が揃ったので、ようやくここまで来たという思いがあり、個人的にも胸が熱くなりました。壇上では「ハッピー☆ファンファーレ」に因んだ決めポーズがあったのですが、それはキャストの皆さんに考えてもらったものなんです。私は動きを把握しきれておらず、「いぎなり東北産」の桜ひなのさんに教わりながら挑戦したのですが、写真を見ると少し崩れていましたね。

矢武:確かに、客席から見ていても少し違いましたね(笑)。

深田:意外と難しかったです(笑)。

※インタビュー前篇では、きちんと決めポーズができている写真があります!
矢武:国内外の映画祭を経て、いよいよ日本で興行が始まりますが、海外と日本で、観客の反応に違いはありましたか。

深田:今回の映画祭ツアーでは、大きく分けて三層の反応があったと感じています。この作品は、「アイドルはこうあるべきだ」と価値観を押し付けるものではなく、観る人それぞれのアイドル観が浮かび上がるように作りました。その結果、反応がきれいに分かれた印象があります。欧米では、非常に面白がってくれる方が多かった一方で、日本のアイドル業界を遠い国の社会問題として捉え、「なぜもっと切り込まないのか」という声もありました。
一方、韓国や中国では、アイドル文化への解像度が高く、非常に深い視点で見てくれる方が多かったのが印象的でした。そして日本では、出演した4人のアイドルのファンの方が多く、ファンとしての応援の仕方や距離感について考えさせられた、という感想が多く寄せられました。

(C)2025「恋愛裁判」製作委員会


(C)2025「恋愛裁判」製作委員会

矢武:作品を観ていて、アイドルとファンの距離感や、「推し活文化」についても考えさせられました。深田さんは、この文化をどう見ていますか。

深田:推し活は、今やとても一般的な文化になりましたよね。ただ、どの業界にも問題があるように、アイドル業界にも課題はあります。特に、アイドルとファンの距離感がある瞬間に崩れてしまうことで、実際に事件が起きてきました。劇中の出来事も、実際の事件を参考にしていますが、問題なのは「なぜ距離感が壊れてしまうのか」という点です。恋心を抱くこと自体は個人の自由ですが、それを過剰に煽る運営や仕組みが、距離感のバグを生んでいる側面もあるのではないかと考えています。
 
矢武:僕自身はアイドルを追いかけてきたタイプではないのですが、初めてドーム公演に行ったとき、純粋にエンタメとしてすごく楽しかったんです。そうした楽しさがある一方で、距離が近く感じられるからこそ、難しさも生まれるのかもしれません。この映画は、アイドルとファンの関係、事務所と所属タレントの関係、そしてひとりの人間としての幸せまで、どの立場にも偏らず描かれていると感じました。

深田:ありがとうございます。そこは特に慎重に向き合った部分です。

矢武:エンタメとしても、とてもバランスの取れた作品だと感じました。

(C)2025「恋愛裁判」製作委員会


(C)2025「恋愛裁判」製作委員会

矢武:では最後に、キャプテン・ポップコーンをお聴きの皆さんへ、メッセージをお願いします。

深田:映画『恋愛裁判』は現在公開中です。アイドルやファンの関係性など、さまざまなことを考えられる作品ではありますが、何より出演しているアイドル、元アイドル、そして俳優陣の魅力が詰まった映画です。まずは、彼女たち、彼らに会いに劇場へ足を運んでいただけたらうれしいです。

深田晃司監督プロフィール

1980 年、東京都生まれ。2010年『歓待』が東京国際映画祭「日本映画・ある視点」作品賞、11年プチョン国際ファンタスティック映画祭最優秀アジア映画賞受賞。13年『ほとりの朔子』が、ナント三大陸映画祭グランプリ&「若い審査員賞」をW受賞。16年『淵に立つ』がカンヌ映画祭「ある視点」部門審査員賞、17年芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞。18年仏芸術文化勲章「シュバリエ」受勲。主な監督作に『よこがお』(19)、『本気のしるし〈TV ドラマ再編集劇場版〉』(20)、『LOVE LIFE』(22)など。
現在、岡山県でロケした『ナギダイアリー(仮題)』(26)が公開待機中。

映画『恋愛裁判』(G)は、TOHO シネマズ すすきの、札幌シネマフロンティア、イオンシネマ旭川駅前で1月23日(金)から絶賛公開中です!
映画系トーク番組「キャプテン・ポップコーン」は、北海道外にお住まいの方、もしくは聴き逃した方でも、インターネットで聴けるradikoで一定期間は聴取することが可能です。
この記事では1月29日(木)に放送した番組内容をお届けしています。 進行台本と放送内容を基に記事を作成しています。そのため、実際の放送内容とは違う表現・補足(話し言葉と書き言葉等)並びに、放送ではカットされた内容を含む場合がございます。 また、公開される映画館名や作品情報、イベントは上記日程の放送または収録時点のものになりますのでご留意ください。

【提供】キャプテン・ポップコーン/矢武企画

映画『恋愛裁判』深田晃司監督インタビュー【後篇】


(C)2025「恋愛裁判」製作委員会

1月23日(金)から絶賛公開中の映画『恋愛裁判』の深田晃司監督がゲストとして登場。前回に引き続き、深田監督インタビュー後篇を、ディレクターズカット版でご紹介します。

映画『恋愛裁判』

「アイドルが恋をすることは罪なのか?」
この映画の劇中アイドルグループ「ハッピー☆ファンファーレ」のセンターを務める女性が「恋愛禁止ルール」を破ったことで裁判にかけられる物語を通じて、華やかな世界の裏側に潜む孤独や犠牲、そして自己を取り戻すための闘いを、痛切なリアリティで描く。アイドルの恋愛禁止ルールを題材に実際の裁判に着想を得て描いたオリジナル作品で、主演は元・日向坂46の齊藤京子さんが映画初主演で、アイドルの内面的な葛藤をリアルに体現しています。

25年10月、東京国際映画祭での舞台挨拶の様子 (C)2025「恋愛裁判」製作委員会

矢武:深田さんは、これまでの作品でも多くの映画祭を経験されていますが、今回はキャストと早い段階から国内外を回られた印象があります。現地での反応はいかがでしたか。

深田:今回はキャストと一緒に映画祭を巡れたことが、まず純粋に楽しい思い出になっています。最初は昨年5月のカンヌで、斉藤京子さんと参加しました。ちょうど別作品の撮影期間と重なっていて、トレードマークだったロングヘアをばっさり切った状態で現地に来ていました。その変化に、周囲も驚いていましたし、とてもよく似合っていました。

(C)2025「恋愛裁判」製作委員会

深田:特に印象的だったのは、カンヌでのフォトセッションです。欧米各国のメディアから一斉にフラッシュを浴びる場面でも、斉藤さんは非常に落ち着いていて、表情の作り方や立ち振る舞いも自然でした。俳優でも難しい場面だと思いますが、その対応力に、改めてアイドルとしての経験値の高さを感じました。
また、中国で開催されたジャ・ジャンクー監督主催の平遥国際映画祭では、「私立恵比寿中学」の仲村悠菜さんと、小川未祐さんに参加してもらいました。上映後は、街を歩いているだけで多くの人に囲まれ、サインを求められるほどの熱狂ぶりでした。小川さんは、50人ほどにサインをしたと話していたほど大人気でした。

25年10月、東京国際映画祭での舞台挨拶の様子 (C)2025「恋愛裁判」製作委員会

矢武:昨年10月の東京国際映画祭では、主要キャスト5人が揃いましたよね。

深田:あの場で初めて全員が揃ったので、ようやくここまで来たという思いがあり、個人的にも胸が熱くなりました。壇上では「ハッピー☆ファンファーレ」に因んだ決めポーズがあったのですが、それはキャストの皆さんに考えてもらったものなんです。私は動きを把握しきれておらず、「いぎなり東北産」の桜ひなのさんに教わりながら挑戦したのですが、写真を見ると少し崩れていましたね。

矢武:確かに、客席から見ていても少し違いましたね(笑)。

深田:意外と難しかったです(笑)。

※インタビュー前篇では、きちんと決めポーズができている写真があります!

(C)2025「恋愛裁判」製作委員会

矢武:国内外の映画祭を経て、いよいよ日本で興行が始まりますが、海外と日本で、観客の反応に違いはありましたか。

深田:今回の映画祭ツアーでは、大きく分けて三層の反応があったと感じています。この作品は、「アイドルはこうあるべきだ」と価値観を押し付けるものではなく、観る人それぞれのアイドル観が浮かび上がるように作りました。その結果、反応がきれいに分かれた印象があります。欧米では、非常に面白がってくれる方が多かった一方で、日本のアイドル業界を遠い国の社会問題として捉え、「なぜもっと切り込まないのか」という声もありました。
一方、韓国や中国では、アイドル文化への解像度が高く、非常に深い視点で見てくれる方が多かったのが印象的でした。そして日本では、出演した4人のアイドルのファンの方が多く、ファンとしての応援の仕方や距離感について考えさせられた、という感想が多く寄せられました。

(C)2025「恋愛裁判」製作委員会

矢武:作品を観ていて、アイドルとファンの距離感や、「推し活文化」についても考えさせられました。深田さんは、この文化をどう見ていますか。

深田:推し活は、今やとても一般的な文化になりましたよね。ただ、どの業界にも問題があるように、アイドル業界にも課題はあります。特に、アイドルとファンの距離感がある瞬間に崩れてしまうことで、実際に事件が起きてきました。劇中の出来事も、実際の事件を参考にしていますが、問題なのは「なぜ距離感が壊れてしまうのか」という点です。恋心を抱くこと自体は個人の自由ですが、それを過剰に煽る運営や仕組みが、距離感のバグを生んでいる側面もあるのではないかと考えています。
 

(C)2025「恋愛裁判」製作委員会

矢武:僕自身はアイドルを追いかけてきたタイプではないのですが、初めてドーム公演に行ったとき、純粋にエンタメとしてすごく楽しかったんです。そうした楽しさがある一方で、距離が近く感じられるからこそ、難しさも生まれるのかもしれません。この映画は、アイドルとファンの関係、事務所と所属タレントの関係、そしてひとりの人間としての幸せまで、どの立場にも偏らず描かれていると感じました。

深田:ありがとうございます。そこは特に慎重に向き合った部分です。

矢武:エンタメとしても、とてもバランスの取れた作品だと感じました。

(C)2025「恋愛裁判」製作委員会

矢武:では最後に、キャプテン・ポップコーンをお聴きの皆さんへ、メッセージをお願いします。

深田:映画『恋愛裁判』は現在公開中です。アイドルやファンの関係性など、さまざまなことを考えられる作品ではありますが、何より出演しているアイドル、元アイドル、そして俳優陣の魅力が詰まった映画です。まずは、彼女たち、彼らに会いに劇場へ足を運んでいただけたらうれしいです。

深田晃司監督プロフィール

1980 年、東京都生まれ。2010年『歓待』が東京国際映画祭「日本映画・ある視点」作品賞、11年プチョン国際ファンタスティック映画祭最優秀アジア映画賞受賞。13年『ほとりの朔子』が、ナント三大陸映画祭グランプリ&「若い審査員賞」をW受賞。16年『淵に立つ』がカンヌ映画祭「ある視点」部門審査員賞、17年芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞。18年仏芸術文化勲章「シュバリエ」受勲。主な監督作に『よこがお』(19)、『本気のしるし〈TV ドラマ再編集劇場版〉』(20)、『LOVE LIFE』(22)など。
現在、岡山県でロケした『ナギダイアリー(仮題)』(26)が公開待機中。

映画『恋愛裁判』(G)は、TOHO シネマズ すすきの、札幌シネマフロンティア、イオンシネマ旭川駅前で1月23日(金)から絶賛公開中です!

キャプテン・ポップコーン

映画専門ラジオ番組

キャプテン・ポップコーンは、エフエムノースウェーブで毎週木曜日深夜1時半から放送するラジオ番組です。北海道・札幌で映画のお仕事に従事する「まちのえいが屋さん・矢武企画」が気になった映画の情報、映画に関係したまちの情報、そして、映画がもっと近くなるようなお話をお届けします。映画がはじける、映画で踊る夜、きょうも映画と、コミュニケーションしていきましょう!

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