2025年、北海道の映画シーンは、決してひとつの言葉では語れない1年でした。
長年親しまれてきた映画館閉館の発表という大きな出来事がある一方で、街全体を巻き込むヒット作の誕生や、各地で続く映画祭、そして戦後80年という節目に向き合う作品の上映やイベントなども行われました。
SASARU movieでは、この1年、北海道で起きたさまざまな映画の現場を取材し、その空気や声を伝えてきました。本記事では、2025年を象徴する出来事を振り返りながら、北海道の映画文化がどのような時間を刻んできたのかをあらためて見つめていきます。
映画館の記憶が街に刻まれる──サツゲキ閉館へ
2022年10月撮影
サツゲキは、作品を鑑賞する場であると同時に、イベントや舞台挨拶を通じて映画と観客、街をつなぐ役割を担ってきました。その存在が失われようとしている現実は、札幌の映画文化にとって小さくない出来事と言えるでしょう。
映画を取り巻く環境が変化する中で、この閉館予定の知らせは、映画館という場の意味を改めて問いかけるものとなりました。
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・サツゲキ、2026年3月29日(日)で閉館へ。札幌の映画文化を支えてきた劇場が幕を下ろすことに
映画が街を包んだ──『ズートピア2』、札幌に広がった熱狂
札幌では作品の世界観を再現したツリーの設置や「ズートピアシアター」の展開など、街全体を巻き込む施策が行われ、多くの人が映画にふれるきっかけとなりました。
(C) 2025 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.
札幌で展開されたイベントや反響の詳細については、 関連記事で紹介しています。
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・物語のキーは日記とにんじんペン?!『ズートピア2』前夜祭イベント開催!上戸彩ら豪華声優陣が勢ぞろい
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北海道で続く“様々な作品との出会いの場”──各地の映画祭
札幌を拠点に映画と食を掛け合わせた体験型の映画祭「北海道フービーフェスティバル」、空港という立地を生かし国内外のアニメーション作品を紹介する「新千歳空港国際アニメーション映画祭」、そして夕張市を舞台に開催された「ゆうばり国際ファンタスティック思い出映画祭」など、それぞれ異なるかたちで映画が届けられました。
規模やスタイルはさまざまですが、いずれも商業映画とは異なる表現や視点にふれる機会をつくり、北海道における映画文化の広がりを感じさせる取り組みとなっています。今回はその中でも編集部が注目したイベントをご紹介します。
映画と食を掛け合わせた映画祭として開催された北海道フービーフェスティバルは、2025年も札幌を拠点に開催されました。
上映プログラムに加え、舞台挨拶や関連イベントが行われ、作品をきっかけにした交流の場が広がりました。
フェスティバルには多彩なゲストが登壇し、上映作品『おいしい給食 炎の修学旅行』『グッモーエビアン』など、様々な作品の主演者や監督によるトークも実施。また、上映後には作品にちなんだ食の体験企画が用意され、映画の余韻を“味わう”楽しみ方が提案されました。
期間中には、映画と地域、日本映画産業の現状をテーマにしたシンポジウムも開催されました。映画制作や上映を取り巻く環境、日本における映画支援のあり方、ミニシアターを巡る課題などが話題に上り、映画祭が果たす役割についても議論が交わされました。
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・映画の余韻を“食べて”味わう!北海道フービーフェスティバル2025【食×映画レポート】
・「声を上げることが文化を支える」 映画と地域の新しい関係。北海道フービーフェス・シンポジウムレポート
・小雨を笑顔に変えて「北海道フービーフェスティバル」が開幕!TEAM NACSと豪華ゲストが集結
新千歳空港を会場に開催された新千歳空港国際アニメーション映画祭は、2025年も11月に開催されました。
国内外から多数の応募が寄せられ、コンペティション作品をはじめ、短編や実験的な表現まで幅広いアニメーション作品が上映されました。期間中は、制作背景に迫るトークイベントや舞台挨拶のほか、空港ターミナル内での上映や体験型企画も展開され、旅の途中や日常の延長線上でアニメーションに触れられる場が生まれました。空港という場所ならではの特性を生かし、幅広い層に作品を届ける映画祭となりました。
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・世界が注目する「空港の中の映画祭」 第12回新千歳空港国際アニメーション映画祭が11月に開催
地元愛がさく裂!北海道が舞台の映画
注目は、2025年12月24日(水)に公開された映画『ラストマン -FIRST LOVE-』。盲目のFBI捜査官・皆実広見と、孤高の刑事・護道心太郎がタッグを組み、難事件に挑むサスペンス作品です。バディの関係性や緊張感ある展開とともに、物語の重要な舞台として北海道の街並みや風景が印象的に描かれています。観光地としても知られる場所が多数登場!「ここで銃撃戦が?!」と驚くこと間違いなしです。
SASARU movieでは、レビュー記事のほかロケ地を巡る企画として、函館編、そして柴田アナと巡った札幌編を取材。
札幌編では、柴田アナと実際に街を歩き、撮影当時のエピソードや作品の見どころを交えながらロケ地を紹介しています。
【関連記事】
・福山雅治×大泉洋の最強バディ復活!北海道が舞台の『映画ラストマン -FIRST LOVE-』レビュー
・歩くたび物語が蘇る。『ラストマン -FIRST LOVE-』ロケ地巡り函館編|心に残る風景をもう一度
・柴田アナと巡る『ラストマン -FIRST LOVE-』ロケ地巡り札幌編|始まりの街で物語は動き出す
戦後80年、映画を通して戦争と向き合う──北海道での上映とイベント
映画『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』では、北広島市で特別試写会とトークイベントが開催され、原作・共同脚本を手がけた北海道出身の武田一義さんが登壇しました。上映後には、作品の制作背景や取材の過程、戦争を描くことの難しさについて語られ、中学生からの質問に答える場面も。映画を通じて戦争の記憶を次の世代にどう伝えていくのかを考える時間となりました。
【関連記事】
・北広島の中学生と見つめた戦争の記憶。『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』原作者武田さんが語る制作の原点
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・映画『雪風 YUKIKAZE』舞台挨拶が札幌で開催。竹野内豊&玉木宏が伝えた“生きる力”への想い
映画のある風景は、続いていく
映画祭という発表と交流の場、戦争をテーマに記憶をつなぐ上映会やトークイベント、そして多くの人が映画にふれるきっかけとなった話題作の存在。それら一つひとつが、北海道における映画文化の現在地を示しているように感じられます。
SASARU movieは、これからも北海道で生まれる映画の動きや、人と映画が交わる瞬間を丁寧に追い続けていきます。2026年は、どんな物語がこの地で紡がれていくのか。その一つひとつを、また皆さんと共有できれば幸いです。
映画館の記憶が街に刻まれる──サツゲキ閉館へ
2022年10月撮影
サツゲキは、作品を鑑賞する場であると同時に、イベントや舞台挨拶を通じて映画と観客、街をつなぐ役割を担ってきました。その存在が失われようとしている現実は、札幌の映画文化にとって小さくない出来事と言えるでしょう。
映画を取り巻く環境が変化する中で、この閉館予定の知らせは、映画館という場の意味を改めて問いかけるものとなりました。
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映画が街を包んだ──『ズートピア2』、札幌に広がった熱狂
(C) 2025 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.
札幌では作品の世界観を再現したツリーの設置や「ズートピアシアター」の展開など、街全体を巻き込む施策が行われ、多くの人が映画にふれるきっかけとなりました。
札幌で展開されたイベントや反響の詳細については、 関連記事で紹介しています。
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北海道で続く“様々な作品との出会いの場”──各地の映画祭
札幌を拠点に映画と食を掛け合わせた体験型の映画祭「北海道フービーフェスティバル」、空港という立地を生かし国内外のアニメーション作品を紹介する「新千歳空港国際アニメーション映画祭」、そして夕張市を舞台に開催された「ゆうばり国際ファンタスティック思い出映画祭」など、それぞれ異なるかたちで映画が届けられました。
規模やスタイルはさまざまですが、いずれも商業映画とは異なる表現や視点にふれる機会をつくり、北海道における映画文化の広がりを感じさせる取り組みとなっています。今回はその中でも編集部が注目したイベントをご紹介します。
映画と食を掛け合わせた映画祭として開催された北海道フービーフェスティバルは、2025年も札幌を拠点に開催されました。
上映プログラムに加え、舞台挨拶や関連イベントが行われ、作品をきっかけにした交流の場が広がりました。
フェスティバルには多彩なゲストが登壇し、上映作品『おいしい給食 炎の修学旅行』『グッモーエビアン』など、様々な作品の主演者や監督によるトークも実施。また、上映後には作品にちなんだ食の体験企画が用意され、映画の余韻を“味わう”楽しみ方が提案されました。
期間中には、映画と地域、日本映画産業の現状をテーマにしたシンポジウムも開催されました。映画制作や上映を取り巻く環境、日本における映画支援のあり方、ミニシアターを巡る課題などが話題に上り、映画祭が果たす役割についても議論が交わされました。
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新千歳空港を会場に開催された新千歳空港国際アニメーション映画祭は、2025年も11月に開催されました。
国内外から多数の応募が寄せられ、コンペティション作品をはじめ、短編や実験的な表現まで幅広いアニメーション作品が上映されました。期間中は、制作背景に迫るトークイベントや舞台挨拶のほか、空港ターミナル内での上映や体験型企画も展開され、旅の途中や日常の延長線上でアニメーションに触れられる場が生まれました。空港という場所ならではの特性を生かし、幅広い層に作品を届ける映画祭となりました。
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